9EX

シイジビデフエ
アドフリミエロ

AS52

2015-07-27 11:11:11 | 小説
 このプログラム初の参加者だ。何が何でも肯定し納得させて帰ってもらうつもりだった。
柔和な笑顔を見せる女性を見てハシモトは緊張が和らいだ。

喋る女性の口元を見つめて、即座にソファーに腰かけるように勧めた。
見かけ以上に高齢だと気づいた。
ハシモトは携帯端末でシブサワレイコのプロィールを見て実年齢を確かめた。
75歳とは思えない若さだ。
金によって若さを維持しているのだ。
だが、遅れた世代だ。哀れに思った。

――とても感動した。

感激した。

そして嬉しかった。


肯定的な言葉を聞いてひと安心した。

だが、安心するのは早かったようだ。

シブサワレイコは突然泣き出し悲嘆の声を上げた。

「なかなか簡単にトモダチができませんでした」それがちょっと辛かったらしい。

ハシモトはクレーム担当部署のプロに当たらせるべきだっととにわかに後悔した。
顧客のクレーム処理には彼らには敵わない。

トモダチがつくりにくいのはゲームの役柄設定のハンデ数で決定していることだ。
今更何を言っているのか、そう思いながらも、目の前の女性に言えるわけがない。

サワちんはニシの役柄設定。

最後までトモダチができない場合もある。
それを選んだのはあなただし、ゲームプログラムのプロである我々だった。


「簡単にトモダチができるようなゲームなんて参加してもつまらないでしょう?」ハシモトは慰めるように言った。

女性は感極まって嗚咽し

頷いた。

「最後にアスカが現れ、ササキアヤミにカッターナイフで顔やら首を切られた」
それが納得できないと彼女は主張した。

それは確かに行き過ぎだ。

ゲーム進行上あり得ない結末だ。

ハシモトはヒト型のマツコを呼び、ゲームシナリオの不具合点がなかったか調べるように耳元で囁いた。

マツコは調べた結果を即座にハシモトの携帯端末に送信した。


ゲームプログラムへの不法侵入の確率が78.4%と表示された。

29150000ドル。

目の前に座る女性のゲーム参加費用だ。

対費用効果としてはお粗末な結末だ。

ハシモトはマツコにクレーム担当とゲームプログラム担当を呼ぶように再び耳元で囁いた。




――吉高浩司――

コメント
この記事をはてなブックマークに追加