あけぼの

アート、文化、健康、国際・教育、音楽、食・レシピ、日記、エッセイ、旅行記、学問

妙なる出会い

2009-10-17 23:44:43 | ブログ

上級日本語クラスにハイフェんさんという若いお母さんが居る。中国人で夫は転勤族。何年アメリカに居られるかわからないが、その期間を無駄にすまいと彼女は大学で日本語や会計学のクラスを取り、お母さんとして幼稚園の保護者会にもまめに出席し、パートタイムの仕事までこなす努力家だ。自己紹介のときこう言った。「私、東京にいました。主人は一橋大学に留学して博士号を取りました。この子は都立府中病院で生まれました」。筆者は興奮した。「おやまあ、私の日本の家は一橋大学から自転車で5分のところですよ。日本にいるときは都立府中病院にもよく行くんですよ。あなたが日本に居た時お招きしたかったけど、ここで会えたのは特別のご縁ですねえ。」妙なるかな、人生の出会い。(彩の渦輪)


家売りで知るアメリカ人気質

2009-10-17 03:09:47 | アート・文化

遂に18年住んだ家を売り出すことにした。「気力では健康維持は難しい」ということが理由の一つだ。鼻血事件以来、オハイオの暮らしに見切りをつけて、終の棲家は日本と決め、昨年末新居は出来た。そこでUSの家を売りにかかったが売却出来ず2年目に入ろうとしている。

 古家は買うより売る方が難しい。売るための知識もなかったし、契約したリアルターも熱心ではなかった。しかも100年来の不況といわれるこの時期も悪かった。一般に売り出し期間が延びれば値段が下がるといわれているこの社会、足元は見られたくないが最初の買値で売れればよいという結論に達した。どういう形で値下げしていくかがこれからの課題である。値下げすればその購買レベルの人たちが来るだけで家の価値・趣向のわからないまま欠点を見つけるだけ。担当不動産会社も変えて人任せという態度も改めることにしたが、家見の連絡がある度にきれいに掃除をし、片付けなければならない。留守も最小限にするしかない。売買はタイミングがポイントだから即決即断が必要で後は運である。

 時を同じくして我が家にも来て頂いた医者で絵描きのカイムさん(81歳)が奥さんの病気を理由にカリフォルニアに移転するというニュースが入った。家の周囲の全景が林で小高い丘の上にあるアトリエ風の家を売って移るということだ。サム(88歳)も絵の先輩、古家屋は修理など維持の関係で新築のリタイアメント・ハウスに移った。もともとアメリカ人はよく住いを売って引越しする。引越しは人生の変化の一部だ。家族構成や状況の変化、離婚、転勤、老化とその都度住居の場所を変えるので家に執着はないし、頭金は10%弱程度で家を買うので(後は銀行借金)借家的持ち家だ。だから買値は安いに越したことはない。この年のこの時期に買い叩いて頭金を少なくし、その差額を投資として保持し、市場相場が回復したら売り主の初期の売り値で売れば二、三年間家賃無料で住み、値下げさせた差額が利益ととなる。家は仮住まいという考えだ。すべて金が支配するこの社会だ。開拓時代と同じ感覚で新しい環境に移動する人種である。自悠人


交通事故後の松茸狩は惨めだった

2009-10-15 22:04:18 | ブログ

今年は早くから松茸が出ていると言う噂だったが例年通り8月末にコロラドにやってきた。2回山に入ったが一本も見つからなかった。土地が乾燥していて一本も生えていなかった。毒キノコさえなかった。これがいつも取りに来る場所かと疑いたくなるくらいだった。多分この地域には雨が少なかったのだろう。もし今年松茸が生えていたなら私の来る時期が遅かったのだ。だがそれなら取り残しや遅く生え出すものもあるはずだ。今まで8回来たが取れた確立50%、最高は5キロ(07年)だった。だから気にはしない。

松茸が取れない年は温泉の探索にでかけて入浴を楽しんだものだった。だが今回はボルダーに来る折、レンタカーでの追突事故をやってしまった。事故車は一キロほど走って動かなくなった。レンターカー会社から代車を輸送してもらい事故車と取り替えた。調査に来たポリスは事務的で、ライセンスと保険証を見せただけで違反キップ($100)を渡された。事故は保険会社に報告、内容が専門的になるので日本語の話せる職員に代わってくれた。

 事件から18日経てレンタカー会社から事故内容の請求書が届いた。総額$450045万円)。営業賠償、車の価値損失も含まれていた。これらの項目は保険会社の支払い対象から外れていた。コリジョン(衝突)だけだと$3650だった。今回の書類は私が掛けている保険会社からの事故報告がレンタカー会社へされてなかったのか、「保険がないのなら10日間以内に自分で支払え!」とレンタカー会社は脅して来た。急いで保険会社に督促、保険対象外の項目についても折衝で免除があると聞いたので、レンタカー会社と交渉した結果、一部、個人負担を免除して貰った。一番心配したのが輸入車ゆえ「部品が入手し難いので修理に期間がかかるのでは?」だった。そうなると営業賠償日として何ヶ月分も要求されたのでは大変高額になる、と思ったから。結果は案ずるに易しだった。保険金が賄ってくれなかった金額は罰金を含め$500で済んだ。日本と違って保険システムはよく出来ているが何せ人間のやること、チャラン・ポランさんが大勢居る国なのでスムーズにいかない。待つ期間など気に掛ければいらいらさせられる国である。(自悠人)


膨れ上がり落下するイグアスの水の束 完  ~ブラジル~ 

2009-10-13 19:17:08 | ブログ

アルゼンチン側の滝で有名なのは悪魔の喉笛だ。眼前に見る二段滝の水の迫力とその水量の豊かさはブラジル側に負けない。ここは滝に沿って歩くコースが長く、多様な滝を鑑賞出来るよう整備されており、滝そのものの規模が小さくても情緒があり楽しい。ボートで滝の落下地点まで行くツアーはアルゼンチン側からの方が近くて半額で済む。

滝はイグアス河を挟んで二カ国(ブラジルとアルゼンチン)にある。近くのパラグアイを含む三国間は安い路線バスで行き来できる。アルゼンチン側からブラジルにはビザなしで行ける。別の日、イグアス河を越えたパラグァイの街、シルダー・デル・エステに行ってみた。一帯はタックス・フリー・ゾーンで輸入商品が溢れている。日本の電気商品やカメラはその主役、化粧品も多く価格も安い。ブラジル側からの買い物客で一杯だ。盗品や倒産会社の物品等も多いらしい。母国のタバコを買いに来るのだから価格は推して知るべきだ。そこからブラジルへの帰路の渋滞は凄い。イグアス河にかかる橋が国境、そこに向かって周囲の道路から車が集まるのだから混雑に拍車を掛けている。タクシー、路線バス以外はブラジル側関税でチェックされる。サンパウロに帰る夜行バスも運悪く税関の検問にひっかかり多くの買出し連中が商品を没収された。プロの運び屋たちはけろっとしてビールを飲みながら仲間同士との情報交換に余念がない。

ブラジルではイグアスの滝やリオのカーニバルが一般観光の目玉だ。世界から観光客が集まって来る。観光した彼らの口コミでその迫力と素晴らしさが伝わって行くのだが、先進国から余りにも遠いことも価値観を高める要因だろう。見たあとは「なぁーんだ、あんなものか」と記憶の彼方に消えるだろう。(自悠人)


膨れ上がり落下するイグアスの水の束   ~ブラジル~ 

2009-10-12 21:13:08 | ブログ

サンパウロからイグアスまでバスで往復を試みた。古希を過ぎて馬鹿みたいだが片道15時間の夜行である。日本語の話せる現地のおばさんと知り合った。彼女は日本人男性と結婚し、滋賀に住んで4年になる。今回は姉を訪問するため戻ってきたのだ。イグアス到着は早朝7時、誘われるまま迎えに出ていたお姉さんの車に同乗し、お姉さんの家でシャワーを浴び朝食までご馳走になった。その後2日間に及び車でイグアスの滝や他の自然公園、博物館、発電所など案内してもらった。お姉さんは小学校の先生、担当のクラスを同僚に頼み、案内してくれたのだから感謝の言葉もない。初対面の人に親切にする行為は国際人として学びたい。共稼ぎで家は質素だが庭もありお手伝いさんも使っていた。翌日案内された世界最大のイタイープ・ダム発電所はイグアス河にかかる世界最大の発電所だ。生憎の雨でダム湖そのものは霞んでよく見えなかったが、貯水量2000億立方メートル、巨大な電力量を誇る。パラグアイと共同で作られたこの発電所から国内サンパウロの距離まで電力を供給されている。

イグアスの滝のブラジル側はエレベーターを降りたところが一番壮観だ。目の前で膨れ上がり轟音と共に落下する水の束と飛沫、爆風、それに虹も映ってなるほど評判通りであることを実感した。そこから木の歩道橋を歩いて行くと上下二層に分かれた滝やワイドに広がった数個の滝、眼下に落下する巨大な滝などがある。初めに見た雄大な滝と他のすべての滝の爆音が重複し、共鳴し、反響し、さながら音の多重奏だ。飛沫で周囲が霞み、この光景はナイアガラの比ではない。筆者の訪問時は水量が完璧だった。多過ぎると爆風で水煙化して霞んでしまい、広がった滝が見え難く轟音のみとなる。ボート・ツアーは客を喜ばせようとアルゼンチン側の滝の真下まで行く。飛沫で身体中がびしょ濡れになる。大きくボートが揺れ、奇声とも歓声ともつかぬ乗客の声が響く。(続く)(自悠人)