新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れなければなりません。
ルカの福音書 5章38節
新しいぶどう酒…「新しいぶどう酒は新しい皮袋に」とは、日
常生活でも耳にするほど日本語として定着しています。さて、実
際の新しいぶどう酒は発酵し膨張するものです。これは、生きて
新しい性質を私たちに与える、主イエスの福音やみことばをたと
えています。それに対し、やはり発酵し膨らむものにパン種があ
ります。ところが、主は「パリサイ人のパン種に気をつけなさい。
それは彼らの偽善のことです。」(ルカ12・1)と語ります。これ
はパン種は粉を膨らませても性質は新しく変えないからです。け
れども、ぶどう酒が発酵と膨張をすることで良いぶどう酒へと性
質を変えるように、福音は信じる者の心に良き変化を与えます。
新しい皮袋…皮袋の古い、新しいは時間のことだけでなく、皮
に弾力的な張りがあるかないかということです。新しい皮袋には
柔軟な弾力性があるゆえに、膨張し続ける新しいぶどう酒の力を
受けとめて皮袋そのものも変化します。ちょうど花婿に付き添う
友だちが花婿と心を一つにし喜びを共有するように(ルカ5・34~
35)、皮袋も中身のぶどう酒と共に変えられていくのです。私た
ちの心や存在も、主が内に入られるとき変えられるのです。
古いぶどう酒…人の心は得てして慣例や習慣から離れることを
嫌がり避けます。主が「だれでも古いぶどう酒を飲んでから、新
しい物を望みはしません。」(ルカ5・39)と語ったのも、古い律
法に固執して主の教えに素直に心を開かないパリサイ人たちの姿
(ルカ5・33)を言い表しています。しかし私たちは、主の教えを
都合よく解釈したり部分的に受け入れるのでなく、主の十字架と
復活を信じ、主ご自身を心の中心に迎えて人生の主導権を明け渡
すとき、たましいの抜本的な変化が始まります。すなわち、栄光
から栄光へと主と同じ姿に変えられるのです(Ⅱコリント3・18)。