シャルル・ペローとフランスの民話/樋口淳・樋口仁枝・編訳/国際文献社/2023年
タイトルはそっけないが、「赤ずきん」と似たような展開の話。
娘がおばあさんのところに、焼き立てパンとミルクを届けに行く途中、ブズーにであいました。
ブズーはさきまわりして、お婆さんを殺して小さな娘をむかえ、ベッドに横になるようにいいました。
・娘
エプロンをどこにおいたらいいの?
・ブズー
火にくべてしまいな。おまえにはもういらないからね。
・娘
服、ペチコート、ショーツを どこにおいたらいいの?
・ブズー
火にくべてしまいな。おまえにはもういらないからね。
娘とブズーのやり取りが続きます。
「まあお婆さん、なんて毛深いの?」
「それはねえ、よく身体を温めるためだよ」
「まあお婆さん、なんて大きな爪なの?」
「それはねえ、しっかり体を掻くためだよ」
「まあお婆さん、なんて大きな肩だの」
「それはねえ、柴をしっかり背負うためだよ」
「まあお婆さん、なんて大きな耳なの」
「それはねえ、よく聞こえるようにだよ」
「まあお婆さん、なんて大きな鼻の穴なの」
「それはねえ、かぎタバコをよく吸いこむためだよ」
「まあお婆さん、なんて大きなお口なの」
「それはねえ、お前をよく食べるためさ」
「赤ずきん」と違うのは、この先。
おしっこがしたいという娘に、ブズーは ベッドでするようにいいますが、娘は、外でしたいと言い張ります。ブズーは、娘の足に紐を結びつけ、「用は足したかい?、おわったかい」と聞きますが、娘は紐の端をあんずの木に結びつけ、逃げて行ってしまいました。
ブズーは猿人間という注釈がありますが、昔話では、正体をはっきりさせないところがありますから、リズムを楽しめる話でしょうか。