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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

file.no-32 『 LES RIVIRERS POURPRES 』

2005-05-25 04:36:57 | 映画
" 我々は、支配者であり奴隷
 至る所にいて、どこにもいない
 深紅なる川の支配者 "

2000年に公開された、ジャン・レノ主演の映画『 LES RIVIRERS POURPRES 』(邦題:クリムゾン・リバー)。
( 画像は、映画の宣伝用ポスターのものです )
フランスの小説を原作にして、フランスで制作されたこの映画は、どっしりとした重厚な趣をみせています。

あらすじは、
 アルプスの大学街の近くで、「生きたままで」手首を切り落とされ眼球を取り除かれた惨殺死体が発見された。
 パリから腕利きの警察官ニーマンス警視(ジャン・レノ)がやってくる。
「眼球や手は、人の身分証のようなもの」
 そう話した地元の眼科医。
 エリート主義を標榜する、ゲルノン大学。学長職や教授職は世襲制。近親婚でエリートの血を守っているのだという・・・。

 一方、街から200キロ離れた村で、墓荒らし事件と小学校からの生徒情報盗難事件が起こる。
 捜査に当たったマックス警部補(ヴァンサン・カッセル)は、1982年の高速道路での交通事故死した少女の件を嗅ぎつける。少女の死体は、発狂した母親によって「 指を切り落とされていた 」という・・・。
 修道院で過ごす母親は、警部補に話す。
「悪魔がやって来る」と・・・。

 二人の警官は出会い、この二つの事件が根を同じくするものだと察知する。
 次々と発生する大学関係者の殺人事件。
 やがて明らかになる大学の暗部。大学幹部の実験。
 一冊の手稿に記された言葉、『 深紅の川 』。

 深紅の水とは、人間の血液のこと。
 深紅の川の流れとは、人間の血筋のこと。
 かつてナチス・ドイツによって研究された優生学。人為的な遺伝子の交配。
 大学は、男女の生徒同士を作為的に交際させ、優良な人間を意図的に産出させていたのだった。
 また、閉鎖された環境での近親婚で劣化した血を改善するために、大学病院で、大学街の病弱な新生児と山村の頑健な新生児とを取り替えてもいたのだった。

 殺人事件は、大学によって取り替えられた子供による、復讐だったのだ。
 事件の犯人は、意外な人物だった・・・。

こんなかんじでしょうか。
ジャン・レノ演じるニーマンス警視、なんといってもこの映画の顔ですね。やはり深みのあるすばらしい演技です。
映画の原作小説『クリムゾン・リバー』から、かなりの台詞や時代背景や説明を削減してしまったこの映画。「薄く」なってしまった部分を補い、深みを与えるのが、ジャン・レノの演技だと思います。

大学が、知識の番人で継承者であるべき大学が、悪意を持った時どうなるのか?というのもこの物語のテーマのひとつだと思います。
大学の講義で割り振られる「座席」。それによって、選ばれた男女が作為的に出会わされ、その後の「展開」まで操作されるとしたら・・・。
優良な遺伝子、劣悪な遺伝子。人間の血脈。
なかなかインパクトのある映画でした。
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