縄文人(見習い)の糸魚川発!

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タラ汁に光を!・・・「新潟の食事」を読んでおもうこと

2020年05月09日 08時49分36秒 | 民俗学ごっこ
家ごもりの日々、お袋が昔を懐かしんで、子供の頃に食っていた里芋のお焼きを作ってくれた。
昔は屑米を有効利用するために米粉に挽いて茹で潰した里芋を混ぜて焼いていたらしいが、現代の市販米粉だと昔より美味いのだそうだ。それでも私には素朴な味過ぎたので、チーズをのせて海苔で巻いて食ったら美味い!
 
さて、新潟県人にお勧めの本がある。農文協出版の「日本の食生活全集シリーズ膳50巻」の15巻目の新潟編だ。
 
もちろん各都道府県の食文化を網羅した全集だから、自分の出身地の巻を読むと面白いですよう。
西頚城地方(糸魚川)の紹介ページは、筒石地区のある漁師一家の歳時記と季節の食事の一覧が紹介されており、お袋の世代は米飯はハレの日のご馳走で、日常は麦飯が主食、または少ない米で腹を満たす工夫の雑炊や野菜を混ぜた「かて飯」が主食だったようだ。
 
麦飯は米6:麦4の割合の配分で、これは刑務所の「臭い飯」と同じで、ムショとは刑務所のムショと六四の割合の麦飯をひっかけた隠語。
 
米どころの新潟にあって平地の少ない糸魚川の海岸部では、米の飯はハレの日にしか食えないご馳走だった時代があるのですネ。
 
ぬなかわヒスイ工房の来客を近所にある漁師一家が経営する寿司屋の「伝兵衛」さんに連れていくと、みなさん当たり前に豪華な海鮮料理を注文するが、私はお客さんの奢りであっても安い「タラ汁定食」を注文する。
一人前でも丼3杯分はある小鍋で出てくるので、お客さんはそのボリュームに驚き、お裾分けするとタラ汁の濃厚な旨味にもっと驚く。
 
タラから旨味が出るので出汁は不要で、ぶつ切りのタラが煮えたら火を止めて味噌を溶かし、ネギを散らすのが漁師流で、みなさんがいま食べているエビやカニ、ブリの盛り合わせは地元ではハレの日の食い物であり、タラ汁が日常食だと教えると、「こんな美味しいものを日常的に食べているなんて、糸魚川の人は幸せですね!」と褒め称えて糸魚川ファンになってくれる。
 
これほど美味い浜っ子のソウルフードが、ランチで食える店が他にないのは何故だろう?
 
先日もNHKラジオでトラックの運ちゃんが、国道8号線を走って富山に入るとタラ汁を食わせるドライブインが沢山あり、これが安くて美味いのよ!と言っていたが、すぐ隣の糸魚川だって同じ物を食っているのを忘れてもらっちゃ困る。
 
青年会議所が「ブラック焼きそば」というB級グルメを開発して宣伝しているが、それはそれとして、地元に県外者が驚く安くて美味い郷土食があることを忘れてはいないか?
 
糸魚川の飲食店、観光関係者は、こんな本を読んで地元の文化をもっと勉強して欲しいですネ。
 
ガンバレ糸魚川!忘れるなタラ汁!


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