写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

似て非なる者

2016年11月29日 | 生活・ニュース

 定年退職をして数年がたったころ、ソウルへ旅行したときに買ったメガネのレンズに細かな傷がついて視界を妨げるようになった。フレームにも、細かな傷が付いている。そろそろ替える時となったと判断し、昨年の夏、近くにあるメガネ屋さんに行った。

 陳列台にはデザインや色や材質など異なるものが、どうだと言わんばかりに沢山並べてある。どれを選べばよいか見当がつかない。今までと同じで、レンズの枠のない軽いものを出してもらうようにお願いした。その中からあまり高価ではなく、私のセンスでこれだというものを注文して帰った。

 1週間後に受け取り、掛けてみると中々心地よい。掛けているのを忘れるくらい軽く、締めつけ感もない。それもその筈である。ツルは1本の太い棒状ではなく、弾性のあるチタン製の細い3本の針金で出来ている。

 私の持っている小物の内、時計と並んでお気に入りの一品として愛用していた。ところがつい最近、テレビを見ていて面白いことを発見した。今年のノーベル医学・生理学賞の受賞者となった東京工業大学大隅 良典栄誉教授の横顔が大写しになったときである。「あっ、私と同じメガネをかけている!」と、驚いた。

 細かな部分のデザインは少し異なるが、基本構造は同じでメガネのツルに大きな特徴があるので直ぐに分かった。「Line Art」という日本のブランドのもので、その中でも「テノール」というシリーズのものである。「安心感のあるオーソドックスなフロントスタイルと、細身でシャープな、そしてエッジをきかせたテンプルラインとの組み合わせで構成されています。軽さと清潔感のあるイメージは、ビジネスシーンにふさわしいコレクションです」と宣伝文句に書いてある。

 私は買ったとき、ブランド名もシリーズ名も何も知らずに、値段が手ごろで、デザインが気に入ったから買ったものである。それが偶然にも、何とノーベル賞の受賞者と同じメーカーで同じシリーズのメガネだったとは、単純に嬉しい気持ちになった。

 このことを良いように解釈して強引に表現すれば、「こと私のメガネ選びに関しての感性は、ノーベル賞受賞者と同じであった」と言っておこう。「だからどうなんだ」と言われても、笑っているしかない話ではあるけれど…… すみません。まっ、それだけのことです。


4 コメント

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あらためて (tatu_no_ko)
2016-11-29 08:29:44
感じてはいましたが改めて観察眼のすごさに感服します。
そのことが知らぬまに素晴らしい物を選ぶ、に通じているのでしょう。
さすがですね (anne)
2016-11-29 17:08:36
最近のメガネは、軽いですね。私も、この夏新しい眼鏡を買いました。二つの眼鏡を使い分けています。
観察力を鍛えなくてはいけませんね。
tatu_no_koさん (ロードスター)
2016-11-29 22:28:33
大隅教授が大写しになった時、特徴のあるメガネを見てびっくりしました。何ら関係のない人が、急に身近に感じられましたが、この差は大きすぎますね。
anneさん (ロードスター)
2016-11-29 22:29:57
お元気そうですね。忘年会の出欠連絡下さい。