どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

まめじかカンチル・・インドネシア

2018年07月10日 | 絵本(昔話・外国)
 カンチルというのはインドネシアの昔話に欠かせないようで、日本でいえば一休さんの動物版。いろいろなトンチ話が、カンチルを主人公としてすすんでいきます。
 まめじかカンチルは、ミニウサギの大きさとあって、想像していたより小さいシカでした(上野動物園で見られるそうです)。


・マメジカ カンチルが穴におちる話(ながすねふとはらがんりき/東京子ども図書館・編/2000年)

 小学生の読み聞かせやおはなし会のプログラムにもよく目にします。読むだけでは、聞いたときの楽しさはありません。
 話そのものはシンプルで、繰り返しが多く、オチも意外性にとんでいます。

 大好きなドリアンを食べて、満足して走り出した小さなマメジカのカンチル。

 油断大敵、突然、ジャングルの中の大きな穴に落ちてしまいます。穴はとても深く、おまけに穴の壁はつるつるしてのぼることもできません。
 どうしたら穴からでられるか、ためいきをつきつき考え、いいことを思いつきます。

 まず「ホーン、ホーン」とけたたましく高い声で鳴きはじめると、そこへやってきたのはサルのワックワックワック。
 カンチルは「たいへんなことが起こるんだ。今日、世の終わりがくるって、アラーの神のお告げがあったんだぞ。地上にいるものは助からないけど、この穴の中にいるものだけが生きのこれるんだって。だから、ぼくはここにはいっているんだ」

 「それはたいへん、おれも中へ入れてくれ」というサルに、カンチルは「うん、いいけどちょっと待って。お前クシャミをしないか?」とたずねます。サルが「クシャミ?いいや、しないよ」「じゃ、よし。はいれ」

 次にトラのハリマオ、ゾウのガジャも同じようなやりとりで、穴に飛び込みます。

 ところが穴の中で誰かがクシャミをしそうになります。

 「クシャミをしたら、この穴の中も安全でなくなるからさ。だから誰かがクシャミをしそうになったら、かわいそうだけど、穴の外にほおり出さなきゃならないんだ」

 これを聞いていたゾウは慌てて、クシャミをしそうになった誰かを穴の外に放り出すのですが・・・。

 「この世のおわりがくる」と大騒ぎする話のはじまりは、ちょっとしたことが多いのですが、これに似たことは、今でもありますね。
 流言飛語には、気をつけたいもの。


・カンチルと巨人(子どもに聞かせる世界の民話/矢崎源九郎・編/実業之日本社/1964年)

 まめじかが、イノシシ、クマ、シカ、トラといった力の強い者が、かなわなかった巨人をやりこめます。

 みんなは、魚をたくさんとると、魚を塩づけにして瓶の中にしまっておきましたが、瓶の中の魚は、さっぱりふえません。どうも盗まれているのではないかと、誰かが残って泥棒を捕まえることにします。

 そこにやってきいたのは、みあげるような巨人。シカもイノシシもクマ、そしてトラまでも巨人に脅かされて魚をとられてしまいます。

 カンチルは、瓶の魚の臭いをかいで、病気になったふりをして、巨人に頭にきれをまいて、じっと横になっていればよくなるともちかけ、そのきれを小屋の柱にしばりつけます。
 それから足も痛むんじゃないかときいて・・・。


          マンゴーとバナナ/まめじかカンチルのおはなし/ネイサン・クマール・スコット・文 T・バラジ・絵 なかがわちひろ・訳/アートン/2006年初版

 絵はインドに古くから伝わるカラムカリという方法で布に染めたもの。落ち着いた色合いです。

 まめじかのカンチルとさるのモニュはそれぞれマンゴーとバナナの木を植えました。やがて実ったマンゴーとバナナを半分づつにすることに。
 ところがカンチルは木に登れません。

 モニュはバナナを熟しているか試食します。そのおいしいことおいしいこと。一本、もう一本、さらにもう一本、とうとう全部。

 つぎにマンゴーを全部カンチルにわたすと約束しながら、一つだけならきがつかないだろうとマンゴーを口の中へ。おいしくてもうやめられません。

 このままでは全部食べられてしまうとカンチルがとった方法は・・・?


               まめじかカンチルの冒険/松井由紀子・再話 安井寿磨子・絵/福音館書店/2013年初版

 「まめじかカンチルの冒険」には、4つの話がありました。

 1 カンチル、ワニにわけまえをやる
 2 カンチル、トラを二匹にする
 3 カンチル、かたつむりとかけっこをする
 4 カンチル、森の王さまになる

 こわいワニ、トラを手玉にとると思えば、小さいかたつむりの知恵にまけるのもあって、いつもいつもうまくいかないところがいいのかもしれません。

 まめじかのカンチルとワニやトラとの関係がいま一つすっきりしなかったのが、まめじかの大きさを知ってあらためて、小よく大を制するあたりの楽しさがつたわってきました。

 それも力ではなく知恵です。

 一度「りこうなシカ」(こどもに語るアジアの昔話/こぐま社/1997年初版)を語ったことがありますが、この絵本の1と3がふくまれています。
 こちらも再話で、ジャコウジカがでてくるのですが、まめじかにしても違和感がないように思いました。

     
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