多病息災発達障害者こよりの日常

両手で数えきれない障害と持病を抱えつつ毎日元気に活動中。発達障害の息子たちの子育ても終え、悠々自適の毎日です。

帰省の思い出

2018-05-06 18:17:51 | 思い出
お盆や年末年始、大型連休になると、


帰省ラッシュの 渋滞のニュースや 交通情報が流れてくる。


私の実家は やや遠いといっても 同じ県内なので、


渋滞にかかっても 長時間にはならない。


夫は 生まれた家に住んでいるので、


帰省という経験自体がない。


私の 両親の生家は 距離も遠く、


電車を 何度か乗りついていかなければならなかった。


車など 家にはなく、高速バスも無い時代だったので、


朝早く家を出て、夕方か夜に 父の生家に着くのが常だった。


荷物は最小限にして、きょうだいそれぞれ自分の物を


詰めて ホームに並んだ。


長い時間過ごすのに 飽きないように、


キオスクで 普段は買ってもらえない雑誌を一冊と、お菓子を


一つ選ばせてもらえるのが 最高の楽しみだった。


いつもの5円や10円の駄菓子ではなく、箱や


きれいな包装のお菓子は眩しかった。


長時間 電車に乗っても、雑誌を読んだり 付録を失くさないように


リュックのポケットにしまう事が楽しかった。


父の生家と母の生家は、さほど離れていない距離にあり、


帰省中に 母は 私達きょうだいを連れて あちこちの


親戚の家を訪ねて回ったりした。


私は 知らない人に会う事が嫌になり、


母と きょうだいを 見送って、父の生家の庭で


一人で遊んだりした。


退屈になったら 雑誌や 付録を取り出して、


眺めて 楽しんだ。本当は 本を読みたかったが、


本がどこにあるのかも わからない。


荷物が重くなるからと、荷物の中に本を入れる事は


許されず、活字のない時間は つまらなかった。


家に帰る時は、伯父や伯母が くれた食料品を


持ちかえるので、私達の荷物にも 食料を入れる。


そのため 雑誌と付録を捨てるように言われたが、


私は 納得できず、母は 怒りたいのをこらえて、


「また 買ってあげるから」と言った。


しぶしぶ 手放して 重くなったリュックを背負って


駅に向かうのだが、荷物より気持ちの方が重かった。


帰宅してからは、 母は 帰省にかかった交通費や


手土産代の分を 節約して 補わねばならず、


「また 買ってあげるから」の言葉を 信じて


母にねだった 私を、母は 「面倒な子だねえ」と


相手にしてくれなかった。


本当の理由を、電車の中ででも、せめて帰宅して


きょうだいが寝入った時にでも 説明してくれたら


私も 納得できたかもしれないが、


「うそはいけない」と言う母が、私にうそを言う矛盾が


心の奥に 刻まれて、いつしか恨みになっていた。


その恨みは 母の その場限りの言葉を 聞くたびに


どんどん積もっていったのだが、母は 私が そんな風に


感じているとは思いもしなかった。


ある日 また 母が「また今度ね」と


言ったとき、私は 爆発して 母に食ってかかった。


母も 私の剣幕に驚き、私の話を聞き、


今までの約束の全部は覚えていないし、果たすことができないが、


一つだけなら 買ってやる、と言った。


母と二人で お店に出掛け、母の予算にかなうものを


一つだけ買ってもらった。


その時買ってもらったものを、今でも私は持っている。


帰省の度に 手放して来たものを、取り返す事ができ、


嬉しさよりも 何とも言えない勝利感を得た感じだった。


普通の子どもなら 忘れてしまうであろう事も、


私は 忘れる事ができなくて 長い間 抱えていたが、


その日をきっかけに、何かが変わったように思う。


あの日から 何年経つのだろうか。


今日は 長男と一緒に 母を訪ね、父の好物を供えた。


3人で 食事をし、母が持てない重い物も 長男が運ぶからと


必要な物を選んで買い、家まで運び込んで お茶を飲んだ。


用があり、外出していた夫に電話を入れ、


迎えに来てもらうように頼んだ。


母も 昔の勢いはなく、穏やかになり、


夫が 「母の日ですから」と渡した包みを 嬉しそうに


受け取り、仏壇に供えながら


「こんないい物がいただけるんだから、長生きしなくちゃねえ」と


笑顔を見せた。


今日過ごした数時間の間、母の口からは


何の小言も 不満も 出なかった。


私が 変わったように、子どもたちが変わったように、


母もまた 歳を重ねて 何かが変わったのだと 感じた。


























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