映画なんて大嫌い!

 ~映画に憑依された狂人による、只々、空虚な拙文です…。 ストーリーなんて糞っ喰らえ!

メメント

2008年07月31日 | 洋画・鑑賞ノート
 …映画にとっては、ストーリーよりも、画面に映っているものがどういう順序で繋がっているのかを知る事の方が重要。


     ■『メメント』 (2000年/米) クリストファー・ノーラン監督


 奥さん(ジョージャ・フォックス)を襲ったのは、この映画には登場しない麻薬中毒のコソ泥でした。奥さんの方は無事でしたが、夫のレナード(ガイ・ピアース)の方は記憶障害を負ってしまいます。当時の捜査官が、テディ(ジョー・パントリアーノ)でした。唯一、レナードの過去を知る男です。事ある度にレナードが語っていたサミー(スティーヴン・トボロウスキー)とは、レナード自身の事です。奥さんにインシュリン注射を打ち続けて死なせてしまうエピソードは、レナード自身の身に起きた事です。それを裏付ける映像は、1時間30分55秒の箇所にあります。レナードとサミーが同一人物である事を示唆する映像が、モノクロ映像の病棟に一瞬映ります。お見逃しなく。テディは、奥さんやレナードへの同情から、復讐の手筈を調えて上げたようです。ただし、映画では、既にコソ泥への復讐は遂げた後になっています。テディは潜入捜査中でしたが、組織から麻薬取引きの金をくすねる為に、レナードを利用しようとします。その為の“餌”として、新しい復讐相手をでっち上げました。レナードの記憶障害をよい事に、遂げた筈の復讐を再びでっち上げた訳です。その復讐相手が、ジョン・Gです。テディの本名から適当に名付けられた、実際には存在しない架空の人物です。倉庫で絞殺されたジミー(ラリー・ホールデン)は、レナードの事件とは全くの無関係です。勿論、ジョン・Gではありません。レナードは、自分がテディに利用されていた事実に辿り着き、復讐相手と思い込まされて殺してしまったジミーの痕跡を消し去る為に、彼の写真を燃やしてしまいます。変わりに、自分を利用していたテディへの復讐を誓い、彼の車のナンバーを書き止めます。そして、テディへの復讐を貫徹し、映画は終わります。

 テディを射殺した後、運転するレナードの姿に、実は、とんでもないショットが挿入されていました。ベッドの上のレナードと奥さんの姿です。この映画で、度々強調されていた、レナードの左胸に注目して見てみて下さい。1時間49分44秒と47秒の箇所です。殺された筈の奥さんが撫でるレナードの胸に、逆さ文字の刺青“JOHN G RAPED AND MURDERED MY WIFE (ジョン・Gが妻を犯し殺した)”があるのも不可解ですが、その下に、“I'VE DONE IT”と彫られているは、明らかに、時系列からいって有り得ない事です。ポラロイド写真のおどけたレナードが、左胸を指差していた事や、刺青屋の前で映画が終わる事からも、この映画の茶番が左胸の刺青にある事を示しています。要するに、全てが覚醒剤中毒患者レナードの幻覚だったという事か…。はたまた夢オチか…。ともかく、この謎に気付いた時は、“I've done it!(やったー!)”と喜んで欲しいようです…。

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