写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

四手網漁

2005年02月11日 | 季節・自然・植物
 正月気分が抜けたと思ったら、もう2月も半ばになっている。歳時記を追っかけるのが間に合わないくらい時は早く過ぎていく。

 2月6日に、岩国名物の「しろうお」の四手網漁が解禁された。漁期は3月21日までの1ヶ月半だそうだ。
 
 この季節、海から川へ産卵のため上ってくる集団を、待ち伏せしてすくい取る漁法だ。「待ちぼうけ」のウサギの河川版である。

 今日、今津川縁を通りかかると、河岸に四手網のやぐらが1基設置されているのを見つけた。最近はやぐらの数が減っている。

 以前何度か、しろうおの「躍り食い」というのを食したことがある。桶に泳いでいるのを金網ですくい、酢醤油たれの入った碗に入れて素早く蓋をする。騒ぎ立てて、たれが周りに飛び散るからだ。

 動きが鈍ってきた頃を見計らって口にかき込む。舌の上で松健サンバを躍っているかのように、まだまだ縦横に動き回る。

 そのまま飲み込むか、噛んで食べるかだが、私は噛まないと飲み込むことが出来なかった。思えば残酷な食べ方ではある。

 「早春の風物詩」と言葉はきれいだが、主役であるしろうおにとっては厳しい春の訪れだろう。ありがたく感謝を込めて頂いた。
   (写真は、今津側岸の「四手網」)