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田辺聖子

2004-06-07 05:18:46 | showtime
「たくさんいる異性の中で、周囲から見てさほどでもないのに、この人でないといけないと思いこむ。恋愛それ自体が、すでにおかしいもん」 とは、

田辺聖子の恋愛観。否定的にとらえているのではない。深刻になれない大阪人気質と本人は言う。

ロングランとなった映画 『ジョゼと虎と魚たち』で、池脇千鶴の演技以上にボクらが驚いたのは、原作が田辺聖子だということだった。てっきり過去の作家だと思っていた。

全集刊行の始まった田辺聖子が自作について語っていた。
いつか読もうと思うので、自身の作品評を記しておく。自戒を込めて。

『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニー)』
1964年の芥川賞受賞作。みんなをあっと言わせようとして裏声で歌っている。若書き。

『うたかた』
受賞後に雑誌『小説現代』から依頼を受けた短編。自身の真骨頂と自ら語る作品。

『猫も杓子も』 『私的生活』 『すべってころんで』
ごく普通の男女の関係をユーモラスに、しみじみ、ほろ苦く描いた恋愛・家庭小説。

『おかあさん疲れたよ』
時代の証人をやっていると感じた作品。

『花衣ぬぐやまつわる…』
高浜虚子に嫌われた俳人杉田久女の評伝。

『道頓堀の雨に別れて以来なり』
岸本水府を中心に大阪川柳の歴史を描く。

(朝日新聞 6月7日 夕刊)