【ユダの覚悟】
ユダは父イスラエルに言った。「あの子を私と一緒に行かせてください。私たちは行きます。そうすれば私たちは、お父さんも私たちの子どもたちも生き延びて、死なずにすむでしょう。
私自身があの子の保証人となります。私が責任を負います。もしも、お父さんのもとに連れ帰らず、あなたの前にあの子を立たせなかったら、私は一生あなたの前に罪ある者となります。
もし私たちがためらっていなかったら、今までに二度は、行って帰れたはずです。」
創世記43章8~10節
気迫を込めた提案…エジプトや周辺地域の飢饉は長期間続き、父イスラエル(ヤコブのこと。)は息子たちに再びエジプトへ食糧を調達に行くよう命じます。
ここで父と息子達の間で問題になったのは、末子のベニヤミンを同行するか否かでした。父は頑なに拒絶しますが、ユダは一族の将来を考え、父が受け入れがたい提案をします。神は、火中の栗を拾う気迫を持つ者を用います。
責任を負う…ユダの進言には、全ての責任を負う決心がこもっていました。ユダは父に対し「私は一生あなたの前に罪ある者となります」と言いました。
この43章では父をヤコブ(42・1、4、36)という私的な名前ではなく、神から与えられた公的な名であるイスラエル(参照32・18、35・10)と記します(43・6、8、11)。これは、もしユダが約束を守れなければイスラエル民族の公的な歴史において末代まで汚名を負うことを示します。神を信じて行動するとは、その第一歩にそれだけの覚悟が求められるのです。
決断を迫る…神と父の前に肚を据えたユダの言葉は、父の心を動かします。「全能の神が、」に続く父イスラエルの言葉(43・14)は、神に全てを委ねる献身の祈りです。そしてこの祈りをヤコブが捧げるきっかけを作ったのはユダでした。この瞬間、ユダから後にダビデが生まれ、救い主へとつながる祝福の流れが開いたのです。