file.no-06 『 Murder, She Wrote 』

高齢化社会が問題視され始めてもう幾年月が過ぎたでしょうか。
人間、50を過ぎたら、もう老いぼれ・・・なんて思ったことは？
このドラマはそんな口には出せぬ社会の暗部の声を蹴り倒すような、そんなスーパーおばちゃまが活躍するドラマです。

『 Murder, She Wrote 』、日本では『 ジェシカおばさんの事件簿 』としてNHK総合で90年代半ばぐらいまで放送されました。本国、アメリカ合衆国ではCBSで1984年から1996年まで足かけ12年間放送され、現在でも2年に一本の間隔でＴＶスペシャル版が製作されています。また、本国アメリカでは、すぐれたＴＶドラマに贈られるエミー賞に幾度もノミネート。
( 画像は The Definitive Guide to Murder, She Wrote より転載 )
アンジェラ・ランズベリー女史が演じるミステリー作家、ジェシカ・フレッチャーが自分が巻き込まれる殺人事件を解決していく、そんなドラマです。

舞台はアメリカ・メイン州、人口二千人の田舎町キャボット・コーヴに住むジェシカ・フレッチャーが主人公。
夫を亡くし、未亡人の彼女は、以前は高校の教師でしたが、今ではミステリーのベストセラー作家。
なぜか彼女の周りでは殺人事件が頻繁に起こる。
キャボット・コーヴは静かな街なのに、驚きのペースでドンドコ殺人事件が起こる。
ジェシカおばさんの行く先々、ニューオーリンズやヴァージニア、はたまた豪華客船でも殺人は起こる。
毎週毎週殺人事件が起こる。
そして毎週毎週巻き込まれる。たまに、自分からも巻き込まれに行く。
ジェシカおばさんは、どんな事件が起きてもめげずに立ち向かう。
自分がぎっくり腰で、ベッドに寝込んでいても、甥や保安官を指揮して捜査に乗り出すタフな人。
ミステリー作家としての毒薬の知識や生活の智慧、推理力をフル稼動で事件を解決していく。
「 よござんす！ 」が口癖。　( 言った後、しばらく無敵状態になります )
そんな彼女を支えるのは、町の保安官エイモス・タッパー（ 画像左側のおじさん ）。
「 わしにはわかっとった！ 」が口癖で、よく結論を先走るが、犯人逮捕の決定的証拠や推理をするのはいつもジェシカおばさん。そんな二人は大の仲良し。
それに町のお医者さんセス・ハズリット。
町一番の名医らしいが、ジェシカおばさんが全国的ニューズ番組のインタビューを受けることになり、「 町が全国に紹介され有名になる☆ 」と町の皆が浮かれ騒ぐのにキレて、「 私は反対だ！ 」と言って患者を放り出してヒューストンの親戚の所へ出奔するというお茶目な面が。
( そしてこの後、ニューズ番組関係者が町で殺され、町は大騒ぎに )
こんな三人でタッグを組んで、事件に乗り出す時もある。
町の保安面と医療面でちょっと不安のある町、それがキャボット・コーヴ。
しかし、おばさんは言う。
「 この町が一番よ！ 」 　( 住めば都だと・・・？(笑)

番組開始時期、ジェシカおばさんは59歳。
『ジェシカおばさん』との訳をあてた日本語版担当者に乾杯。
『ジェシカおばあちゃん』では微妙に問題だったでしょう。
NHKの放送した日本語版は、全12シーズン中、初期の第3シーズンまで。しかも微妙にカットしている場面もあるとかないとか。
アガサ・クリスティ女史の『 ミス・マープル 』シリーズの映画版でやけに元気なミス・マープル役を演じたこともあるアンジェラ・ランズベリー女史。このジェシカ役もハマッています。
吹き替えの声をあてた、森光子さんもハマッてます。

このドラマは、日本の推理ドラマと違い、犯行のトリックもむやみやたらに小賢しくなく、視聴者にスムーズにアピールしていると思います。
また適所でコメディ要素も配していて、下手な演技ではない笑いがツボでしょうか。

また心温まるエピソードも盛り込まれていて、観ていてキュンとなる場面も。
ジェシカおばさんが、「 この町を離れようと思ったことはないのですか？ 」と聞かれて、返した答え。

「 夫が死んだのがこの町、そしてミステリーを書き始めたのもこの町・・・。
　 離れようなんて思ったことはありません。 」

夫フランクの思い出とともに過ごしたいというおばさんのいじらしい女心、私はとても好きです。
こんなステキなおばちゃまに、私はなりたい☆