どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

悪魔とガミガミ女房、悪い妻のはなし、百姓のおかみさんとトラ ほか

2020年06月04日 | 昔話(外国)

 国は違えど、夫婦が登場すると、威勢がいいのは、妻の方。
 女性の強さが強調されていることは、実は弱いことの裏返しなのかもしれません。


猫が家の中に住むようになったわけ(語りつぐ人びと*アフリカの民話/守野庸雄 訳/2004年初版)
 
 一匹の猫がウサギとなかよしになるが、ウサギはカモシカの角で殺されてしまいます。
 猫はカモシカについていくが、カモシカはヒョウに殺され、猫は今度はヒョウについていくと、そのヒョウもライオンに殺され、そのライオンも象に殺され、象は猟師に毒矢で殺されてしまいます。

 猫が猟師のあとについていき、軒下でじっとしていると、猟師がしゃもじをもった奥さんからぶたれて飛び出してきます。

 それを見た猫が「ありとあらゆる生きもの中で一番強いのは、人間の女なんだ!」と叫ぶおちがついています。
                  

悪魔とガミガミ女房(悪魔とガミガミ女房/インドの民話/長 弘毅・訳/福音館書店)

 妻は、愛夫?として登場するのが面白い。

 この話では、妻は夫に首ったけで、家の用事どころか、畑仕事も自分がやって、面倒見のいい妻として登場します。しかしこの女房は気が強く、ちょっとでも気にくわないことがあると、すぐ喧嘩をはじめてしまう男顔負けの女性。

 この女房、喧嘩相手がいないと、いつもピーパラの樹の幹をピシピシなぐりつけるため、この樹に住んでいた悪魔が、ほとほとまいって、男に女房をどこか遠いところに追い払ってくれたら金持ちにしてやるともちかけます。

 この悪魔が地主の娘にとりつくと娘は病気になりますが、男が地主の家に祈祷師にばけておもむくと、娘の病気はたちまち治ってしまいます。地主から沢山の金貨をもらった男は、悪魔のいうとおり、新しい家に引っ越しすることに成功します。

 ピーパラの樹に百年間住まなければならない悪魔は一安心。

 しかし、男がもっているお金がなくなったことから、もうひと騒動が・・・
         

悪い妻のはなし(ロシア)(悪い妻のはなし/子どもに贈る昔ばなし8 つぶむかし/小澤俊夫監修/小澤昔ばなし研究所/2008年初版)

 夫のいうことに、いちいち逆らう妻。
 ある日、木いちごの藪の中に、底なしの穴が開いているのを見た男が、妻をこの穴の中に入れて思い知らせてやろうと思いつきます。

 男が木いちごをとりに森へ行ってはいけないというと、妻は例によって「わたしはいきますよ」という。
 やがて木いちごを取ろうとした妻は、藪の中の穴に落ちてしまいます。

 何日かたって、男が穴のところにいって、長い綱を穴の中に下してみると、小鬼が上がってきて、この小鬼を穴の中にふり落そうとすると、どこかの悪い妻が、みんなをいじめたり、かんだり、つねったりするので、助けてくださいと懇願されます。

 やがて小鬼は町で商人たちの妻や娘にとりつく。しかし男が、部屋に入っていくと病人たちはたちまち治ってしまいます。
 小鬼の恩返しでたちまちお金をもうけた男。

 次に、王さまにとりついた小鬼は、今度は男にこないようにいい、来たらお前を食べてしまうという。
 男が王さまのところにいくと、そこにいた小鬼はお前を食べてしまうという。

 しかし、男は「悪い妻がやってくるのを知らせにきた」というと、悪い妻にひどい目にあっていた小鬼はびっくりして、穴のなかへとびこんでしまいます。
 
 男を食べてしまうという小鬼も、妻にはかなわないというオチは、子どもにとってはわかりにくかもしれませんが、大人にとってはクスリと笑えるかも。


百姓のおかみさんとトラ(パキスタン)(子どもに語るアジアの昔話2/松岡享子・訳/こぐま社/1997年初版)

 トラにであった夫が、牛を食われそうになり、妻の乳牛をわたすといったことから二人の間で言い争いがはじまるが、このおかみさんはいせいがよく働き者。
 おかみさんはうまくトラをやりこめるというもの。

 ここで亭主は、おかみさんから「底知らずのまぬけ!」「頭の中に、ひとかけらの知恵なりを持っていたら、なんとかこの場を切りぬける手立てを考えつけるだろうにね!」など言われっぱなし。

 あとはおかみさんの一人舞台。このあとのことは話のなかにでてこないが、多分、おかみさんが強いほうが夫婦の間はうまくいくのかも知れない。


いどの中の鬼(トルコ)(世界むかし話 中近東/こだま ともこ・訳/ほるぷ出版/1988年初版)

 どうにも木こりの夫のいうことをきかない妻。

 ある日、おかみさんは、古い井戸のなかに落ちてしまいます。

 一日たって、木こりは、おかみさんを縄でひきあげようとしますが、井戸の中からあらわれたのは、なんと鬼。鬼がいうことには、のんびりくらしているところに、おかみさんが落ちてきて、耳をぎゅっとつかんで、離さんものだから、逃げてきたというのです。

 鬼は、助けてくれたお礼に、王さまのお姫さまのからだにもぐりこむから、木の葉を姫のひたいにはるようにいいます。

 医者や占い師に治せなかったお姫様の病気を、木の葉をはって治すと、貧しい木こりはお姫さまと結婚します。

 ところが王さまから、となりの国のお姫さまの病気も治すようにいわれ、しぶしぶ隣の国へでかけた木こり。どうやら井戸の中からでてきた鬼のしわざです。

 木の葉で治そうとしますが、「このお姫さまは自分のものだから、わしの手からとりあげるなら、お前のお姫さまを奪ってやるぞ」と、鬼から脅されます。

 ここで、木こりが、鬼をわなにかけようと、井戸から最初のおくさんが井戸から出てきたので、それを教えにきたというので、おどろいた鬼は大慌てで、都から逃げ出します。
       
 
アリ・ムハメッドのお母さん(新編世界むかし話集7 インド・中近東/山室静・編/文元社/2004年)

 はじめて聞いたとき、アリ・ムハメッドのお父さん、お母さんとでてくるので戸惑いました。

 昔話には名前が出てこない場合が多く、こうした場合、夫と妻などという表現が多いのですが、アリ・ムハメッドというのは惣領息子の名前。

 お母さんはいわば悪妻というか大変なおしゃべり。のべつまくなしのおしゃべりに我慢できなくなった夫は、山に連れていき、深い割れ目につき落とします。

 しかし、子どもたちが泣きわめくので、おしゃべりをやめることを誓ったら、助けようと割れ目に綱をおろしますが、どうもいつもの妻の重さの二倍か三倍の重さ。
 綱に巻き付いていたのは、なんと一匹の大蛇。すぐに綱を離して大蛇を割れ目に落としてしまおうとします。
 ところが、大蛇は三日三晩アリ・ムハメッドのお母さんのおしゃべりや悪口に苦しめられ、このままアリ・ムハメッドのお母さんとは一緒になるぐらいなら死んでしまいたくなるといい、助けてくれるなら、お姫さまの首にまきついて、あなたがくるまで、どんなことがあっても離れないというのです。

 大蛇がお姫さまの首に巻きついて、大蛇をおいはらったアリ・ムハメッドのお父さんは、お姫さまといっしょになりますが、難題がおこります。

 シナの国のお姫さまの首に大蛇が巻きつき、シナの国ではアリ・ムハメッドの父親に助けを求めたのです。

 大蛇は二度はない、二度目に邪魔をしたら殺してしまうといっていたのです。

 さて でかけたアリ・ムハメッドの父親が、アリ・ムハメッドの母親がやってくるとさけぶとヘビはあわてて姫の首から離れ、どこへとも知れず、逃げて行ってしまいます。

 あれ、お姫さまとも結婚するのかと思いましたが、そこはイスラム。複数の妻がいてもおかしくありません。


おかみさんと悪魔(クロアチア)(いちばんたいせつなもの/バルカンの昔話/八百板洋子・訳/福音館書店/2007年初版)

 のべつまくなく気の休まることのない夫が、隣の男の知恵で、おかみさんと大金が隠されている森の穴にむかいます。夫が自分を縄で穴におろしてくれというと、おかみさんが、どうしても自分が先に穴におりるといいだします。これは計画通りでした。

 ところが、おかみさんを穴におきざりにして家に帰った夫でしたが、おかみさんがいなくなって、あれだけ望んでいた穏やかな暮らしなのに、家の中でひとりでいると、あれこれ考えてふさぎ込むばかり。

 そこでもう一度、縄と籠をもって穴におろし、おかみさんの様子を見ようとすると、登ってきたのは、恐ろしい悪魔でした。

 悪魔が言うには、穴には十二人の悪魔が仲良く暮らしていたのに、女がはいってきて、悪魔を踏んだり蹴ったり、殴ったり、しまいには十一人がいじめられて殺されたというのです。恩返しをするので助けてくれといわれて、夫はただ一人残った悪魔を穴の外へだしてやります。

 男は、体に悪魔が取りついて重い病気になった隣の国のお姫さまをなおし、領地の半分をもらい、お姫さまと結婚します。

 後半は同じような展開で、ほかの国から、なにものかにとりつかれて苦しんでいるお姫さまを助けてくれという手紙がとどいて・・・。



流れにさからうかみさん(ノルウエー)(太陽の東 月の西/アスビヨルンセン・編 佐藤俊彦・訳/岩波少年文庫/1958年)

 つむじまがりのおかみさんがいて、だんなさんのしようとすることには、まっこうから反対していました。ある日、だんなさんが畑で、鎌で取り入れしようというと、おかみさんは、「ハサミでつまなくちゃいけませんね」といいだします。

 「生半可の知恵には困ったもんだ」とだんなさんがいうと、「この畑は、ハサミでつみます」と、口喧嘩をはじめます。

 そのまま言い合いをしていると、おかみさんは橋の欄干につまづいて川のなかへどぶんとおちてしまいます。

 だんなさんが「鎌で刈り取ろう」と川からひきあげようとしても、おかみさんは「ハサミです! ハサミです!」と、言い張ります。

 何度もやりとりしているうち、だんなさんが手を離すと、おかみさんは川の底にたおれてしまいます。

 人並みの葬式をあげてやろうと川の流れに沿って川下をさがしましが、おかみさんはみつかりません。隣の人たちにも手伝ってもらい、網をひきますが手掛かりはぜんぜんありません。

 「あいつは人にさからって、いじっぱりだから、きっと死んでも同じなんだ。川上で網をひいた方がいいんだ」と思いついただんなさんが、川の上流を探すと、おかみさんがみつかりました。

 もうすこし、おかみさんの出番がほしい昔話です。

 

 悪魔や鬼、蛇、トラなどがでてきて、おなじような話です。ただ、クロアチアの昔話のように、いざ悪妻がいなくなると、ふさぎこむというのは、子どもにはわかりにくい心理でしょうか。  


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