157第15話二種類のニフ人 ジンジャーの花
ミーターの大冒険
第六部
地球へ
第15話
二種類のニフ人 ジンジャーの花
あらすじ
ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。
ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。
その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。
ニフの起源と核戦争の事実であった。
イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。
ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としたアルファに移住した。
157
ミーター ところで、まさか二種類のニフ人とは、二つの国に分かれたというのではないらしいな。それにある時期、世論が二つに分かれたというものでもないと思うが。
イルミナ おっしゃる通りです。時代の違いですね。
最初に宇宙に出て行ったニフ人のグループと、最後まで地球に残ったニフ人たち、ということなんです。
ミーター そりゃすごいな。言っちゃ悪いが、一見すると、両者には極端過ぎるキライがありつつも、ニフ人の特徴的体質のようにも思える。
イルミナ そうなんです。さっき言った二重性です。一方は、先祖帰りの移動の民の復活よ。
物質欲にとらわれない、執着心をもつことを極度に拒否する、一種の宗教的精神とも言ってもいいですね。
それには、周りの国との軋轢もあったらしいの。
そんな人たちのことは、ナックスグループと呼ばれたんです。
ミーター その言葉、どっかで聞いた覚えがありそうなんだけどなあ!
もしかして、「シンナックス」と関係があるかもしれない。それに、「ジンジャーの花」。
イルミナ なんですか?「ジンジャーの花」?
ミーター 思い出したぞ。アルカディアのご先祖様のベリスママだ!
ベリスママが図書館で見付けた「ジョン・ナックの『歴史思想書』」を読んで、ジンジャーの花を髪に挿して、「涙の黒い太陽」の像を拝みに行った。そこで「ニフ人」たちの伝文をうけとめたんだ。そのニフ人たちは、不思議な縁で、銀河を越えて、おそらく大マジェラン銀河に向かう途中、最果てのターミナスで人類の代表者としてベリスを選んだ、とアルカディアは語ってくれたんだ。
ごめん、先を続けてくれ、涙が溢れる前にな。
イルミナ そのニフ人たちがきっかけとなって、スペーサーたちは、宇宙にとびだして行って、50の惑星にロボットと長寿の楽園をつくることになりました。
方や残ったニフ人たちは、放射能に覆われた地球の環境と悪戦苦闘していったのよ。最終的にはある程度、人体に放射能に対する耐性化を施すもその限度を越えてきたのです。
なぜか放射能の濃度は衰えないで、年々増加し続けたんですから。
ミーター それはどういうわけなんだ。
イルミナ そこなんです。いわば、私が言うのも憚れるんですが、究極の歴史的事件なんです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます