「お手本の国」のウソ を読んだ。
フィンランドの教育制度、フランスの少子化対策、イギリスの2大政党制、アメリカの陪審員制度、など、制度的文化のお手本として語られる国に、実際に住んだ日本人ジャーナリストが問題点などを指摘した本。
ひとたび「あの国の・・・がすごい」と報道されてしまうと、後追いでプラスの側面のみを述べ立てた論説ばかり目につくようになる。しかし、どんなことにだってプラスとマイナスの両面があるのだから、両方に対して目配りして考えていかないと、ものの見方を誤ってしまうと思う。
その意味で、バランスのとれた意見を培うのにいい本。
国内でも、たとえば中学生の学力検査を県単位で比較した場合、1,2位になった県は賞賛ばかり集まるようになるが、もっと、「どのような調査を行ったのか」「どういう特性が有利に作用するのか」「調査で測定できない部分は何か」といったことまで分析した報道があるべきだと思うのだが、ほとんどない。単純な床屋談義を生み出すだけの論説が多すぎると思う。