音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■「現代ギター 11月号」が、CD「星の林に月の舟」を紹介■

2008-11-19 23:32:52 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■
■「現代ギター 11月号」が、CD「星の林に月の舟」を紹介■
              08.11.19 中村洋子

★「現代ギター 11月号」の新譜案内に、

私のCD「星の林に月の舟」が紹介されました。

「ジャケット・デザインの素っ気なさに反比例して、

中身が濃く、味わい深い。3人の日本女性による力作である」

・・・などと、書かれてありました。


★案内では、ギター独奏曲「十三夜」を、とても評価していただき、

私も気に入っている曲ですので、うれしく思いました。


★この曲は、一見、簡単そうな譜面ですが、おこがましくも、

バッハの音楽と、同じ傾向ですので、相当に実力のある

真の音楽家でないと、良い演奏は出来ないかもしれません。


★斎藤明子さんの素晴らしい演奏を、是非、

皆さまに聴いていただきたいと、思います。


★きょうは、11月21日に開催いたします

「カワイ・第5 回インヴェンション講座」のリハーサルを、

ダーフィット・シッケタンツさんと、いたしました。

インヴェンションとシンフォニアの5番の、上声をヴァイオリンで

弾いて頂き、下声または下2声を、ピアノおよびチェンバロで、

合奏する、という試みです。


★これは、エドウィン・フィッシャーのシンフォニア校訂版の

脚注に、ヒントを得て試みたものです。

フィッシャーは、「上の2声は、フルートとヴァイオリンの二重奏のような

フレーズで、できるだけ美しく歌わせなければならない」と書いています。


★この曲を、ヴァイオリンとの二重奏で弾きますと、

普段、手馴れてやや雑に弾いてしまっている、個々のパッセージや

装飾音の一つ一つが、まるで宝石のように輝きます。

特に、シンフォニアの最後の5小節の美しさは、

例えようもなく、シッケタンツさんが、

「涙が出そうになった、どうして、こんなに美しいか、

いま、アナリーゼして欲しい」と、おっしゃっていました。


★それは、ヴァイオリンパートのソプラノが、

34小節ではシ、35小節はラ、36小節はソ、37小節はファ、

最後の38小節がミ(の代わりにソ)のように、

各音を、装飾音で飾りながら、ゆっくりと心の奥底に

沈潜させながら、暖かく、曲を閉じていくからです。


★インヴェンション講座は、ことしは、この5番で終了し、

新年1月27日に、新たに6番から出発します。

偶然なのですが、本年最後の曲が、このような、

穏やかな、満ち足りた曲であったことを、

大変にうれしく思っています。


★インヴェンション5番も、シンフォニアと同じ傾向の曲で、

バッハの、全15曲を目配りした大きな構成力を、感じます。

6番が、新年の出発にふさわしい、喜びに満ちた曲であることも、

バッハからの贈り物のような気がします。


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