どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おじいさんと三人のむすこ・・エヴェンキのむかしばなし

2013年04月25日 | 昔話(ヨーロッパ)

          おじいさんと三人のむすこ/お日さまとトナカイ シベリア・極東のむかしばなし集/むらやま あつこ・やく なかざわ みほ・え/新読書社/2001年初版


 この話は、エヴェンキのむかしばなしとなっています。エヴェンキ人は、ロシアに1万2千人弱、中国に2万人、モンゴルに3千人が住むといいます。

 おじいさんと三人の肝っ玉が太く勇敢な息子の物語。

 一番上の息子がヘラジカの足あとに気が付き、鉄砲をもってでかけようとします。おじいさんは悪い夢をみたからとひきとめるが、息子は、そんな夢は信じないとでかけます。息子はヘラジカを仕留めることに成功しますが、そこにぞっとするおばあさんが表れ、自分にも食べさせてくれと頼みます。

 息子はおばあさんに親切にしますが、このおばあさん、息子のもっていた鉄砲をこわし、おまけにクマとオオカミをよびよせて息子をずたずたにひきさいてしまいます。

 一番上の息子が帰ってこないので、二番目の息子が出かけていきますが、やはり家にもどってきません

 今度は一番末の息子がでかけていき、クマとオオカミを殺してしまいます。さらに、末息子は、ばあさんが兄さんたちを生きかえらせてやろうというので、おばあさんを案内させ、いのちの水の湖にたどりつきます。

 慎重な息子はおばあさんの言うことを信じなく、小鳥を鉄砲で撃つと、小鳥は石のように湖になって燃え尽きてしまいます。息子のどなり声に、ばあさんは別の湖に連れて行きます。息子が白樺の小枝を湖に投げ込むと、小枝は湖に落ちた途端に根をはやし、芽をふきはじめ新しい枝が生えてきます。息子が白樺の皮からつくった二つのコップに湖のいのちの水をくんで、兄さんたちの骨に水をたらすと、兄さんたちは生きかえり、ばあさんを焚火のなかに投げ込みます。

 三人の息子が登場し、末の息子が活躍して、兄さんたちを救うという昔話の定番の流れ。少数民族のこんな昔話が出版されていることに驚きます。読みやすく親しみやすい訳です。

 この本に収録されているのは11の物語ですが、ツンドラ、トナカイ、アザラシ、アシカ、セイウチなどシベリアという土地と結びついた動物が登場します。

 同じ出版社から「アムール地方の民話」「ウズベクのむかしばなし」も出版されています。
 オーストラリアの先住民アポリジニの昔話もこの出版社でした・・・。