ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

人に教えてあげたくなるほどきれいな月

2017-03-04 23:51:51 | 日記
ほろ酔い気分でただいま帰宅。

友人との楽しい時間を反芻しながら夜道を歩いていたら
はるか遠くに見える山の稜線を照らすように
大きな三日月が浮かんでいた。

それはそれは大きな三日月だった。

あまりの美しさに、思わず歩みを止める。
スーパームーンは見たことがあるけれど
これほど大きく美しい三日月を、私は見たことがない。

誰かに教えてあげたいと思った。
しかし時刻は23時半。
電話はヒンシュクものだろう。

道を曲がり、三日月は私の背にまわった。

と、正面から走ってきた車がいきなりスピードを落とす。
嫌な感じだ。
暗い夜道を歩いているときに車が近寄ってきたら
誰だって怖い。

思わず身構えたとき、車の中から声がした。

「お嬢さん、後ろを振り返ってご覧なさいよ。
きれいなお月様が見えるから」

ちょっとしわがれた女性の声。
それだけ言うと、車は止まることなく走り去った。

お嬢さん?
暗くて顔が見えなかったのだろう。
勘違いも甚だしいが
とにかく車の中の、おそらく年配であろう女性は
私と同じように
誰かにこの大きな三日月を教えたかったようだ。

実は去年も同じ経験をしている。
その日は満月がことさらにきれいな夜だった。

正面から歩いてきたやはり年配の女性が
私の背後を指差しならが言ったのだ。
「月がきれいよ、見てご覧なさい」と。

その日の女性も、今日声を掛けてきた女性も
まさか月見の妖精ってわけじゃなかろうが…。

月がきれいよ、見てご覧なさいな。
通りすがりの人にそんな言葉をかけるのって
なんとも粋である。
若い女性にはまずできないだろう。

人に教えたくなるほどきれいな月。
その柔らかな光は
アルコールの酔いとはまた違った心地よい酔いを
もたらしてくれたのだった。