映画なんて大嫌い!

 ~映画に憑依された狂人による、只々、空虚な拙文です…。 ストーリーなんて糞っ喰らえ!

晩春 ~映画の読解 (1)

2010年10月28日 |  晩春
     ■『晩春』 (1949年/松竹) 小津安二郎 監督


 久しぶりに『晩春』を見ました。この作品を見る度に、劇中の《亡き母(妻)の不在》が気になって仕方がありません。そこで今回、この点に着眼しつつ『晩春』を読み解いて行こうかと思い立ちました。その前に、先ず参考となる文献を探しに、わが町の図書館へと赴き、所蔵されている小津関連本を片っ端から読み漁ってみたのですが、幸か不幸か、《亡き母(妻)の不在》に触れている書籍は一冊も置いてありませんでした。以下は、わが町の蔵書&わが蔵書です。いずれも面白く、参考になる点は多々ありました。

 ■『小津安二郎全集』 井上和男=編集 (新書館)
 ■『小津安二郎作品集3』 井上和男=編集 (立風書房)
 ■『小津安二郎「東京物語」ほか』 小津安二郎=著 (みすず書房)
 ■『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』 小津安二郎=著 (日本図書センター)
 ■『小津安二郎 全発言 (1933~1945)』 田中眞澄=編 (泰流社)
 ■『全日記 小津安二郎』 小津安二郎=著/田中眞澄=編纂 (フィルムアート社)
 ■『陽のあたる家 小津安二郎とともに』 井上和男=編著 (フィルムアート社)
 ■『小津安二郎に憑かれた男 美術監督・下河原友雄の生と死』 永井健児=著 (フィルムアート社)
 ■『大船日記 小津安二郎先生の思い出』 笠智衆=著 (扶桑社)
 ■『巨匠とチンピラ 小津安二郎との日々』 三上真一郎=著 (文藝春秋)
 ■『絢爛たる影絵―小津安二郎』 高橋治=著 (講談社)
 ■『小津安二郎物語』 厚田雄春・蓮實重彦=著 (筑摩書房)
 ■『監督 小津安二郎』 蓮實重彦=著 (筑摩書房)
 ■『国際シンポジウム 小津安二郎 生誕100年「OZU 2003 」の記録』 蓮實重彦・山根貞男・吉田喜重=編著 (朝日新聞社)
 ■『小津安二郎の反映画』 吉田喜重=著 (岩波書店)
 ■『小津安二郎の芸術』 佐藤忠男=著 (朝日新聞社)
 ■『小津ごのみ』 中野翠=著 (筑摩書房)
 ■『小津安二郎と戦争』 田中眞澄=著 (みすず書房)
 ■『小津安二郎周游』 田中眞澄=著 (文藝春秋)
 ■『小津安二郎のまなざし』 貴田庄=著 (晶文社)
 ■『小津安二郎と映画術』 貴田庄=著 (平凡社)
 ■『小津安二郎文壇交遊録』 貴田庄=著 (中公新書)
 ■『小津安二郎と茅ヶ崎館』 石坂昌三=著 (新潮社)
 ■『小津安二郎日記 無常とたわむれた巨匠』 都築政昭=著 (講談社)
 ■『小津安二郎 映画の詩学』 デヴィッド・ボードウェル=著/杉山昭夫=訳 (青土社)
 ■『小津安二郎集成』 キネマ旬報特別編集 (キネマ旬報社)
 ■『小津安二郎集成2』 キネマ旬報特別編集 (キネマ旬報社)
 ■『小津安二郎新発見』 松竹=編 (講談社)
 ■『いま、小津安二郎』 (小学館)



 1993年、小津安二郎生誕90年(没後30年)を記念して製作されたドキュメンタリー映画『小津と語る』で助監督を務めた後藤雅之さんが、当時出版された『小津安二郎集成2』(キネマ旬報特別編集/キネマ旬報社)の中に「小津と旅して―メイキング・オブ『小津と語る』」と題する文章を載せています。

 《私はフランスに渡って13年目になる。(略)そんな私が初めて小津監督の映画を見たのは、恥ずかしながら日本でではなくフランスなのだ。日本にいるころ見る事もなかった小津作品。国立ルイ・リュミエール映画学校へ通う友人が授業で『東京物語』をやっているという。技術者養成の学校でなぜ小津作品を? と思ったがもっと驚いたのは、シナリオにワンカットずつの写真が入ったものを教材に使っていたことだ。当時、私もソルボンヌの映画科の学生だったのでヒッチコック作品を扱い似たような授業をしたことがあるが、これが物凄く勉強になった。あわててシネマ・テークへ走った。そして『東京物語』に感激した。なぜ今までこんなに素晴らしい映画を見過ごしてきたのだろう…》

 この文章が書かれたのは17年前。後藤さんが初めて小津作品を見た日は、更に歳月を遡るようです。残念ながら、それが何年の出来事であったのかは判然としません。ただ、少なくとも17年以上前のフランス国立ルイ・リュミエール映画学校では、小津安二郎監督の『東京物語』をテキストに映画表現が講義されていた訳です。それもワンカットずつ写真の入ったシナリオを使って……つづく


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