どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

木のまたアンティ・・フィンランド、三本の金の毛のある悪魔・・グリム、ほか

2018年05月22日 | 昔話(外国)
 ヨーロッパでは髪の毛というと金髪でしょうか。

・木のまたアンティ・・フィンランド(子どもに語る北欧の昔話/福井信子・湯沢朱実 編訳/こぐま社/2001年初版)

 同じ話型の話も多いが、人間の幸せとは何かをさぐるために旅するというのに魅かれるフィンランドの話。

 同じ家に泊まることになった、予言者と金持ちの毛皮商人。
 この家に生まれた赤ん坊が、金持ちの毛皮商人の跡取りになると予言者がいっているのを聞いた毛皮商人が、お金をわたして赤ん坊をもらいうけます。
(貧しい暮らしのため、子どもの幸せのため、商人の申し出をうけるというあたりに、当時の暮らしの様子がしのばれます)

 商人は森の木のまたに子どもにおきざりにするが、狩人に助けられた子どもは、アンティという名前をつけられ、すくすく育つ。
 この狩人のところに一夜の宿をもとめてきたのが、毛皮商人。名前の由来を聞いた毛皮商人は、家族に大切な連絡をするため、アンティに手紙を届けてくれるよう狩人に話します。
(昔の旅というのは、泊まるところをさがすのに苦労したようだが、このことが逆に昔話の舞台の設定の上では好都合か)

 アンティがあずかった手紙は、「手紙を届けた者を殺してしまえ」とあったが、いたずら好きな二人組が、眠っているアンティの手紙を読んで、「手紙を届けた者を、娘と結婚させるように」と新しい手紙をアンティの手に持たせる。
 (当時は、主人の命令は絶対的か?)

 旅から帰ってきた毛皮商人は、娘と結婚したアンティをみて、おどろきをかくせないが、「お前がわたしの跡取りとしてふさわしい人間だということを見せておくれ。わたしは、人間にとって幸せとは何か、知りたいのだ」といい、ポホヨラの北の館の女主人、かしこいロウヒのところいかせる。

 旅の途中、アンティは4つのことをお願いされることに。
 一つ目は、果物がならなくなったわけ
 二つ目は、城をあけるカギのありか
 三つ目は、ずっと木の上で暮らさなければならないわけ
 四つ目は、川の渡し守を、いつまでつづけるのか

 アンティは、ロウヒの娘の力をかりて、この答えを知ることに。

 ところで、人間にとって幸せとは何かとの問いかけに、ロウヒはこう答えます。
「人間の一番の幸せは、大地とともに働くこと。木を切りたおし、根を掘りおこし、石を集めて、水路をつくり、地面をたがやすこと」
(アンティがお願いされた同様の課題は、話によっていろいろあるが、四つ目の、千年も続けてきた渡し守の仕事から解放されるあたりは、他の話でもよくでてくる)

 この話が、岩波おはなしの本では「アンチの運命」(かぎのない箱/瀬田貞二 訳/岩波書店/1963年初版)としてのっている。予言者が魔法使いとなっており、商人の娘がアリという名前ででてくる。
 また、こぐま社版では、ロウヒの娘とあるのが、岩波版では「虹むすめ」とされている。
 
 名前のあるほうが、親しみを感じさせてくれそうな気もするが・・・。

        
・三本の金の毛のある悪魔(グリム童話集 上/佐々木田鶴子・訳/岩波少年文庫/2007年初版)

 この話型と同じなのが、グリムの「三本の金の毛のある悪魔」であるが、このなかでは、ロウヒが悪魔、毛皮商人が王さまとしてあらわれる。
 書き換えられた手紙で、王さまの娘と結婚した若者が、王さまから、娘といっしょになりたかったら、地獄の悪魔の頭にはえている金の髪の毛を三本とってこいといわれてでかけていくが、途中で三つのお願いをされる。

 一つ目は、泉からワインが干上がったわけ
 二つ目は、リンゴの実がならないわけ
 三つ目は、川の渡し守を、いつまでつづけるのか
と、三つ目は同じ課題。

 主人公が若者となっていて、名前がとくにつけられていない。
 
 グリムの話よりは、個人的には、フィンランド版がすとんと入ると思うがどうだろうか。
 ただ、四つも課題があるのは整理してもおかしくはなさそう。

・三本の金の髪の毛・・チェコ(松岡享子・訳/のら書店/2013年初版)

 グリムの話に近いが、渡し守が前の2つでは、何百年も同じことをし続けてきたとあるのに、チェコ版では、20年と短い(昔話の20年はあまり長さを感じさせてない)。、
 子どもの未来を予言するのが、「運命」だったり、ロウヒが太陽としてでてくる。

    
・太陽の王の三本の金髪(太陽の木の枝 ジプシーのむかしばなし/内田莉莎子・訳/福音館文庫/2002年初版)

 主人公が太陽の王の金髪を三本を手にいれることに成功するが、ここで面白いのが、太陽の王。
 朝は小さい赤ん坊で、お昼は立派な大人、夕方は、よぼよぼのおじいさんというもの。
 また、王さまが臆病にえがかれているのも楽しい。鉄砲の音が怖いからとつかわず、狩りに出ても、きばやつめがが恐ろしく野獣や猛獣には手をださない。


・悪魔からぬいた黄金の毛(世界むかし話 フランス・スイス/八木田宣子・訳/ほるぷ出版/1988年)

 グリムがドイツならフランスにも同様の話があります。
 出だしはほかのものよりシンプルで、王さまが小さな男の子を川に流すところからはじまります。
 王さまが出した手紙を書き換えるのは、三人の娘です。
 この話では問答はなく、悪魔のおばあさんが若者に黄金の毛をとってくれます。

 渡し守がでてきて、王さまが渡し守と入れかわり、最後はおぼれてしまいます。

   
・ふしぎなこじきたち(ラング世界童話集1 みどりいろの童話集/編訳 川端康成・野上彰/偕成社文庫/1977年初版)

 ラングの再話。
 三人のおとしよりが話す子どもの運命を聞いた、お金持ちの商人。
 子どもが大きくなって、この商人の娘と結婚し、へびの王さまのところに、12年間の地代をもらい、12艙の船の行方を聞くために、でかけることに。途中に、宿題をあたえられることも同じ展開。
 一つ目は、かしの木
 二つ目は、川の渡し船をいつまでやっていなくてはならないのか(ここでは30年とみじかい)
 三つ目は、クジラの背中を、人間や馬が歩いているが、いつまでつづけるのか

 ラングの再話はわかりやすくなっているが、長すぎるのが難点か。ただクジラがでてくるというのも珍しい。
 
    
 





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