ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

キング

2014-10-06 23:57:53 | 日記
Nさん(90代・男性)はエロイ。

60歳くらいの息子が毎日食事の世話にやってくるため
食堂の利用もなく
足腰はまだしっかりしているので
常勤職員があたる定時の排泄介助もなく
だから、私はほとんどご縁がない。

「毎日エロ・ビデオ観て過ごしていて
話もスケベなことばかり」

そんな情報をもたらしてくれたのは
週に何度か掃除や入浴の援助で訪ねているヘルパーのHだった。

今日残業している私のところへ
そのHが嬉しそうに走り寄ってきた。

「来てますよ、Nさんの愛人」

愛人? そりゃ初耳だ。
そんなもんまでいたのか?

Hの話によると
Nさんは愛人がいること、そしてそれが85歳であることを
常日頃話しているという。
その愛人が来た~っというので
Hは噂の有名人に出会ったように喜んだわけだ。

で、で、どんな人だった?
利用者さんのプライバシーに首を突っ込んではならぬ!
という決まりごとなぞ蹴散らかし
思わず身を乗り出す。

「いや~、派手な人!
おっきなサングラスかけて、ロングスカートはいて
とても85歳には見えませんでした」

なんでも、エントランスからこそこそと小走りで入ってきて
エレベーターに乗るのかと思わせながら乗らずに廊下を戻る。
かと思えば食堂に入りかけてサッと身を翻し
キョロキョロと辺りをうかがって再び廊下を歩き出す…
つまりまあ、いかにも“お忍び”といわんばかりの挙動不審な行動をとった挙句
やっとこさたどり着いた彼氏の部屋の前で再度辺りをうかがってから
大慌てで鍵を開けて中に入っていったのだと言う。

凄い、凄すぎる。
愛人に会うためにここまでエネルギーを使う85歳がいるのか!?

彼女も凄いが、そんなエネルギッシュな老愛人を迎える90代の男って、いったい…?

ただのエロジジイと思っていたが
明日から彼を“キング”と呼ばせていただこう。