写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

恋する灯台

2020年11月03日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 10月16日に現役の4灯台が重要文化財に指定された。その灯台は犬吠埼(銚子市)、角島灯台(下関市)、六連島灯台(下関市)、部埼灯台(北九州市)。いずれも明治初期に英国人技師の指導で建設された。現役灯台の重要文化財指定は初めてで、山口県からは2基の灯台が選ばれた。

 その一つ角島灯台は、下関市の北西、響灘から日本海へ廻る交通の要衝にある角島に建っている。2000年(平成12年)には角島に渡る長さ1780mの角島大橋が開通し、コバルトブルーの海士ヶ瀬をまたぎ、景観と調和した雄姿は、北長門海岸地域随一の景勝地となっている。

 角島灯台は、日本海側に最初に設置された洋式灯台で、明治9年に初点灯した。総御影石造りの灯台で、140年以上経った現在でも現役で点灯しており、歴史的文化財的価値が高いAランクの保存灯台のひとつである。高さは30mあり、レンズは日本でも5か所しかない特大のフレンネルレンズという通常のレンズを同心円状の領域に分割し、厚みを減らしたレンズを使用していて、光達距離は34㎞もある。

 105段あるらせん階段を昇れば、目の前には360度のパノラマ風景が広がる。白い砂浜とエメラルドグリーンの海があり、日本海とは思えない南国のような光景が広がる。楽園のようなどこまでも続く青い空と海は、恋する2人に見てほしい絶景で、日本ロマンチスト協会と日本財団が共同で実施しているプロジェクトで「恋する灯台」の一つにも選ばれている。

 10年も前、まだハートリーが元気だったころに行ったことがあるが、このたび重要文化財に指定されたのを機に、もう一度行ってみようと思っている。「恋する灯台」の名のように、久しぶりにロマンチックな景色に浸ってみたい。