あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

東武鉄道5070系クハ5183、5683/満寿池

2015-08-18 | 群馬県
保存車両は数あれど、その中には必ずしも所有者側がその車両を指定して譲渡を受けた訳ではない車両がある、と言う衝撃的な事実があります。
今回ご紹介するのは、偶然の中から選ばれた、幸運な車両達です。



群馬県高崎市、群馬県下最大の都市である同市ですが、市街を抜けると徐々に山深くなって行きます。そんな山中へ続く道の一本に、国道406号、通称“草津街道”があります。
市街地からしばらくこの草津街道を走り、倉淵地区の集落を抜けて街道が烏川に沿って山越えを始める辺りで、突如、川沿いに見慣れた「東武カラー」の車両が姿を現します。
東武鉄道5070系、と言うとあまり知名度は高くないかもしれません。ですが、首都圏のターミナル駅に最後まで乗り入れていた吊り掛け駆動の車両、と言葉を変えれば、なんとなくお分かりになる方もいるのではないでしょうか。
大宮から春日部、柏を通り船橋へ至る東武鉄道のドル箱路線である野田線にて2004年まで活躍していた5070系。ここで保存されているのは、5070系の第13編成である5183編成の両先頭車です。



ニジマス釣りをたのしめる釣り堀と、地域の新鮮な食材を生かした食事の楽しめる「満寿池」にて、団体用のスペースとして利用されているクハ5183、5683。5070系、引いては5000系列の貴重な生き残りです。
母屋を抜け、釣り堀を進むとすぐに顔を覗かせるこれらの車両。手前側にクハ5683が佇み、その後ろにはクハ5183が続いています。クハ同士なのでこの編成で動くことはできませんが、編成然としているのは好感が持てます。



こちらはクハ5183。屋根も取り付けられ、状態はまずまずと言ったところでしょうか。
ここで興味深かったのは、ご挨拶に伺った際にお店のおばあちゃんが懐かしそうに話してくれた、裏話です。
こちらの施設では、これら2両が設置される前から、鉄道車両の設置を視野に入れており、JRにお座敷列車の譲渡を要請していたとか。しかしながらタイミングが合わず断念したその矢先、5070系を譲り受ける話が浮上したのだそうです。
つまり現在も大切にされているこれらの車両達は、タイミングが合わなければ、編成の他の車両たちと共に重機の餌食となっていたかもしれない訳です。偶然の連鎖が、現在の貴重な車両達の保存に繋がっているのは、喜ばしいことでありましょう。

なお、側面を覗くとそこには異様な光景が。



ロングシートや網棚が車体の側面に設置されている…なにやら不思議な状態ですが、これもまた利用客への配慮なんだそうです。
お店の一部として、大切に使われているこれらの車両。綺麗な姿をぜひいつまでも川沿いに残して欲しいものです。

〈物件データ〉
設置場所:群馬県高崎市「満寿池」
営業時間:10時~20時

撮影:2015年8月2日17時頃



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