長篠落武者日記

長篠の落武者となった城オタクによるブログです。

遭難しかかる ~かつてない恐怖の城旅~

2012年03月25日 | 
昨日のブログは「果たして私は城へ行くのか?乞うご期待!」で終わりました。

書き終えた後「そうだ甲府へ行こう。」とJR東海のCMみたいなフレーズが頭に浮かびルートを確認する。
「今(24日22:00)から出れば新府城や要害山城など見放題では・・・?」と、思ったものの「いやいや今日は1時間半しか寝てないし。」
そうなのです。
私は下戸でして、酒を飲むと体調がおかしくなって眠れなくなることの方が多いのです。で、どうせ2日間休みだし、と、そのまま本などを読んで土曜の朝を迎え、掃除に勤しんで土曜日は終わったのでした。
椎間板と頚椎のWヘルニア持ちなので寝ていないと腰や首など脊椎系に痛みが走る。その前兆が感じられたので「今から寝て朝4時半に起きれたら甲府へ行こう。」に切り替えました。

朝4時半に携帯が犬のお父さん(北大路欣也)の声で「おはようございます。」と連呼する。(ソフトバンク携帯に入ってる。)しかし眠いだるい。そのまま寝ることとする。この時点で甲府は断念。
ようやく目が覚めると7時半。「これなら飯田方面はいける。」と思い、素早く身支度を整えGO!
昨日の質問「私は城へ行くのか?」の正解は「行った」でした。
正解の方々には、たぶん明日ちょっとした幸せが訪れると思います。

新城市は晴れだ、さぁさぁと鼻歌交じりで気楽な一人旅。丁度奥田民生の「イージュー☆ライダー」などがかかって気分よく走っていると、おかしい。

雪が降り出した!
どうやら飯田は雪後雨後曇。なんとかならんものか。でも、道に雪が積もらない程度ならいけるさ。行けるとこまで行こう、と、腹を括ると辺りが雪景色に。

いやいやいやいやいやいや。いまさら静岡の勝間田城へ変更するったって時間ないし、とぐずぐず進むと、やがてわだちができている状態の道へ。
タイヤはノーマルにこないだ交換したばかり。
「こりゃあ駄目だわ。」と諦めて、来た道を引き返すが、豊根村坂宇場を過ぎた辺り。このあたりに砦山城なる、ちょっと気になる城があるので、せめてそれだけでも見ようかと思いナビで検索してみる。が、どこがどこやらさっぱりわからない。
で、図面を頼りにそれらしきところを登る。
が、見当たらない。そして雪だらけの上にとてつもなく険しい。
比高差60mというので大したことないと思って上がり始めますが、どこがどこやら。今まで経験したことのない藪漕ぎをする。夏場ならば虫や獣やダニでとても怖くて登れないが冬なのでワシワシ登る。しかし、笹というものは下に向かって生えるため、まるで槍衾のように行く手を阻む。

※この光景がひたすら続くのです。斜度は45度以上。滑ればとまらない。
目を突きそうになるわ、足に絡みつくわで何度も辞めようと思いながらもここまできたのに、と更にあがる。
「こうして人は遭難するのかもしれない。」
という言葉が頭の中で鳴り響く。しかも、どこかで救急車のサイレンも鳴っている。藪と坂と格闘すること1時間半。いつまでたっても上がある。流石に「おかしい。いくらなんでも60mを越えてるだろうし、本と違って険しすぎる。」自分ならばとてもこんなところに作るわけがないと思って断念。

※断念記念にセルフタイマーで写真を撮る。眼鏡が曇って目伏せする必要がない。
雪で本はぐちゃぐちゃになるわ、手袋忘れて気温0度近くの雪の中で素手だわ、カッパは防水だからいいものの中は汗だくで眼鏡は曇るはで最悪。下山する途中で足を滑らし転ぶこと2回。あやうく転落するところでした。転ぶことにはスキーやインラインスケートで慣れているので怪我はしませんでしたが汚れ放題。結果的に家に帰ってきて調べたら、全く違う場所を登攀していました。。。嗚呼。事前の調べが大事ですね。

この格闘2時間半のお陰で日が差してきた。そのため、いけるところまで再チャレンジしたところ、道に雪がない!それでは一路大島城へ!と走り出す。途中、また雪の積もった場所がありますが、雪も無いし日も照ってるし、この後は溶ける一方で午後4時過ぎくらいに飯田を出れば凍結前に帰れるだろう、との読み。
と、そこに衝撃の光景が。
流石に写真は取れませんでしたが、道に雪が残る場所の下り坂対向車線で止まりきれずにガードレールに突っ込んで前がぐちゃぐちゃになってる車を発見。警察がまだいました。先ほどの救急車はこれか・・・。と背筋が寒くなる。
その後、気温は4度以下の中、日がさしていたこともあり、大島城へ向かう途中、上野南本城、上野北本城、大下砦、松岡城を攻略。結果的に五城を落城させました。それもこれも気軽な一人旅のお陰。これらの城についての詳細は、明日以降に写真とともにご紹介する予定です。

しかし、この予定外の寄り道が多かったため、夕方5時近くに松川インターから帰宅の途に着くことになりました。中央道を飯田山本インターまで行き、国道153号ならば行きの国道151号のように狭くないし、交通量も多いから安全ではないか。駄目ならば中央道に戻って最悪東名豊川経由で大回りもできるし、と、考えて走り出す。
駒ヶ根から飯田へ向かい雪雲が出始めており、逃げるように走る。153号で結構走り出したとき、電光掲示板に「積雪路面あり。雪チェーン要」と書いてある。
げぇ、積雪路面!どれくらい?!と思いながらも、まだ日は差していたはずだから、わだちができてタイヤ設地面だけでも雪がない状態ならば、と祈るように走っていく。
そしてどこだかのトンネルを抜けると、衝撃の光景が。。。

雪で道が白い。
そして下り坂。
更に橋で道をつなぐことが多用された道。

この程度の雪道はスキーで何度も走っていますが、ノーマルタイヤで遭遇したのは人生初。名古屋でもこの程度の積雪はありますが、そういう時は車を使わなくても良い生活でしたので経験がない。

恐怖で凍りつく。

今履いているノーマルタイヤも結構減ってる。一旦脇に寄せて停車し、ゆるゆると走り出してわざと急ブレーキを掛けて、何キロまでならばスリップしないか確認をする。まだ降りだしたばかりの新雪だったため雪をよくタイヤが噛み、40kmまでならば走れる。しかし、この後ヘブンス園原だとか治部坂スキー場だとかも経由するので、駄目かも、と、思いながら必死に走っていく。この辺りで宿に入っても明日雪が溶けている保証もないし、むしろ凍結して今より条件は悪いだろう。
念のため外気温を測ると無情にも0度の表示。これでは路面が凍結している可能性が高い。と、思っていたら、道路脇の温度計が「-4」を指している。。。
行きに見た事故の光景が頭をよぎり、恐怖で顔がこわばるのがわかる。また、間の悪いことに今日に限って携帯電話を忘れてきてしまったので、事故った場合連絡をすることもできない。
-3度以下になると車内に暖房を掛けていても窓ガラスから寒さがしんしんと入り込んできます。そして、ワイパーのゴムが硬くなって「ゴっゴっ」と不気味な音を立てる。スタッドレスならば-6度でも経験あるから安心して走れるのに、と、思いながらもタイヤが地面をつかんでいる感覚はあるので走り続ける。
そして治部坂を越えたあたりから車道の雪が消え始める。-2度表示なので凍結しているかもしれないので前の車の動きを見ながら慎重に運転を続ける。
ひたすら下り続けるうちに、ようやく路面が乾きだし、念願の外気温0度表示まで戻る。
事故らずに済んだわ・・・。と愛知県境を越えたときに心の底から安堵しました。

まぁ、今日は身も心も凍る体験をして、なんとか家にたどり着きました。
家で携帯をみると、妻からメールが。そして返信をしたのですが返事が来ません。

本当の恐怖はコレなのかもしれません・・・。