田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

第三夫人と髪飾り(The Third Wife)

2020年02月22日 19時06分18秒 | 日記

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 北ベトナムの富豪のもとへ嫁いできた14歳の第三夫人を主人公に、彼女を取り巻く愛憎や悲哀、希望を、美しく官能的につづったドラマ。ベトナムの新鋭アッシュ・メイフェア監督が自身の曾祖母の実話をもとに描き、世界各地の映画祭で数々の賞を受賞した。19世紀の北ベトナム。14歳の少女メイは、絹の里を治める大地主の3番目の妻として嫁いでくる。一族が暮らす大邸宅には、唯一の息子を産んだ穏やかな第一夫人と、3人の娘を持つ魅惑的な第二夫人がいた。まだ無邪気だったメイは、この家では世継ぎとなる男の子を産んでこそ“奥様”になれることを知る。やがてメイも妊娠し、出産に向けて季節が流れていく中、第一夫人も妊娠していることが判明する。同じ頃、メイは第一夫人の息子ソンと第二夫人のある秘密を知る。出演は「青いパパイヤの香り」のトラン・ヌー・イェン・ケー、「クジラの島の忘れもの」のグエン・ニュー・クイン。(映画.comより)

 

 

 

 少し前のベトナム。まだ一夫多妻制度だったころの年若い第三夫人を主人公にしたお話。土地の富豪に嫁いできた14歳の少女が経験することの数々。私は「紅夢」をちょっと想起しました(古い)。でも、夫人たちは、夫の愛情を奪い合うのではなく、うまく共存し、忙しい日々を協力して過ごしています。この映画を女性ながら楽しんで見れるのは、ひとえに皆が優しいから。若妻は年上の夫人たちを尊敬し、また大人な年上の夫人たちは新妻に優しく接します。富豪の夫も、富豪なりの重責もあり大変そうだし、女性に手を挙げるようなこともなく、恋愛禁止な使用人たちが恋愛したときも、心底怒ってる感じではなく、ただ世間の目があるから罰しているような感じです。たぶん、人々は、今では考えられないような制度でも、その時はそうであったのだから、ただ順応しているだけなのです。きっと、今の私たちでも、後世から見れば「よくがまんできるね」なんてことを「そんなものだ」と感じて過ごしているのでしょうね。

 男の子を産まないと「奥様」と呼ばれないような世界で、3人産んでも女の子ばかりだった第二夫人は、男の子を望みながらも人に言えないような秘密を持っています。また、第一夫人とて男の子をたった一人産んだだけでそれきりなのです。そして長男として生まれたその男の子は、まだまだ10代だというのに、跡取りの重責を担い、しかるべき少女との結婚を強要されます。その少女とて、幼いのに家名を背負い、恥とならないよう厳しく教育されて嫁に入るのです。ある理由から、応じることができなかった長男と、恥をかいてしまった少女は最悪の結末を迎えてしまいます。なんと悲しい。誰一人、悪人なんかいないのに、家父長制度のせいでこれほど悲しいことが起きてしまうなんて、理不尽すぎます。それほど見栄や体面が大事でしょうか。もちろん、今のように個人主義が跋扈しているほうが幸せかどうかはわかりません。それでもこんなこと、許されるはずはないと思いました。

 風景と音、自然光のみ用いたとされる光の具合など、背景の美しさは溜め息ものです。ここは桃源郷か。しっとりとした雰囲気、ゆったりと時間が流れます。現地ベトナムでロケをしたということなので、現存する風景なのでしょうね。こんな美しい場所、一度訪ねてみたいです。観光地ではないでしょうが(笑)。

コメント
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