田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

バーニー みんなが愛した殺人者(Bernie)

2013年07月29日 22時17分06秒 | 日記

 

 「スクール・オブ・ロック」のリチャード・リンクレイター監督とジャック・ブラックが再タッグを組み、1996年に米テキサスで実際に起こった殺人事件をブラックユーモアと悲哀を込めて描いた犯罪コメディドラマ。テキサス州の田舎町で葬儀屋を営むバーニーは、誰にでも優しく慈愛に満ちた人柄で町民から慕われていた。一方、金持ちの老未亡人マージョリーは偏屈な嫌われ者だったが、心優しいバーニーはひとり暮らしのマージョリーを気遣い、たびたび家を訪問して相手をするようになる。やがて心を許したマージョリーはバーニーに銀行口座まで預けるほどになるが、ある日、バーニーはマージョリーを殺してしまう。バーニーはその後もマージョリーが生きているかのように演出を続けるが……。(映画.comより)

 

 久しぶりにジャック・ブラックの映画です。結論から言うと、主演も彼とシャーリー・マクレーンだし、もっとコメディかと思ってました。実話を元にしている(バーニーさんは今も服役している)からってこともあるでしょうが、案外シリアスな映画でした。

バーニーがどれだけ素敵な人物だったか、住民たちが口々に述べるのですが、これが役者さんだけでなく、地元の人も結構交ってるらしくて、でも全然見分けがつかないんですね。

 

 テキサス州の田舎町カーセージの葬儀社で働くバーニー。彼は人当たりもよく、アフターフォローもバッチリ。人に優しいだけではなく、死体の処理も上手だし、賛美歌など歌もとてもうまい。肝心なところで棺桶の売り込みもバッチリこなすし、地元のボランティアにも熱心。短大に演劇指導にも行ってて、一体いつ寝ているのかと思うほどの地元献身ぶり。

ここまで来ると、ちょっと出来過ぎですよね。映画で見るからかもしれませんが、ちょっと気持ち悪く感じました。

しかし、バーニーはどこまでもいい人です。町一番の嫌われ者、資産家の未亡人マージョリーにも、夫の葬儀の後、手当ても出ないのにせっせと手みやげを持って慰めに通います。

さすがに意固地なマージョリーも、だんだんバーニーには心を許すようになり、つきあいが始まります。なまじ資産家なだけに、豪勢な旅行に連れて行ってもらったりもします。

最初は楽しそうな二人だったのですが、そこはもともとわがまま放題な未亡人。そのうちバーニーの仕事を辞めさせ、自分専属のマネージャー(?)にしてこき使い始めます。

こうなると大変です。時間を問わず日を問わず、無理難題を押し付けられますし、他とのつきあいまで制限され、おちおち出掛けられなくなってきます。

豆を20回噛む、とか変な食べ方をするし、注意すれば余計に噛むし、見ているこちらもバーニーと一緒にイラっとさせられる仕掛けです(笑)。

どこまでもいい人なバーニーも、あるとき我を忘れてアルマジロ用の銃で彼女を後ろから撃ってしまいます。もちろんすぐに我に返り、「あ~なんてことを・・・。どうしよう、どうしよう」と取り乱して涙にくれますが、後の祭りです。

でも、突発的な出来事だったからでしょうか。バーニーは逃げもせず、とりあえず車庫の冷凍庫に死体を隠して今まで通りの生活を続けます。

しかしまぁ、永遠にバレないことはありえませんね、そのうち捕まるわけですが、マージョリー亡き後も教会の寄付やらなにやらと、資産を使っていたこともあって、彼を立件する検事(マシュー・マコノヘー)も躍起になります。

でも、カーセージの住人があまりにバーニーの肩を持つので、検事も州を変えて裁判に挑みます。

このお話、どう展開するのかなぁ・・・と思っていたのですが、このままでした。つまり、バーニーは素直に罪を認めて反省している、住民たちは彼を心から擁護している、でも富豪の未亡人が亡くなった事実はゆるぎない。

そして、バーニーを知らない他の州の住民たちは至極当たり前の判決を下し、彼は刑務所へ。なんと、刑務所でも”いい人”なんだそうです。手芸クラブに入っているとか。今でも地元の人たちは彼に面会に行くのだそうです。

どうなんでしょうねぇ、あそこまで追い詰められてやってしまったことだし、息子家族と裁判沙汰になっていたくらいのマージョリーの行状の悪さは折り紙付きだし、「終身刑は重い」という意見もあるようです。

でも、どんな悪人でも殺されていいって理屈はないので、バーニーは罰せられるべきだとは思いますけどね。

それにしてもこの映画、結局何が言いたかったのかな。「いい人」のレッテルを一度貼られてしまうと、殺人をも擁護してしまう人間の怖さかな。「普段の行いが大事だよ」という教訓かな(笑)。

個人的には、お金があるからといって、ここまでわがままになる初老女性、これが怖かったと思います(笑)。

コメント
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