ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

チャバネとサチの共同生活

2017-02-26 00:09:56 | 日記
事件である。
介護サービス付き高齢者住宅ならではの事件である。

介護サービスを利用しない自立の利用者サチさん(85歳)は
かつて編集者として忙しく働き
もう悔いはないというほど海外旅行を楽しみ
今も食堂を利用することなく3食とも居室のキッチンで自炊する
現役バリバリの高齢者である。

しかしこのサチさんには、とんでもない癖(へき)があった。

実はこの人、元祖・片付けられない女なのである。

彼女の部屋の玄関からチャバネゴキブリが出入りすることは
おととしから知れ渡っていた。
しかしここは仮にも賃貸契約を結んでいる住宅であり
高齢者とはいえ自立している方の生活に
ズカズカと介入することはできない。

この時点ではまだチャバネたちが居室と廊下を
ちょろちょろと出入りするぐらいで、他に被害はなかった。
だから“家宅捜査”まではできなかったのだ。

さて、去年から彼女は私の担当になった。
そしてモニタリングのため訪室するたび
私はチャバネゴキブリたちの歓迎を受けることになった。

友人たちが送ってくれるお菓子や果物が段ボウルごと詰まれ
生協から配達される生鮮食品や冷凍食品が冷蔵庫に入りきらずに放置され…
部屋は、足の踏み場もない。

どうぞと促されてテーブルに座ると
目に入ってくるのは床どころか壁や冷蔵庫のドアを歩き回るカレラ。
供されたお菓子や紅茶のカップの周りを
我が物顔で走り回るカレラ。

サチさんが立ち上がった瞬間を狙って
あわててお菓子をポケットに押し込む。
戻ってきた彼女は「そんなにおいしかったのならもっと召し上がって」と
おかわりを運んでこようとするが
めっそうもございません!と、いつも頑なにお断りしたものだった。

この状況は逐一上司に報告しており
迷惑がるサチさんを説き伏せて
掃除のサービスもこれまで2回ほど入らせてもらってきた。

しかし、それだけでは何も解決するはずがなく
いよいよ、事件が起こってしまったのである。

つづく。



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