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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

file.no-23 『 ホームズとワトスン 友情の研究 』

2005-04-28 14:35:40 | 書籍
さて、今回は研究書(?)のレヴューです。
世界最高の探偵、シャーロック・ホームズ氏についての研究書は世に数多くあれど、「気楽に」読める本はなかなかないのでは。そう思います。
大学時代、『 ガス灯に浮かぶ生涯』という研究書を読んだことがあるのですが、その・・・読破に三週間を費やしました・。・・・と、言いますのも、読んでいて、まったく面白くないのですね。
私は、大学時代、古代中国史を専攻していましたが、学者が著した専門的な研究書を友人に読ませたことがあります。「読んでいて、肩が凝って、読むのが辛かったよ」と感想が返ってきました。
研究者でもない人間が、その分野の本を読んでも、そりゃあ疲れるでしょう。知識もなければ、堅苦しい文体で、生真面目に論じられているのだから、興味もそそられないし。
私が、『 ガス灯に浮かぶ生涯』を読んだ時、なかなか読み進めることが出来なかったのは、友人と同じような理由からでしょう。

ですが、ジューン・トムスン女史の手による、『 Holmes and Watson -A Study in Friendship- 』( 邦題:『 ホームズとワトスン 友情の研究 』)は違います。
なにせ、わかりやすく簡潔明瞭に論じているおかげで、すらすらと読めてしまうのですから。まったく肩も凝らないし。あえて、難を挙げるなら、頁をどこで閉じて一休みすればよいのか困ったことでしょうか(笑)
( 画像は、創元推理文庫版の表紙を転載 )

『 ホームズとワトスン 友情の研究 』
ジューン・トムスン:著 押田由起:訳 創元推理文庫 1998年

著者のジューン・トムスン女史は、S・ホームズのパスティーシュものを幾つか発表されている方です。
(贋作・・・というと語弊があるので、あえてパスティーシュと言いましょう)
『シャーロック・ホームズの秘密ファイル』に始まり、『クロニクル』『ジャーナル』『ドキュメント』まで国内でも押田さんの訳で刊行されています。
早川書房などでも、他の作家陣の手になるパスティーシュものが刊行されていますが、私は、トムスン女史のパスティーシュものが最高だと思っています。
そう、例えるなら・・・NHKでグラナダ版ホームズのドラマが放送されましたが、それと同じ「空気」を、このトムスン版パスティーシュを読んでいて感じるのです。

本書は、ホームズとワトスンの出会いから、最後の事件まで、足かけ十七章の文章で書かれており、前述したように、すらすらと読める読みやすい本です。
聖典を読む前に、あるいは読んだ後に、あの長大なホームズ事件簿をより理解するために。
あるいは、あのヴィクトリア時代の英国について、より知識を得るために。
この本は、なかなかの一品です。
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2 Comments

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面白そうですね♪ (りえ)
2005-04-28 23:43:02
ホームズとワトソンの友情の研究。

なかなか面白そうですね!

ホームズの研究本は、結構堅苦しいのが多いので、

ホームズとワトソンの友情って取っつきやすくて、ホームズ物のコアを語ってる題材で良いですよね。

本屋で見かけたら買ってみよう
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友情あればこそ (Melville)
2005-04-30 23:00:12
あの名コンビ。

ワトスンの珍推理もあったのでしょう。

試しに読まれてみてください☆
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