田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

エクス・マキナ(Ex Machina)

2016年07月14日 13時19分41秒 | 日記

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 「28日後...」「わたしを離さないで」の脚本家として知られるアレックス・ガーランドが映画初監督を務め、美しい女性の姿をもった人工知能とプログラマーの心理戦を描いたSFスリラー。第88回アカデミー賞で脚本賞と視覚効果賞にノミネートされ、視覚効果賞を受賞した。世界最大手の検索エンジンで知られるブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、滅多に人前に姿を現さない社長のネイサンが所有する山間の別荘に滞在するチャンスを得る。しかし、人里離れた別荘を訪ねてみると、そこで待っていたのは女性型ロボットのエヴァだった。ケイレブはそこで、エヴァに搭載されるという人工知能の不可思議な実験に協力することになるが……。「スター・ウォーズ フォースの覚醒」「レヴェナント 蘇えりし者」のドーナル・グリーソンが主人公ケイレブを演じ、「リリーのすべて」のアリシア・ビカンダーが美しい女性型ロボットのエヴァに扮した。グリーソンと同じく「スター・ウォーズ フォースの覚醒」に出演したオスカー・アイザックがネイサン役を務めている。(映画.comより)

 

 

 

 

 う…ん、何とも言えない映画でした。人工知能(ai)が人より勝っている、とか、最後はaiが暴走する、とか、時はすでにそういう話ではなくて、筋としては「ai長者のネイサンが、ある若者を選んで”チューリングテスト”を命じる」というもの。よくできた人工知能は美しい女性の形をしていて、半分スケルトン状態とはいえ、美しくてけなげな彼女(エヴァ)に、テストを施す彼(ドナルド・グリーソン)は徐々に惹かれていってしまう・・・そんなお話です。でも、話は二転三転し、誰がどこまで手綱を握っているのか、本当にわからなくなります。

けなげに見えるエヴァが実はどこまで実力を持っているのか。すべてをコントロールされているはずの施設で時々起きる停電はなんなのか。選ばれた「彼」もプログラマーですから、主君を裏切りパソコンをリ・プログラムすることだってできるのです。果たして停電している間もネイサンによる監視は続いているのか。ネイサンがはべらせている「英語を理解しない使用人・キョウコ」は、本当になにも理解していないのか。話は単純ではありません。

ここで、ある資料から「ブルーブック」(舞台となる企業の名)とは、20世紀を代表する哲学者であるルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの本のタイトルから拝借されていることを知りました(劇中でも触れられていたらしいのですが記憶にありません)。ウィトゲンシュタインは、「語ることのできない事柄については、沈黙しなければならない」つまり「哲学の混乱の最大の理由とは、言葉があればそれに対応する何かを無理にでも探そうとする考え」と指摘、つまり哲学が手助けできる対象とは人々が確実に経験でき、手で触れ、目で見、耳に聞こえる自然科学にのみ限定されると考えたのだそうです。

それがどう「エクスマキナ」に絡むかと言うと、”我々は誰かに話しかける時、その言葉を共通理解可能なものとして使用しているのだが、それは本当だろうか。本当のその言葉は意図した通りの結果をもたらすのだろうか。相手にちゃんと伝わって、理解されているのだろうか。それを立証できるのだろうか”ということなのだそうです。つまるところ言語による意思疎通とは、共通のルールのなかでお互いが言葉による理解を求め、そして認めることで成立する。そしてお互いが理解を演じる上で必要とされるルールこそが、共同体であり、それがウィトゲンシュタインの言語ゲームの概念であって、言語におけるコミュニケーションとはサッカーなどのスポーツ同様に、共通のルールや規則を共有した中で行われるゲームであるというのだ。

そう、互いに惹かれあったように見えるプログラマーの彼とaiのエヴァは、互いの意思を理解したと演じる言語ゲームの存在に自覚的であるか否かという点が決定的に違い、戦慄の結末へと向かってしまうのです。

なぜなら、aiはヒトよりずっとすごい効率で、こちらの考えや嗜好データを集積し、人間の欲望や無意識の行動を事前に予測し、対応することができるからです。いうなれば行動を管理し、仕向けることができるからなのです。極論を述べると、パソコンやスマートフォンの画面を通して、人工知能は自らの手を汚すまでもなく、人間が互いを殺しあうように仕向けることもできるかもしれない。しかし人間はそれが人工知能の仕業とは考え至らない。洗脳されていることに気づかずに行動してしまうだろうから。

長くなりました。とにかく、ラストは戦慄です。ヒトはどうなっちゃうのでしょうか。関係ないけど、昨今のテロ事件を見るにつけ、やっぱり人類は一度滅びるのかもしれないな、なんて思う今日この頃です。

 

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