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上海生まれの神学者古屋安雄が約20年前にいじめは日本独特の問題であると指摘していた。以下に引用する。

「日本の国と社会は、今も昔も、戦争前も戦後も、全く変わらず、本当に人間一人ひとりを大切にするような社会ではありません。そうではなく、一人よりは九十九人を優先させるという風潮が優勢な社会であります。みんなと同じことをしない人が一人でもおれば、それを認めようとはしません。みんなと違ったことをする、そういう人がいると、その人を排除しようとします。いわゆるいじめは日本独特の問題です。学校におけるいじめ、これはそうした風潮の結果であります。つまり日本の社会は、例外的な存在を認めようとしない。

いわゆる帰国子女問題があります。親の仕事の関係で長く外国に住む、日本語を忘れて帰国する、そして英語やドイツ語をしゃべる。そして普通の日本の学校に入って勉強しようとすると、みんなが ああ、おかしいなー、こいつは と言っていじめる。そして彼らの言葉でいうと 外国はがし と言って、外国的なものが一切なくなるまで、徹底的にいじめる。そしてやっと日本人と同じようになると、日本もどし といって仲間に入れてくれる、というのです。

わたしは戦前の上海に生まれました。中国です。父は牧師だったのですが、日本に帰ってくると、わたしのことをチャンコロ、チャンコロと呼んでみんながいじめました。当時の日本は中国人をバカにして、チャンコロと呼んでいました。私は日本人なのですが、中国から帰ってきたのでそう呼ばれたのです。

むかし中国にいた時に聞いた次のような話を思い出しました。
ある山に目が一つしかない猿、つまり一つ目猿たちが住んでいた。ところがその山に、目が二つある普通の猿が一匹やってきた。するとその山の猿たちが一斉に言った、 おかしいよ、この猿は。目が二つあるよ と。そう言ってみんなが遊んでくれない。おまえはみんなと違う、目が二つあるよ、と言って誰も遊んでくれない。そこでこの二つ目猿は、仕方なく、石を拾って自分の片目をつぶしちゃった。そしてみんなの前に出て行くと、みんなが あ、やっと一人前になったねと言って、遊んでくれた、という話です。

 現代の日本の学校教育は、生徒が外国に行って国際的な目を持つ、つまり二つの目を持って帰ってくると、よってたかってその目をつぶそうとする。こいつは目が二つある、と言っていじめる。外国的なものをなくしてしまうと、やっと仲間に入れてくれる。そういう場所なんです。

変わった考え方を持ち、変わった行動をする者の存在を認めようとしない、これが残念ながら日本社会の風潮であります。
(おかしいと思うことがあっても)敢然と反対するような例外者の存在を認めない。・・みんなと違ったことを言うと相手にされなくなる。だから黙って何も言わない。」(古屋安雄「日本伝道論」教文館 1995年 上の話は1993年の講演)



コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
なんか~ちがうな~ ()
2012-08-20 12:31:31
いじめに関った事が無いので、新聞報道などで知る限りの事ですが・・・。

まず、今のいじめは、全体が個をいじめてるのでしょうか?

そうではなく、「いじめをする少数の集団が居て、一人をいじめる。」と言う構造じゃないですか?

古屋氏の文章では、その点が違っていると思います。
彼の文章だと、「加害者は、日本全体」あるいは、「加害者は日本の文化」と言ってるように思えます。

しかし、実際はそうではなく、全体ではなく、特定の加害者が存在しています。
古屋氏の文章は、その加害者の存在を希薄にしていますね。

確かに、自分たちと違うものを受け入れないと言う日本人気質も有るかと思いますが、衣食住を見ても分かるように、これほど多くの外国文化を取り入れている国も少ないのではないですか?

外国人には親切な日本人も多いです。

この古屋さんて人は、よほど日本の学校教育に偏見があるんじゃないですか?
 
 
 
小数のグループが、確かに (NJ)
2012-08-20 14:46:43
彼の引用した文は、今日頻繁に起こっている学校(など)におけるいじめについて論評したものではないので、指摘された点は当たっていると思います。

いじめの一面的な説明にしかなっていないかもしれません。(ただ、黙ってみているクラス生徒が大勢いるとしたら、該当する部分があるかもしれません。)

 
 
 
日本独特の問題ではない。 ()
2012-08-21 10:04:21
>みんなと違ったことをする、そういう人がいると、その人を排除しようとします。いわゆるいじめは日本独特の問題です。

古屋さんはこう語ってますが、これは誰が見ても大きな間違いですね。

奈良教育大学のプロジェクトのサイトにこう言う調査結果が有ります。

「無視や仲間はずしは、どの国でもみられる。」

http://www.nara-edu.ac.jp/CERT/April07/html/chapter1/04.html

>変わった考え方を持ち、変わった行動をする者の存在を認めようとしない、これが残念ながら日本社会の風潮であります。

これも、日本だけの風潮と言うのは間違っていますね。
何処の国にも、異文化の排斥は有ります。
欧米でも、古くから人種差別に代表される、異文化を認めない風潮が有ります。

この古屋さんて人は、信じられないぐらい見識の低い人ですね。

 
 
 
この調査は全てを網羅していない (沼野)
2012-08-21 15:30:39
ご指摘と参照サイトをあげてくださってありがとうございます。いじめがどの国にもある、ということを否定しません。

しかし、よく見るとちょっと調査対象にあがってくる生徒像が違うことに気付きました。同じいじめでも、よく話す友達どうしが一番多いとある点から、帰国子女のようにクラスにとけ込めないでいる子たちが該当しないことが分かります。

>みんなと違ったことをする、そういう人がいると、その人を排除しようとします。いわゆるいじめは日本独特の問題です。

この二つの文を良く見ると、前の文が前提となって、いわゆる(そのような)いじめは・・と読むべきではないでしょうか。少なくとも私はそう読みます。

「この信じられないくらい見識の低い人」は、珍しくLDS(教会)に理解を示す日本のキリスト教神学者で私は親しみと敬意をいだいております。はい。私も上海で生まれて、彼は同市で生まれた私の大先輩ですから。
 
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