オーソレ、何それ?

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「原爆は天佑」:海軍の良識派米内大将の発言の真意は?

2007-07-23 23:48:30 | 太平洋戦争
先日、久間防衛大臣が原爆について「しかたなかった」発言で辞任を余儀なくされましたが、戦後「原爆は天佑」と発言した人物がいます。発言の主は海軍の良識派の代表格、米内光政大将でした。

米内光政大将は、連合艦隊司令長官、海軍大臣、首相と要職を歴任し、戦前は平沼内閣の海軍大臣として山本五十六海軍次官、井上成美軍務局長とコンビを組んで三国同盟を阻止し、太平洋戦争末期には小磯内閣、鈴木内閣の海軍大臣として日本が内乱を起こすことなく終戦に導いた人物として、また戦前の海軍の軍人の中でも「良識派」として高い評価を得ている人物です。

この米内大将の「原爆は天佑」発言ですが、実際には次のように語っています。
「私は言葉は不適当と思うが原子爆弾やソ連の参戦は或る意味では天佑だ。国内情勢で戦を止めると云うことを出さなくても済む。私がかねてから時局収拾を主張する理由は敵の攻撃が恐ろしいのでもないし原子爆弾やソ連参戦でもない。一に国内情勢の憂慮すべき事態が主である。従って今日その国内情勢を表面に出さなく収拾が出来ると云うのは寧ろ幸いである。」

米内大将には、「国論を二分しない」ことと「戦争を終結する」ことがほぼイコールであったように思えます。だとすれば片腕と頼む井上成美海軍次官を1945年5月の時点で大将進級を理由に閣外に「放出」した理由は、直言実行型の井上次官の言動が陸軍の反感を買って国論が一致しないことを恐れたのだと推察されます。この時井上次官は不本意だったらしく「負け戦、大将だけはやはり出来」と詠んで海軍省を去ったと言われています。

米内大将は戦争を終結することが自らの使命と理解しつつ、陸軍や海軍の強硬派が暴発しないよう、慎重に事を進めていったのだと思います。終戦直前に主戦派の大西瀧治郎中将が豊田副武軍令部総長を通じ終戦反対の意を勝手に昭和天皇へ上奏した時は、温厚な米内大将がこの両名を大声で両名を叱りつけたそうです。また、終戦直後に割腹自殺した阿南惟幾陸軍大臣の遺言は「米内を斬れ」であったことから、かなりきわどいバランスの中で終戦に漕ぎ着けたことが伺えます。米内大将は、海軍大臣就任前から、血圧が250を超えていたと言われ、そのような健康状態の中で海軍大臣の激務に当たることは相当苛酷なものだと思われます。そういった極限状態の中から開放された末の「天佑」発言ではなかったかと思います。

米内海相だけでなく、鈴木首相、東郷外相などの閣僚や要人の尽力もあって8月15日にポツダム宣言受諾を連合軍に伝えることができましたが、広島、長崎の2発の原爆で市民にも大きな被害がでました。また終戦前日の8月14日も海軍工廠のあった山口県光市でも大規模な空襲があり、動員された学童や女学生が多数亡くなっています。それ以外にも各地で空襲があり、計一千数百人が8月14日に亡くなっています。大きな犠牲の上に成り立った平和だと思います。

従って、米内大将の発言は、久間前大臣の発言とは発言の内容や状況は大きく異なります。しかしながら、原子爆弾の被害や惨状を考えるとやはり失言と言わざるを得ず、良識派の「玉」に瑕をつけた発言と思います。
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4 コメント

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言霊 (giants-55)
2007-07-28 01:56:21
書き込み有難う御座いました。

次から次へと飛び出す”疑惑”に対し、まるで他人事の様な言動を為した挙句に、「単純なミスです。」と言い放った赤城農相。又、未だ政治家では無いとはいえ、元アナウンサーの候補者が過去3年間投票していなかった事がばれて涙を流した際、「彼女はこんなにも純な人なんです。人間誰しも間違いは在るんです。」と叫んだ片山○つき女史。そりゃあ人間誰しも間違いは犯しますが、でも政治家(又は政治家になろうとしている人)ってそんな”軽い認識”で良いの?と思ってしまいます。

この米内発言も失言で在る事は間違い無いのですが、背景には深い思慮が見え隠れしているのが、当世の軽過ぎる政治”屋”達とは違う様な気がしますね。政治家は言葉が命。言霊という言葉も在る様に、もっと深い思慮に基づいた発言を望みたいです。

民主党の大統領候補、オバマ氏とヒラリー女史の一騎打ちの様相を呈していましたが、どうやらヒラリー女史の”経験”が物を言って、彼女に一本化されそうな感じでは在りますね。
政治屋とステーツマン (o_sole_mio)
2007-07-28 11:06:18
参議院選挙戦中に自民党議員、閣僚から物議を醸す発言が相次ぎました。選挙戦の逆風の焦りからくるものと、一般庶民との感覚の乖離からくるものだと思います。もし自民党は自滅に向かっているようにも思えます。

米内大将は、ご指摘の通り「政治屋」ではなく「ステーツマン」でありその発言のレベルも現在の政治屋とは段違いだと思います。しかしながら及間発言について「米内大将も『原爆は天佑だった』と言っていた」とこの部分だけを取り上げて及間発言を擁護する向きもあります。そういうことを考えますと米内発言についても失言と指摘しておくべきであると思います。

米大統領選挙の民主党候補ですが、マイノリティー候補と女性候補と党内の抵抗の少ない方ということになると思っていましたが、確かにヒラリー女史には夫が大統領であったという「実務経験」がありましたね。当時のヘルスケア政策についてもヒラリー女史が主導権を持っていたという説もあるようです。
それはどうでしょう? (アラメイン伯)
2007-07-28 23:05:27
史実として原爆の投下が戦争の終結を早めたということには変わりはないのではないでしょうか?

久間氏の見識は僕も疑問に思うことが多いですが、あの原爆投下の発言に対する批判はフェアではないと思います。左翼系の人達は原爆投下が日本の先の戦争での蛮行に対する報いだと主張する人が多かった。なのに今になってあの発言が問題になるのでしょうか?
あの発言を批判した政治家は一度でもアメリカに謝罪を求めたこともありません。そういう市民運動も聞いたことがありません。
「しかたなかった」は日本人の間でコンセンサスができてたと思います。
それを蒸し返して何の意味もないと思います。
私の知る限りではそうです。 (o_sole_mio)
2007-07-29 01:20:44
確かに「広島と長崎への新型爆弾の投下」が昭和天皇の聖断に影響を与えたと思いますが、国論を二分せず終戦に持っていくのに原爆の被害が必要にだったというのは当時の為政者の言い訳に過ぎないと考えます。

アラメイン伯さんの自信たっぷりのコメント振りから、為政者を中心にそのような考え方が日本の一部に定着しているのではないかと思います。またご指摘の「原爆投下が日本の先の戦争での蛮行に対する報い」という主張も聞いたことがありますが、私は間違いだと思います。

ということを考えますと日本人の間に原爆投下に対してコンセンサスというものは形成されていないようですね。私は原爆が投下した広島を中心とした中国地方に長く住んでおり、広島の惨状を見聞きしておりますので、ご指摘の点については賛同は致しかねます。

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