音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■チューリッヒでの私の作品の初演と、ノイエ・チューリッヒャ・ツァイトゥング紙の評■

2010-03-24 16:15:46 | ■私の作品について■
■チューリッヒでの私の作品の初演と、ノイエ・チューリッヒャ・ツァイトゥング紙の評■
               10.3.24 中村洋子


★スイス・チューリッチの≪ Ensemble für Neue Musik Zürich ≫

≪チューリッヒ 新しい音楽のためのアンサンブル≫

という演奏集団が、創設25周年を祝い、3月19~21日の3日間、

音楽祭を開きました。

私の作品 ≪ Zürich (by soggetto cavato) ≫ も、初演されました。


★このアンサンブルから、スイスでのドイツ語 Quality Paper

「 Neue Zürcher Zeitung 」

「 ノイエ・チューリッヒャ・ツァイトゥング紙 」に、

掲載されました紹介記事が、送られてきました。

主な内容を、意訳してご紹介しますと・・・


★≪ Ensemble für Neue Musik Zürich ≫は、フルートの

ハンス・ペーター・フレーナーをはじめとする、6人のメンバーから成る。

創設時は、ロック全盛時代だったが、

彼らは、それに負けないほど、アバンギャルドで、とても個性的であった。

創立以来、一貫して、新鮮で血の湧くような、

魅力的な音楽を、創造し続けてきた。

この音楽祭にも、面白い音楽が満載されていた。


★世界23ヶ国から、40人の作曲家が、

花束のように、「 1分間の曲 」を持ち寄った。

「 1分間 」という制約が課せられた曲には、音楽的な柔軟性が要求される。

そして、40曲中、5曲を紹介しています。

★ウルバン・メーダーの 「 Ahhhhh 」 は、ウィットに満ち、

アルフォンス・カール・ツヴィッカーの

「 Hommage a Jean Baudrillard 」 は、精緻な作品、

シュテファン・ズィグナーの「 Highmatt 」 は、楽士風の音楽、

ミヒャエル・ロイデンバッハの「 Oh,yes! 」 は、簡潔簡素な曲。

中村洋子の「 Zürich ( by soggetto cavato ) 」 は、

オーケストラを、思い起こさせるような曲。


★世界中の、多種多様な音楽が、

さぞかし、満天に打ち上げられる、花火のように、

参加者の耳を、楽しませたことでしょう。

演奏会を録音したCDの到着が、本当に楽しみです。


★ほとんど見ず知らずの、日本の「 私 」のところまで、

こだわりや偏見もなく、自分たちが 「 よい 」 と思えば、

どんどん作曲を依頼してくる、という企画性と行動性。

(もちろん、謝礼はゼロですが)

その結果、埋もれている作曲家にとって、

発表のチャンスが増えることにも、つながっていきます。

権威主義に自縄自縛され、窒息寸前の「日本」とは、

根本的に、発想が異なっているようです。


★ロック全盛時代でも、音楽の本質を追求するにとどまらず、

若者を惹きつけようと、ロックに劣らず、

さまざまな意匠を、凝らしていたようです。

それゆえ、新しい聴衆を増やし、25年の命脈を保つことができたのでしょう。

さらに、今回、新しく生まれた作曲家、音楽家の繋がりの輪が、

蜘蛛の糸のように、さらに拡がり、発展していくことでしょう。


★クラシック音楽は、このような姿勢がございませんと、

次第に、滅んでいくかもしれません。


★音楽祭を、大きく紹介する記事を掲載した「 Neue Zürcher Zeitung 」

「 ノイエ・チューリッヒャ・ツァイトゥング紙 」は、

スイスを代表するドイツ語のQuality paper として、権威ある存在です。

1780年の創刊、フランス革命の記事を書いたという、

230年の歴史をもつ新聞です。


★財政基盤が、あまり裕福でなさそうな、この意欲的な音楽家集団を、

暖かい目で好意的に、大きく取り上げる姿勢は、立派であると、思います。

とかく、有名で大きなスポンサーの支援がある音楽会などの紹介に、

傾き勝ちな、日本の新聞とは少々、異なるようです。


●≪参考:10.2.11のブログ 
   私の室内楽作品が、3月、チューリッヒで初演されます≫

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Neue Zürcher Zeitung
22. März 2010
Klangsträusse, Perlen und Dezibelorgien
25 Jahre Ensemble für Neue Musik im Kulturmarkt Zürich Wiedikon

Vor 25 Jahren trat das Ensemble für Neue Musik Zürich erstmals vors Publikum. Dass es am Puls der Zeit geblieben
ist, zeigten die ersten beiden Abende der dreitägigen Jubiläumsparty im Kulturmarkt in Zürich Wiedikon.
Jürg Huber
Charakterköpfe sind sie alle: Hans-Peter Frehner, Manfred Spitaler, Victor Müller, Lorenz Haas, Urs Bumpacher
und Nicola Romanò. Hätten sie nicht so seltsame Instrumente wie Geige, Cello oder Klarinette in der Hand, die
sechs Herren des Ensembles für Neue Musik Zürich würden glatt als in Ehren gealterte Rockband durchgehen, die
sich auf verschiedenen Positionen durch Frischblut erneuert hat. Das kommt nicht von ungefähr: Frehner, ihr
strategischer Kopf, hat sich seine Sporen seinerzeit in Rockbands abverdient. Und dass der Physiognomie des
Ensembles durchaus populärmusikalische Züge eingeschrieben sind, zeigte ihr vollgepacktes Jubiläumsprogramm
im Kulturmarkt in Wiedikon.

Grosses Beziehungsnetz

In 25 Jahren kommen aber auch allerhand Geschichten zusammen. So outete sich René Karlen, im Zürcher
Präsidialdepartement für den Bereich E-Musik verantwortlich, in seiner launigen Festrede als Gründungsdirigent
des Ensembles. An diesem Wochenende nun waren es Jürg Henneberger, Sebastian Gottschick und Andreas
Brenner, die in seine Fussstapfen getreten waren. Dirigentische Flexibilität verlangten die musikalischen
Minutenstücke, die sich das Ensemble im Vorfeld des Jubiläums erbeten hatte; an die vierzig solcher
Geburtstagssträusse waren zusammengekommen, was die Verankerung des Ensembles in der Szene unterstreicht.
Darunter waren witzige wie etwa Urban Mäders «ahhhhh», präzis gearbeitete wie Alfons Karl Zwickers
«Hommage à Jean Baudrillard», musikantische wie Stefan Signers «Highmatt», lakonische wie Michael
Reudenbachs «Oh, yes!» oder orchestral gedachte wie Yôko Nakamuras «Zürich (by soggetto cavato)≫
                      
[写真は、Neue Zürcher Zeitung に掲載の音楽祭の演奏風景
Das Ensemble für Neue Musik ist am Puls der Zeit geblieben, wie es im Zürcher Kulturmarkt bewiesen hat. (Bild: NZZ / Adrian Baer)」]
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