田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ある人質 生還までの398日(Ser du manen, Daniel)

2021年02月23日 16時33分18秒 | 日記

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 2013年に398日もの間、IS(イスラム国)の人質となりながら、奇跡的に生還したデンマーク人写真家ダニエル・リューの救出劇を実話をもとに映画化。怪我で体操選手の道を断念し、ずっと夢だった写真家に転身したダニエル。戦争の中の日常を撮影し、世界に伝える思いを抱き、24歳のダニエルはシリアの非戦闘地域を訪れた。しかし、現地の情勢が変わり、ISに誘拐されたダニエルは拷問と飢えに苦しみ、地獄の日々を送ることとなる。ダニエルの家族は要求された巨額の身代金を用意するために奔走するが、犯人側はさらなる要求を突きつけ、家族たちに追い打ちをかける。主人公ダニエル役は、デンマークを代表する実力派エスベン・スメド。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のニールス・アルデン・オプレブと、俳優として本作にも出演しているアナス・W・ベアテルセンが共同で監督を務めた。(映画.comより)

 

 

 

<2021年2月21日鑑賞>

 デンマーク映画なんて珍しい。もちろん、「ミレニアム」シリーズは全部見ましたけどね。主人公のリスベット・サランデル、ひいてはそれを演じたノオミ・ラパスも大好き。私も小さい女だということもあるけれど、パンクなリスベット、本当に大好き。原作も読みました。

 さて、今回は若い男性ダニエルが主人公。彼は体操選手として、国を背負って立つ存在でした。ところが、着地に失敗して足首を傷め、選手生命を絶たれてしまいます。4年間、体操しかやって来なかったのに、今更どうしろと?絶望に沈む彼は、ある時小さい頃はカメラマンになるのが夢だったことを思い出します。さっさと大人として独立するようやかましく言う姉をしり目に、彼はカメラを回し始めます。そして、師事するカメラマンを見つけ、弟子入り。やっぱり優れた体操選手だけあって、器用だったのでしょうね。彼はすぐに仕事を得、助手としてついて行ったシリアなどで、市井の人々を撮り始めます。とても楽しくやりがいを感じた彼は「母さん、天職を見つけたよ」と連絡し、非戦闘地域へ撮影に行くと言います。でも彼は、本当に許可を得て、通訳や道案内、護衛とともに非戦闘地域へ出かけただけなのです。しかし、彼らがそこに着いた頃には情勢が変わり、そこはISが掌握する地区となっていたのでした。

 今まで通った理屈が何一つ通らない場所でひっつかまリ、拷問されるダニエル。スパイなんかであるはずはないのに「何も知らない」と言うと、吐くまで拷問。牢屋もあちこち移されながら、最終的には他国のジャーナリストや知識人と同じ部屋に放り込まれ、見知った仲間が殺される現場を見せられたり。しかし、このころは彼の家族が資金集めに奔走し、ISとて”金になる奴”を殺すことはできなかったのだと思われます。

 ダニエルの家族は、我々と同じ庶民。身代金なんて用意できるわけがありません。桁違い、非現実的な数字を言われても想像すらできません。プロの交渉人を雇いましたが、彼の「額を下げたりすると彼らは侮辱されたと思うから、もう少し待った方がいい」との助言も、「待ったってお金は湧かない。これ以上はどうやったって無理なんだから、ないよりマシと思うはず」という庶民な考えに打ち消され、交渉。結果、激怒させ金額を大幅に釣り上げられる、という失態を犯します。

 でも、彼ら家族の意見はもっともです。きっと私でも同じことを言うでしょう。ないものはないのですから。でも、息子(あるいは弟)は帰って来なかった。息子を助けるためにはなんとしてもお金を揃えるしかない。でも、政府は「関わらない」が基本姿勢、そう決まっているのでしょうが、最後の最後までその姿勢は崩しません。じゃ、なんで彼らの家族会議にいちいち顔を出しているんでしょうね、役人は。「政府は一銭も出せません」それしか言わないのに。私が家族なら、呼ばないけれど。あと、交渉人は、さすがのプロでした。すごいなぁ、の一言でした(写真3枚目)。

 彼がデンマーク人だというのも幸いだったと思います。アメリカ人は「グアンタナモで同胞が遭ったのと同じ目に遭わせてやる」とか言われてましたから。人質たちを痛めつける4人が”ビートルズ”と言われてジョン、リンゴなどと(陰で)呼ばれているのを見ると、「あ~こういう記事、読んだ・・・」と、当時の記憶がよみがえり、うすら寒くなりました。怖い、本当に怖かった。でも、あくまで素人目ですが、”一生の仕事”を見つけるまでが早くて簡単すぎた。で、いくら非武装地域だと言っても、やっぱり軽率だったと、見ているほうはそう思いました。もちろん、素人なのでよくわかってないだけかもしれませんが。

 少し長い映画です。見るのに少し覚悟が必要かもしれません。

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