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秋祭りと濠干し

2016年10月07日 15時14分05秒 | Weblog

 「秋祭りと濠干し」

 秋祭りが近づいて来た。早朝から農業用溜め池の「濠干し」が始まる。水は数日前から抜き始めてある。濠は山の麓にある。お宮さんを中に挟んで左右にある。「お宮の塘」と呼んでいた。隔年に片方ずつを干し上げる。子供から老人までがこの塘に集まって来る。底の方にわずかに残っている水に大型の魚が背鰭を見せて泳いでいる。これを目掛けてこども等が走り回る。「おれが捕まえたぞ」「おれもだぞ」の歓声が上がる。足も手も背中も顔も泥だらけだ。鯉やら鮒やら鮠やらエビやらがいる。時には鯰や鰻もいる。待ち構えた女衆が料理に掛かる。酒宴が始まる。鯉の洗い、鯉濃、鮒の煮付け、エビの掻き揚げなどが長い膳に列ぶ。餅も搗いてあって牡丹餅になっている。秋野菜料理も添えてある。聚落の面々が顔を揃える。日頃の無沙汰を詫びる。祭りの語源は「間を吊る」ことらしい。
  わたしが幼い頃、ご馳走を食べ終えたこども等は連れだってまた塘に向かった。今度は田螺を探して回るのである。干上がった塘の底の泥に田螺が這った跡がある。これを辿る。花籠が一杯になる。お婆様が味噌や醤油味で佃煮にしてくれた。これが次の日から鬼ごっこのこども等の貴重なお八つになった。

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