「ワイルド・バレット」(2006)のウェイン・クラマー監督と主演ポール・ウォーカーが再タッグを組み、アメリカ南部を舞台に、ブラックな笑いやバイオレンスを交えながら、欲望渦巻く男たちの生き残りをかけた戦いを描いた。冴えない質屋の店主やドラックディーラーの金を強奪しようと企む麻薬密売の仲介人、数年前に妻をさらわれた男、プレスリーを崇める無一文の芸人など、いずれもクセのある登場人物たちが、ひとつの巡り合わせによって運命を狂わされ、予測不能な方向へと転がっていく一日を描く。共演にイライジャ・ウッド、マット・ディロン、ノーマン・リーダス、ブレンダン・フレイザー、ビンセント・ドノフリオほか。(映画.comより)
少し前の映画です。娘が録画したか借りてきたかで「おもしろかった!」なんて言うものですから、ブレンダン・フレイザーとマット・ディロンへの郷愁も手伝って、つい見てしまいました。
すごすぎるお話でした。オムニバスなんですが、最後はそれらがつながる大団円を迎えるという、作りとしてはよくある感じです。ただ、それぞれの登場人物が濃すぎる、エキセントリック過ぎる!pawn shopのオーナーはビンセント・ドノフリオ。
まずは一つ目のお話。ポール・ウォーカーやルーカス・ハース、ケヴィン・ランキンらが演じるヤク中強盗チーム。彼らはみんなすんごくアホで、これから強盗をしようって言うのに「ガソリンを入れるお金がなかったから銃を売った」とか、仲間を車で轢いてしまったとか、ちょっと度の過ぎたアホチーム。白人至上主義のはずなのに「でも黒人も好きだし。いい奴いっぱいいるし」みたいな妙に思想的な話をしたり。それで、なんの脈絡もなく、銃がないルーカス・ハースに銃を与える男が登場するのですが、これがトーマス・”パニッシャー”・ジェーンなんですね!でも横向いてるし、帽子を目深にかぶってるし、ここしか登場しないしで、それとわからないんですね。もっとよく見ておくんだった、って後にさいなまれます。ポールたちに襲われる悪党もノーマン・リーダスなんですが、ガスマスクみたいな被ってて全然わかりません。なにげに俳優の使い方が贅沢なんですね。
第二話はマット・ディロン。新婚旅行中にpawn shopへ立ち寄ったディロンと妻。そこで彼はその昔、自分が妻に贈ったはずのリングを見つけます。妻はそのまま行方知れずで、気になりつつも年月が過ぎ、新しい恋を満喫していた彼は驚きます。つい、新妻を放置して「誰が持ち込んだ?」「いつごろ」と、捜査を始めてしまうディロン。どんどん深みにはまって行きます。新妻、かわいそうすぎる。
そして第三話は「また?」の感があるイライジャ・ウッドの異常者の話。女性をいっぱい監禁してあるんですね。ただ、とても上手に女性を操っていて、ほとんど新興宗教のよう。もちろん、女性たちは檻のようなモノに入れられて、見るも無惨な姿になってます。ただ、「君は特別なんだ」など、言葉巧みに女性の心理をつかんでいて、その辺はなんだかわかる気もします。普段の生活では、そんなに構ってもらえることも、愛でてもらえることもないですものね。
で、これらのお話に、文無しのプレスリー役者ブレンダン・フレイザーが絡み、大団円へと向かいます。いや、心温まるいいお話ではありません。ほとんどあり得ないと思われる変な映画です。アホらしいと言えばそれまで。ただ、妙に豪華な役者たちが大まじめにつまらない(?)ことをやっているのも、いいものです。楽しみましょう!
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