写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

「合」

2008年12月02日 | 季節・自然・植物
 昨日(12月1日)、夕方のニュースを見ながらパソコンに向かっていた。キャスターが「今夜は、このような珍しい天体観測ができます」と言っている声が聞こえた。

 紙に2つの点と口のような形を書いていて、見方によっては人が笑っているように見える絵を掲げている。

 日没後、金星と木星と月との競演による天体ショーが見られる。金星と木星が天界の会合を開くため非常に近くまでゆっくりと接近する。細い三日月がこの惑星のペアに参加し、顔文字のような形を空に描き出すという。

 ネットで詳しいことを調べてみた。複数の惑星がほぼ同じ位置にまで近付いて見える惑星の「合」と呼ぶ現象である。

 金星も木星も、どちらも日没直後の南西の空に容易に見つけることができる。肉眼では複数の惑星が1カ所に集まるように見えるが、これは見かけ上の接近であって実際にすぐ隣にあるわけではない。

 左下で明るく輝く方が金星で、右上にあるのが木星だという。三日月がこの天体ショーに参加するときには、金星の右下にくる。

 惑星の「合」は比較的珍しい現象で、特にその中に金星と木星の接近が含まれるものは非常にまれだと書いてある。

 普段は夜空にあまり関心がないが、「合」という言葉を知ってあわてて外に飛び出して西の空を眺めてみた。

 低い空に上弦の三日月が浮かび、その上にテレビで言っていた通りの金星と木星の明るい星が2つ、目玉のように配置されている。

 急いでデジカメに収めたが手ぶれの写真になった。もう1枚撮ろうとしたとき、三日月が大きな雲に隠れて消えてしまった。

 確かに顔文字のように見えた。近ごろの若者はメールで顔文字を駆使しているが、天体が人間のまねをする時代になったのか。ひょっとして、乱れ始めた人間に対し、「まねをされてもいいような行動をとれ」との天の声か。あなかしこ。
(写真は、手ぶれでにじんだ天体ショウ「合」)