どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

カミナリさんの手つだい・・岐阜

2024年08月26日 | 昔話(中部)

      岐阜のむかし話/岐阜児童文学研究会編/日本標準/1978年

 

 カミナリさまのところでも人手不足のようで・・。

 田植えもすんでお伊勢参りにでかけた、キン、ゴン、サンという三人の男が、道にまよって宿をたのんだのは、ひとりでいたおくさんのところ。

 夕食に、お皿におかれた、まるいものを食べようとすると、かんでもかんでも食えない。何かと聞くと、泣く子のヘソを取ってきたものをにしめにしたものという。おくさんのだんなは、カミナリさま。三人は、えらいところに泊まったとふるえておったら、夜中になって、バリバリッという音がして、黒いふんどしで現れたのはカミナリさま。

 三人が、頭を下げてじっとしていると、カミナリさまが、「よく来てくれた。きたついでに、たのみたいことがある」という。「じつは、こちらはまだ田植えのさかりで、お百姓が雨をまっている。何とかして雨をふらせてやりたいが、どうにも人手不足で、思うようにふらせらねえ。手伝ってくれないか?」

 つぎの朝、カミナリさまは、「キンはいなずまを引け」「ゴンは、キンがいなずまを引いたら太鼓をたたけ」「サンは手桶に水を持っとって、水をまいてくれ」という。

 キンがいなずまをひくと、ぴかぴかっ。ゴンが、たいこをたたくと、ドンドンドンゴロドロッ。サンは水まき。すると下では、「それ! ようだちさまが雨をくださったで、この機をはずさんように田植えのしたくだ」と、大騒ぎ。

 キンが、こりゃおもしろいと、いなずまを引きながら、ひょいひょいひょい歩くうちに、雲を踏み外して、ドサーッと、落ちてしまった。その勢いで、火事が起こってしまった。「こりゃかなわん。くそかしょんべんをかけてやれ」と、大騒ぎ。

 昔から、カミナリさまの火事は、なにか不浄なものをかけると火が消えるという。

 

 お伊勢参りに出かけた三人の名前が、キン、ドン、サンなので、名前に引っ掛けたものがでてくるとおもったら、スルー。もっとも、カミナリさんのところへいくのが、三人というのも めったにありません。


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