A.N.A.L. Co., Ltd. Executive Office of the President

“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

過去TOP記事 2011年10月-11月 AGORA

2011-12-11 14:08:37 | ABOUT this blog

( 2011/10/21~12/10 まで、TOP記事 “ AGORA ” としてUP。 )

よかれあしかれ、強すぎる 「信仰」 は、神に対してであれ、主義主張に対してであれ、結局は 毒でしかない。
ぶつかりあう、二つの異見・主義・主張。
現代であれば、学校教育の賜物である、知的な冷静さでもって、それぞれの長短を論じて、落とし所・妥協できるところを模索して、折り合いをつけます。

しかし、この現代であっても、他者を受け入れづらい 極めて非寛容なクラスタはいるもの。
「車を運転する女は、鞭で打て。 夫から逃げようとする妻は、鼻を削げ。 殺してしまってもかまわない」
と公言する、イスラム教圏にみられるような 一部狂信者もいる。

相手の言い分を聴き、相容れぬモノであっても、なるほど 納得できるモノは受け入れ、疑問・不可解なモノについては 議論を重ねる。 それこそが、対話であり、理性の声を重んじる ヒトであるべき姿では、ある。

けれど、他者へ危害を加えることを、法でもって禁じている現代であっても、なお難しい。
過去においては さらに 難しかった。
キリスト教やユダヤ教の「唯一無二、いっさいの疑問を許さぬ」 教義に、屈従しないということ。 また、女であるということによって、憎悪され、殺された人間もいた。

   ***

4世紀当時、地中海世界 最高の学問の都であった、エジプトのアレクサンドリア。
蔵書数70万冊以上とも言われる大図書館も擁し、学問ヲタにとっては、たまらない都市。
そこで、当時の 頑迷かつ狂信的なキリスト教徒に殺害された 女性哲学者ヒュパティア。

当時、他の哲学者を はるかに凌ぐ、学才を有していたといわれた。
けれど、その 深い見識のため、すべての男と対等に接したことが、一部キリスト教徒の反感を買った。
一部キリスト教徒の、強い憎悪を受けたと思われる。
ある日、帰宅途中であった ヒュパティアを拉致し、こともあろうに 「教会」 の敷地内で殺した。
裸に剥き、瓦で 嬲り殺しにして( 牡蠣殻によってであった、ともいわれる ) 、死体をバラバラに切断し、焼き捨てた。
 ( 5世紀の教会史著述者 ソクラテス・スコラスティクス 『 教会史 』
   THE ECCLESIASTICAL HISTORY of Socrates Scholasticus. 第7巻15章 より
     日本語版は、刊行されていませんが、“ The Christian Classics Ethereal Library ” にて、
     英語版が無料公開されていますので、根気よく読んでみても 面白いかと思います )


冒頭画像は、ヒュパティアが キリスト教徒に殺される前の、最後の数年間を描いた 映画 『 AGORA 』 (邦題:アレクサンドリア 2011年3月日本公開 ) のもの。
―― キリスト教徒や ローマ末期の描写が、「ちょ…っと どうかな?」 という印象を受けましたので、映画自体は、レヴューに取り上げなかったのです。
ただ、いまだ サウジアラビアの女性への鞭打ち刑、エジプトのコプト教徒への迫害や リベリアのエレン・サーリーフ大統領の苦境などを みますと、「女だから、唯一なる神の教えに従わないから」 と ヒュパティアを嬲り殺しにして平気であった、キリスト教徒の狂信さを連想したのです。

他者と違うモノの見方・考え方を表明している。 ただ それだけで、一方的に 排撃しても構わないとする人間。
ミレニアムを越えて、いまなお 非寛容すぎる人々が多いように 思われましたので、ヒュパティアへの 寄す処として、TOP記事にしました。
なににつけ、拒絶よりは、寛容を心がけること。 問いを発し、考え続けることこそ、成功のコツだと思います。

( 10/21 更新 )

         ***

“ 土を愛し、樹を愛し、日々畑に立つ。 それだけの事が出来ない者は、破れて当然。 ”
アンリ・ジャイエ  2011/10/21-10/30 TOP  

“ 半裸って 四捨五入したら全裸ですよね。 ”
   塩味動物園  2011/10/31-12/10 TOP  
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« FF零式 第三章…なんですよね? | TOP | file.no-124 『 おまけの小林... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | ABOUT this blog