どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

徂徠どうふ

2019年01月11日 | 絵本(日本)

               徂徠どうふ/宝井 琴調・文 ささめや ゆき・絵/福音館書店/2018年


 荻生徂徠の若き日のエピソードです。

 はたらき者のとうふ屋七兵衛さんは、しじみ売りの子どもにいわれて、ひとりのお侍にとうふを売りますが、お侍はよほどとうふが好きなのか、なにもつけずに一丁ぺろりと食べてしまいます。

 「とうふや、世の中にとうふほどうまいものはないなあ 第一安い。また皮をむくせわもなければ骨もない」というお侍。ところが、こおまかいお金がないから、あとではらうといいます。
 次の日もおなじやりとり。この日も、こまかいのがないから、あとではらうといいます。

 七兵衛さん、三日後、うんと釣銭をもってきたから20文はらってもらおうとすると、こまかいおかねがないのに、おおきな金があるとおもうかと、お侍。
 世に出た時に返すというのですが、明日か、半年先、運が悪ければ5年、10年後かわかりません。

 しかし、おさむらいの一日の食事が、とうふ一丁というのです。
 家の中をのぞくと本ばっかり。本を売って、腹いっぱい食べて、世の中にでてから買い戻せばいいのに」と思う七兵衛さんに、「たましいを売るわけにはいかん」というお侍。

 お侍にほれこんだ七兵衛さん、「世に出るまで毎日握り飯をもってきますよ」と申し出ますが、お侍は、めぐんでもらうわけにはいかんとことわります。
 豆をしぼってとうふをつくる、そのしぼりかすで作ったおからをもってくるので、あとでお金をもらえばいいと、それからは七兵衛さんは、毎日おからをしょうゆで煮つけておさむらいのところへもっていきます。
 七兵衛さん、よほどお侍にほれこんだのでしょう。回収できるかわからないのに、おからのほうがおなかがいっぱいになるからと、届け続けます。

 ところがある日、七兵衛さんが熱を出し七日も寝込んでしまいます。
 八日目の朝、ひからびてるかもしれねえなあと、おさむらいのところへとんでいくと、貸間の張り紙。
七兵衛さん、がっかりしてもどってくると、たいへんなことに。

 おとなりからでた火事で店が丸焼けになっていたのでした。
 しょんぼりする七兵衛さん、左官の長さんが一部屋を提供してしてくれます。

 そんなある日、一人の男が、さるかたにたのまれたと十両をもってきました。
 さるかたの正体はわかりませんでしたが、お金がなくこまっていた七兵衛さんは、働いてかえすことにしてありがたくつかわせてもらいます。

 ひと月立って、この間の男が、さる方を連れてやってきます。
 立派な身なりのお武家を見てもこころあたりはありません。
 しかし「とうふやさん、こまかいおかねがないので、あとでまとめてはらう」というお侍をみて、ひややっこのだんな!ときづいた七兵衛さん。

 困っている時に助けてもらったことは、お金にはかえられんと、20両ものお金をさしだした徂徠さんのセリフがまたいい。
 「七兵衛どののように、ひたいに汗して日々働いている人こそ 世の宝だということをわすれぬようにな。」

 思わず、ほろりとする話。人情味のある七兵衛さんにあっぱれ!

 世の中、損得だけ考えていては、つまらないですね。
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文化
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