バーミンガム・ロイヤル『コッペリア』

奈緒さん、チーさん、素敵な舞台をありがとう！

ライト版コッペリアを見たのは今回が初めてだったのですが、なんだか心があったかくなるような舞台でした。
今までに見た最高にキュートなスワニルダ、そして最高にエレガントなフランツだったと思います。

スワニルダ：佐久間奈緒
フランツ：　ツァオ・チー
コッペリウス：マイケル・オヘア

音楽：レオ・ドリーブ、振付：プティパ、チェケッティ、サー・ピーター・ライト

フィリップ・エリス指揮　関西フィルハーモニー管弦楽団
兵庫県立芸術文化センター大ホールにて

本当に、素敵な舞台でした。奈緒さんのキュートな人形振り、エレガントなのにお茶目そのもののチーさんのフランツ、そして、コッペリウスの妖しさ！
フランツは浮気性で、コッペリウスの家のバルコニーに置かれたコッペリアに愛想を振りまいてみたり、ジプシー女性の媚になびいてみたり…そんなフランツに腹をたてながらも、スワニルダにはフランツしか見えてない。
そして、何より素晴らしかったのは、主役のお二人のパートナーシップです！チーさんは、どこに手を添えれば奈緒さんが踊りやすいか、よりキレイなポーズができるか、感覚で身についているよう。そして、奈緒さんは、リフトの時も安心してチーさんに身を任せてどこまでも笑顔です。
ライト版はスワニルダに比べ、フランツの踊りの見せ場はさほど多くないと思いました。それに、スワニルダとフランツが愛にあふれたPDDは最後にひとつあるだけ。ですが、最後のPDDは本当に感動的でした。もっと見ていたい、もっと二人で踊ってほしい、そう思わせる二人のパートナーシップでした。
が！最後に、おいしいところを持っていったのはコッペリウスでした。あぁ、これはコッペリアっていうんだっけ。人形にも魂を与える鐘の響き、ドリーブのやりたかったことは実現できていますか？
「暁」は、キャロル＝アン・ミラー。振付がとてもよく合っていて、優雅で素敵でした。「祈り」は、シルヴィア・ヒメネス。彼女はイアン・マッケイの私生活のパートナーだそうですが、スッキリくっきり踊る人です。1幕ではフランツを誘惑する？ジプシー女性も踊っていましたが、こっちのほうが合っているような気も。
他にも、平田桃子さんがスワニルダの友人を踊っていました。日本人ダンサーが海外で活躍していると嬉しいですね。

終演後の奈緒さんは、なんと、２ℓ入りのお水のペットボトルを抱えて最後に楽屋から出て来られました。お疲れでしょうに、サインや写真を希望するファンに最後まで笑顔で応えてくださった奈緒さんに感謝です。チーさんは、舞台の上で見せてくれたそのままの笑顔！ちょっと照れ屋の素敵な紳士でした。
…奈緒さんにありがとうと言いたくて待っていると、楽屋から出てこられた素敵なダンサー！サインをいただいたのですが、その方がドミニク・アントヌッチさん！ツアーの最終を飾る、びわ湖での主役を踊る方です。兵庫の劇場について、本当にキレイでいい劇場だ！と気に入った様子。アメリカ・オハイオ出身だというドミニクさんは、ファンに応える奈緒さんを最後までず～っと待っていらっしゃいました。野獣の着ぐるみではなく、素顔のドミニクさんにお会いできてよかったです。びわ湖での『美女と野獣』を、楽しみに待ちたいと思います。