ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

天国へのお散歩

2020-02-09 22:58:00 | 日記
お散歩に行ってきます。

そう言って出かけて行ったユイは
そのまま天国に旅立ってしまった。

ユイは今年、100歳を迎えるところだった。
盛大な誕生日会をしてあげようと
職員同士で密かに話し合っていた。

軽度の認知症はあるが
その治療薬以外は何の薬も飲んでいない健康体。
暮らしぶりは驚くほどきちんとしていて
毎朝
廊下を何往復かウォーキングする、
居室を掃除する、
きれいに眉墨を描く、
これを日課としていたっけ。

近所の公園とコンビニくらいなら
一人でも行って帰ってこられるので
今朝も、誰も止めることはなかった。

「行ってらっしゃい、気をつけてね」
そう、送り出したのだった。

しかし、昼食時間になっても戻ってこない。
職員総出で近所を探しても見つからない。

110番に電話すると
まもなく警官がやってきた。

「この方ではありませんか?」
警官から見せられた写真は、確かにユイだ。

警官の話によれば
散歩の途中で道に迷ったユイは
近隣の人からの通報によって警察に保護された。
いや、正確に言えば保護されるところだった。
しかし警官が駆けつけたときにはすでに
ユイはバス停のベンチに座ったまま
事切れていたのだという。

お散歩に行ってきますと言い残して
そのまま天国に行ってしまった99歳のユイ。

あやかりたいと
多くの高齢者が思うのではないだろうか。