よいことが出来る人は、この同じ分量だけ悪いことも出来る。住んでいるフィールドには善悪が混在しているからだ。善と悪の互いの隙間に、それぞれが隙入ってくる。油断をすると領地を占領される。高気圧低気圧も互いを好敵手としている。晴れているかと思うと曇る。やがて雨になる。
善悪ともに、行動をしないでいればいいのだろうか。思いだけなら、善悪、白黒が形を取らず、はっきりしないので、結果を引き受けなくとも済む。思いは行動の手先。善の行い、悪の行い、行いに進む前に、思いの段階で思い止まればいいのである。
善によく似た悪もある。悪によく似た善もある。区別がつきそうだがつかないこともある。善に似せた悪もある。悪に似せた善もある。混じり合っているのかも知れぬ。沼地の底の泥の状態かもしれぬ。水面上の純粋培養善、純粋培養悪はほんの僅かかも知れぬ。