Ate breve, obrigado!

日々のよしなしごとをそこはかとなく綴るブログ

memo

2011-02-12 | 
いまさらだけれど菅総理の「最小不幸社会の実現」発言について

佐藤優氏が述べていた
「政治家なのに不幸を前提とするような社会を構築しようという、入口からしておかしい」
という意見に目鱗。

政治家はできないことに挑んでいく仕事だと。


「最小不幸」の発想は『ファウスト』でメフィストフェレスが唱える
“汎悪魔論”みたいなものだそうだ。

人間は悪であり、悪をつくったのは神という名の悪魔である。
だからこの世には悪が満ち溢れている。

悪=不幸と読み換えると、メフィストフェレスは

「自分に魂を売れば、この世の不幸を少しだけ減らせるようにしてあげる。
あなたは魂の存在を信じないのだから売っても問題ないでしょう」

とささやく。

理性によって不幸を減少させようという、この考え方が近代主義であり
その枠組みの中でしか物事を考えられないのが平均的エリートとしての官僚であり

平均的エリートを産み出す教育というのが
今の日本の国家と社会を閉塞状況に追い込んでいる原因のひとつらしい。

で、この状況を打破するに重要なのが虚学としての神学ということになるそうだ。
(佐藤氏はプロテスタントのクリスチャン)

虚学という意味では文学もそうじゃないかと思うけれど
内面追究に終始する学問では、他者の救済とか滅私奉公的な観点に到達しない、
というかそもそもベクトルが違っているのかな。

ところでファウストは手塚治虫のしか読んだことがないし
それも、むく犬がかわいかったことくらいしか記憶に…orz

というわけで書店で買ってきました、今。これから読もうっと。

近ごろ読んだ本

2009-06-09 | 
『死の棘』

『紙絵と詩 智恵子抄』

『コレラの時代の愛』

前の2作は理由は違えど妻が精神に異常をきたす話で
映画にもなった『コレラ~』は、人妻になった女性を50年以上思い続ける男の物語。
いやべつに、自分の結婚とか意識したわけでは全然ないのですが…


『死の棘』は、誰か(文化人ぽい人だったような)のブログで
「戦後最大レベルの恐怖文学」といった書き方をされていて
いつか読んでみようと思っていたもの。
うわさにたがわぬ壮絶さと緊迫感でした。

妻の狂気の発作に耐えきれない夫が、自分も狂ったふりをして対抗し始めるあたり、泥沼すぎだろう・・・
しかし、夫婦や親子、家族の関係というものについて
よくあるホームドラマ的にでなく、ものすごくシビアに考えさせられる本でもあります


『智恵子抄』は、本の整理をしていて発見。
読み返してみて、こんなに熱烈な愛の詩満載だったのかと、ちょっとびっくり。

あと、繊細で妖精的な人というのは、この世で生きていくことがよほど大変なのだなあ。
精神を病んだ智恵子が作った切り絵の、大胆な色使いと緻密な造形の対比を見て、つくづくそう思いました。

生活と芸術のはざまで悩みに悩んだ智恵子の才能が
精神を病んで初めて開花した、というのは一目瞭然。
この色彩感覚、対象を選ぶセンスは、常人にはとても及ばない、別世界のもの。
すばらしいけど、同時に、彼女はすでに我々の手の届かないところへ行ってしまっているんだなあと…
だからこそこういう表現ができたのだろうけど、夫である光太郎の心境は察するにあまりある。
ちなみに、私が持っている社会思想社刊のものは、現在絶版みたいです。


『コレラ~』は、美容院で渡された女性誌で見て、何を思ったか購入(笑)
女性誌の書評欄って
以前からガルシア・マルケスを読んでみたいとぼんやり思ってはいたものの、
急遽こういう謎の行動をとってしまうあたりが、婚約の余波(?)なのでしょうか。
読み始めたばかりなので、感想はまた後日。


あ、最近読了した本としては、友人きゃしぃさん推奨図書
『ホモセクシャルの世界史』 『スパイの世界史』もありました。
『ホモセクシャル~』は、世界は彼らによって動かされているとっても過言ではないというくらい、
世の中にこれほど多くのその手の人たちがいたのかという衝撃を与えてくれました。
『スパイ~』は、2つの世界大戦と冷戦時代あたりが充実してたと思います。

ちなみにこれに『陰謀の世界史』を合わせて海野弘3部作とのこと。
すっごく魅力的なチョイスで、こういうの大好きなんだけど、
「おすすめの本は?」と聞かれてこの3冊を挙げる人って、そうそういないですよね。
じつに貴重な友人です。

エログロナンセンススプラッタ

2009-01-23 | 
女子新年会で友人の口から飛び出した衝撃の書名&ストーリー

『粘膜人間』
↑ここのレビューを見ただけでも、読んだ人が少なからず衝撃を受けているさまが伝わってきます…

読んでみました。

話の流れ自体はまあこんなもんかなというかんじで
夢野久作作品からの影響を思わせるものの、それには遠くおよばない構成&文章力とか
伏線らしきエピソードのいくつかが処理されず尻切れトンボのようなのが気になりますが
とにかく設定の異様さと閉鎖社会の不気味さ、民俗学的要素が醸し出す奇怪さが
読む者に多大なインパクトを与えるのです。

だいたい、小学生の弟=身長195cm、体重105kgという異形であるうえ
父を半殺しの目に遭わせるほどの怪力の持ち主であり、
その弟の暴力に命の危険を感じた中学生の兄たちが
村はずれにすむ河童の兄弟たちに弟殺しを依頼する…
という始まり方からしてシュールすぎです。

読んでてまさに「胸くそ悪くなる」ような残酷描写や性描写が結構でてくるので覚悟がいりますが
「こんな物語を読んでしまった」という衝撃は間違いなく得られるので
単調な読書生活(ってどんなのだろう?)に刺激が欲しい方にぜひ。なんのCMでしょうか。

アンチ恋愛症候群

2008-11-07 | 
お弁当メモ:ししとうとハムの炒め物、こまつなと油揚げの煮びたし、冷凍のミニハンバーグ



某出版社に勤める友人が送ってくれた新刊本『恋愛嫌い』by平安寿子さん。

お礼のメールを送ったら
「ぜったいシンパシー感じてもらえると思って勝手に送りつけました」って
ありがとうソウルメイトよ…

事実、この本を書店で見かけて気になってて、次に遭遇したら買おうと思ってた矢先だったのです。
買わなくて申し訳なかったけど、ちょうど読みたかったタイミングでいただけたのでありがたい限り。

内容は、タイトルのとおりですが…、きゃぴきゃぴしたりやきもきしたり自分を繕ったり着飾ったり媚びたり駆け引きしたり、そういうのが一切面倒くさくなってしまった女子に贈る、リアルなアンチ恋愛短編集。

・普通の人間関係でさえ面倒なのに、そこに恋愛感情がからむなんておっくう
・デートという響きに惑わされて話が合わない男性と壊滅的につまらない時間を過ごすくらいなら、家に帰って猫や犬と遊んでるほうが何倍も楽しい
・でも、女性としての幸せを手にしている周囲を見るとやっぱり何か焦りみたいな感情がわいてくるし、婚活という言葉を冷静に聞き流せない…

というような、かわいげがなくて、そろそろこんなこと言ってるのもツラい年齢に差しかかってきた女子におすすめの一冊。

私がとくに共感できたのは「前向き嫌い」という短編です。
なんでいつでも前向き発言してなきゃだめなの? ポジティブ思考じゃないと必ず不幸になるわけ? という
日ごろからたまりにたまってる鬱憤を晴らしてもらったかんじ。
社会生活を送るうえで生まれる各種暗黒感情がこの話を読むことですこし浄化された気がします。はぁ・・・

あ、あと「江古田ちゃん」読者ならまずまず共感できる部分が多そう。(表紙絵もその作者が担当されています)

売れ行きは好調みたいで、こんどテレビ番組の情報コーナーでも紹介されるとのことです。
ヒット祈願いたしております

赤壁前夜

2008-10-17 | 
近日公開の『レッド・クリフ』を観にいく予定なので、吉川英治の三国志を読んで復習。
赤壁の会戦の少し前あたりから読み返しています。

このあたりは戦に次ぐ戦でおおいにテンションが上がるのですが、それにしても、長坂坡の戦いの趙雲のかっこいいことと言ったら。
関羽・張飛のインパクトが強すぎてふだんはちょっと影が薄い彼だけれど、ここは最大の見せ場ですね。
若君を連れて劉備のもとに帰ったとき、劉備がかけた言葉にも胸うたれるし。

プレステで三国無双をやっていたときは、毎回必ず趙雲でプレイしていました。
でも、ゲームのキャラってなぜかみんな妙に色男っぽくて、それが気になっていまいち入りこめません…。もっと全員リアルに猛将っぽくしてくれたらいいのに。戦場ではヒゲぼうぼうの衣服ぼろぼろで、戦況がやばくなってくると露骨に気色ばむとか。肉まんで回復したいのに、おなかいっぱいでこれ以上摂取できないジレンマを表現してみるとか。って、そのへんはあまり重要じゃないのでしょうか。

*西日暮里のホームから見えるところに、大きなビル(マンション?)が建設されていました。このごろ路線図で見るところの山手線の上のほうがやたらと開発されている気が。東東京が栄え始めるのでしょうか…