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NJWindow(J)




12月22日(土曜日)
「は~・・・終わった・・・・。」
「結局会員以外は6人か・・・??」
「ま、来ただけましだって思うか!」
「そうよ!6人も来たんだから大成功よ!」
「大成功・・・・・っか・・・。」
「そうだよ!!会も盛り上がったし、大成功さ!!」
「ほんじゃ、明日の神権会のレッスンを準備しないといけないから、
先に帰りますよ。」
「杏奈姉妹、車で送るから!」
「あ・・いえ・・私、帰りにコンビニで買いたいものが有るから、
電車で帰ります。」
「そ・・そう・・じゃ、有馬兄弟が電車だから、駅まででも一緒に
ね、気をつけてーー。」
「いつも会長は身のこなしが早いからな・・。」
「そうでないと、モルモン長くやっていけないのよ・・」杏奈はそ
う言って笑った。
「で、コンビニで何買うの?」
「何って、約束したじゃない、有馬兄弟にクリスマスプレゼントす
るって!」
「えーー、僕へのプレゼントコンビニで買うのーー!!」
「なによーー御不満?」
「だってね・・・いくら労働の報酬だからって・・あんまりかなー
ーって・・」
「何欲張ってるのよ、有馬君は、ワードでも数少ない若くて今売り
出し中の神権者だから、若い姉妹からいっぱいプレゼントがもらえ
るでしょ!!」
「なんでーーー、去年なんて誰もくれなかったよ。」
「去年はバプテスマ受けたばかりだったから・・仕方ないよ。」
「でも、もう会員だったよ。」
「バプテスマ受けてもすぐ来なくなる人が多いから、みんな様子見
てたんじゃない?」
「そーーかな???でも、今年もまだ誰もくれないよ」
「まだ、22日じゃない、明日の安息日が本命よ!明日がいつもよ
り大きなバッグ持ってくるのよ!」
「はえーー、でも、それで誰からももらえなかったら・・・・。」
「だからーーー、コンビニのプレゼントでもありがたく思いなさい
って!!」
「なーーんかなーーー・・・」
「じゃ、遅くならないうちに、ついて来て!」
「え!僕もコンビニまで行くの!?」
「あったりまえじゃない!本人に何が良いか聞いたほうが当たりは
ずれがなくて良いでしょ。」
「そんなのなーーー・・・夢がないよな・・・。」

「ハイ!有馬君へ!クリスマスプレゼント!!」
「はいはい・・・ありがとうございます・・・。」
「なによーー不満そうに、自分がこれで良いって言ったんじゃない!」
「ま・・そうだけど・・・。自分で選んで自分で持って帰って・・・
自分一人で食べるショートケーキなんてね・・。」
「じゃ、半分食べてあげるから!!」
「けっこうです!!一人で全部食べますから!!」

もう、杏奈との会話にも慣れてきた有馬だったが、杏奈がコンビニ
でもう一つプレゼントを買ったのがすごく気になっていた。
「もう一つ買ったのは誰にあげるの?」
「へへーー気になるの?」
「いや・・別に・・・」
「なによ、気になってるじゃない!私もね、有馬兄弟以外にもクリス
マスプレゼントをあげる男性はいるのよ!言っとくけど、お父さんと
かじゃないわよ。へッへッへーー」
「ま・・僕には関係ない事だから・・いいけど・・。」

そんな話をしながらも、有馬には杏奈を送っていく時間が楽しい時間
になっていた。
「それじゃ、いつもありがとう。優しい有馬兄弟に感謝します。」
そう言って、杏奈は手袋をはずし、有馬に握手を求めた。
「それじゃ、明日の安息日、また教会でね。」
「明後日のイブにはキャロリングもあるしね。有馬兄弟も行くんでし
ょ?」
「ああ・・歌は下手だけど、行きますよ。」
「気をつけて帰ってね!」


ルルルル・・・・ルルルル・・・・
「はい、小阪ですが・・」
「有馬と申しますが、エリアさんおられますか?」
「はい私がエリアですが・・?どなた・・?」
「始めまして、私希望が丘の教会の有馬と申します。」
「ああ、モルモンの教会の人。」
「はい、実は私A兄弟のホームティーチャーをしていまして・・あ、
ホームティーチャーというのは・・。」
「ああ、説明しなくても分かりますよ、私も昔行ってましたから。」
「そうですか、それで、電話しましたのは、A兄弟の事で・・」
「父がどうしましたか?」
「入院されてるのは御存知でしょうか?」
「はい、病院の方から連絡がありましたので、聞いていますよ。」
「そうですか、それなら良かった、私の方も、近所の人から入院した
って聞いただけで、どこの病院かわらなくて・・。」
「駅のすぐ近くの病院ですけど、教会の人に言うと、相手の事も考え
ずにいっぱい押しかけるから、父も言わなかったんでしょうね・・・。」
「すみません・・・。」
「だから、他の人には言わないで下さいね、私の方でちゃんと面倒見
てますから。」
「そ・・そうだったんですか・・・。連絡も取ってないのかと思って
いました・・。」
「何言ってるんですか、人聞きの悪い、本人が一人が良いって言うか
ら、好きにさせてるだけで、生活費は私達が出してるんですよ。本当
は一緒に住んだ方が安上がりなんですけどね・・。」
「すみません、事情も知らなくて・・。」
「父に仕送りをすると、そこからまた什分の一だとかなんとか、結局
教会に献金してしまうから、家賃とか電気代とか、こちらに請求がく
るようにしているんです。教会はね、家族がいたらまず家族に助けて
もらって、それがダメなら行政で・・それでもダメなら・・しぶしぶ
断食献金で・・って事でしょ?取るものだけは取るけど、本当に必要
な時には、あてにならないんですからね。父も教会に行けている時は
まだ少しは気にしてもらってたみたいですけど、外に出られなくなっ
てからは、なんて言うの?お休み会員だった?そう言う扱いのようね・・。」
「いえ・・・そんな事は・・・どうもすみません。私はまだ新米で良
く分からなくて・・・。」
「あ・・そう、それは失礼しました。でも、私のところに電話をかけ
てきたのはあなたが初めてよ。新米なのにご苦労さん。」
「いえ・・・本当に・・何も出来なくて・・・。すみません・・。」
「あなたに文句言ってるんじゃないから気にしないで下さい。」
「ありがとうございます。様子がわかって少し安心しました。私の携
帯番号を言っておきますので、何か出来る事があれば電話してくださ
い。」
「ああ、念のため聞いておくわ、0X0・・・・・。ね。」
「はいそうです。どうも今日はおじゃましました。」
「いいえ、父の事で気を遣わせてすみませんでしたね。でも、本当に
病院の事は教会には言わないで下さいね。あなたも勝手に見舞いに行
かないようにお願いしますね。」
「はい・・分かりました・・。それじゃ・・。」

ぷーーーーープツ・・・。

有馬は、A兄弟との約束を破った事を悪く思いながらも、少し安心し
た気分になっていた。

♪ ジャーン シャカシャカ  ・・・・♪
最近設定した杏奈姉妹専用の着メロが鳴った。


こんばんは!杏奈姉妹!」
「え?どうして私って???」
「ああ・・登録したから・・・。」
「そうよね、見れば分かるけど、出るのが早かったから・・・??」
「で、何の用?」
「あのねーーー明日のキャロリングに行くでしょーー・・その時にー
ーー迎えに来てくれないかなーーーーーって・・・・。」
「ええーーー、どうしてーー!!わざわざーーーーぼくがーーーーー
ー!」
「ほら、昨日プレゼントあげたじゃない・・・。」
「でも、あれはーー前に送って行った時の労働報酬でしょーーー。」
「ああーーそうなの??有馬君は私を送っていくのは労働なのねーー
ー。」
「いやーーそう言うわけじゃないけどーー・・。」
「そう言ってるじゃないの!だいたいねーー私の様な美女を送れるっ
て言うのは、教会の神権者としては名誉な事な事だって思わないーー
ー??」
「いやーーーそれを自分で言っちゃーーなーーー。」
「・・・(本当に乙女心が分からないKYなんだから・・・)・・」
「え?聞こえにくいけど・・。」
「聞こえないように言ったの!それで、迎えに来るのが嫌なの!?」
「いや・・まーー嫌じゃないけどーーいきなり言うもんだからーー。
行きますよーー。」
「本当にーー初めっからそう言えば良いのにーー。じゃ、ちょっと寄
りたい所があるから、十分早くね、どうせお休みで暇なんでしょ!」
「そんな言い方はないでしょーーー。」
「はいじゃーーお願いね、昨日別れた所で待っててね、親には言って
ないんだからね。」
「はーーい、じゃーー・・」

10
♪  かみーのみこーは こよいしもーーベツレーへムーーに あれ
ーまーしぬー・・・♪
最近は・・ジングルベルより・・賛美歌の曲の方が街に流れるように
なった・・。クリスマスも、日本に定着したのか?それとも、日本人
がクリスマスを飲み込んでしまったのか?
 それでも、クリスマスの歌が流れる街には、何かいつもと違った雰
囲気があるのはなぜだろうか?
 日本人のほとんどの人が、まともに聖書など読んだ事はないだろう、
イエスが何を言ったのか?キリストが何をしたのか?理解する人は少
ないかもしれない。しかし、クリスマスの賑わいの中にあるせわしく
も暖かい時間の流れは、キリストがもたらした愛とも思えてしまう。
 まして、恋心を持った若い男女には、クリスマスイブが特別な日に
感じられないわけがない。

「ごめん!!待った・・・・??」
「間違いなく15分も待ってますーーー。ほんとにーーー・・・。」
「怒ってル暇はないわよ、急がないと!!」
「急がないとたって!遅れて来たのはそっちだよーー」
「どっちが遅れてきても、急がないといけないのは同じよ!本当に
ごめん!後でちゃんと謝るから、早く行きましょ!!」
「で、どこに寄るの・・。」
杏奈の手に持っていた紙袋には、土曜日にコンビニで買ったプレゼ
ントが入っていた。
「これを渡しに行くのよ。」
「そんなのに、僕がついて行って良いの?」
「あなたでないとダメなの、これはA兄弟へのクリスマスプレゼン
トなのよ。」
「え!・・そうだったの!!」なぜか有馬の声が明るくなった。
「もう家に帰ってるかと思って・・。」
「帰ってると良いね・・・。」

「ハーイイ!アリマキョウダイ!!」
「ええ!!???」
「ワタシハ、カミノコトバヲツタエルモノデス!」
「見れば、宣教師だって分かりますけど・・・初めてですよね・・会うの・・??」
「ハイ、ハジメマシテ、アリマキョウダイ、ト、アンナシマイ!!コンバ
ンハ!!」
「え~私の名前も知ってるの??」
「ハイ!ゼンブシッテマス!」
「で、長老の名前は?」
「チョウロウ?ソンナトシヨリデハアリマセン、!!」
「まだ日本に慣れてないのかな??」
「ハイ!イマキタトコロデス!!」
「なんか通じてるのかな??」
「ハイ、ニホンゴハヨクワカリマス。」
「じゃ、名前は?」
「ワタシハ、ジーザーズトモウシマース。」
「え!!!本当に???」
「ワタシノ オトウサンハ ジョセフ デ オカアサンハ メアリー 
トイイマス ワタシガ オカアサンノオナカノナカニイルトキニ ユ
メヲミテ コノナマエヲツケナサイッテ イワレタソウデス!!」
「なーーんか・・聖書の話しそのまんまね~・・。」
「ソノマンマハ ミヤザキケンノ チジデスカ?」
「また、先輩が変な事教えて・・・・」
「有馬君、長老!どうでも良いけど急ぎましょう!!」
「ソウデス!イソギマショウ!!」
「イソギマショウ・・ってどこ行くか知ってるの?」
「ワタシモ Aキョウダイノ イエニイキマス 」

有馬も、杏奈も何がなんだか分からなくなったが、とにかく目的地は
同じなので、一緒に行けば良いと思った。

コンコン・・・・
「はい、どなたですか?」
今日はイヤに早く出てきた。
「教会の有馬です。」
「ああ!また来てくれたんだね!どうぞ中へ・・」
「メリークリスマス!!」
「あ!杏奈姉妹も一緒に、はいメリークリスマス。」
「メーリークーリーースマーース!!」
「宣教師も一緒かい!嬉しいね・・。さ、外は寒いから中に入って・
・。」
「あ!A兄弟・・僕たちこれからキャロリングに行くんです。だから、
クリスマスの挨拶だけで・・・。」
「ああ・・・そうだろうな・・・若い人は忙しいから・・・。」
「ああ!!!!いいえ!!今日はキャロリングじゃないんです!今年
は明日なんです。有馬兄弟って勘違いしてーー。」
「勘違いって、今日がーー。・・・」杏奈は目でその言葉をさえぎっ
た。有馬もその雰囲気がわかって。
「そ・・そうだったね、キャロリングは明日だったね・・・・・。」
「じゃ、おじゃましまーーす。」そう言って安奈は部屋に上がりこん
だ。部屋の中はなぜかこの前よりも少し片付いているような気がした、
しかし、物がなくなった分だけ、少し寂しい感じもした。

「あ!そうだ・・。これ、小さいけどクリスマスツリー!ちゃんとL
EDの電飾もつくんですよ。」
そう言って、有馬は綺麗にラッピングされた箱を少しためらいながら
出した。ちょっと見つめてから、思い切って包装紙を破り中を取り出
した。
「どこかにコンセントないですか?」
「こっちだよコンセントは・・。」
「わーーーきれいーーー。すごーーいい」
20センチほどの小さなツリーだが、シルバーとゴールド、ピンク、
グリーン・・・と色を変えてツリーの灯りが一人暮らしの部屋をパー
ティーの会場のように照らした。

♪モーロービトーコゾーリーテ むかーえまつれ~
  ヒサアシイクウウ まちいにいしいい 主は来ませり~ シュハ
キマセリ~
しゅわー しゅわーあ 来ませり  ♪

ジーザーズが歌い出した、歌にみんなの声がそろった。

「メリークリスマーーアーース!!」
「ハッハッハッ!!!!」
たぶん何年ぶりかであろう、その部屋にこんなに明るい笑い声が響い
たのは・・・。
「これ、クリスマスプレゼントです。」
「ああ・・まだこんなのがあったのかい・・。子供の頃に、お菓子屋
に並んでいたのを良く見たけど、あの頃は、一度も買ってもらった事
がなかった・・・。この銀の長靴の中身が何なのか知りたくてね・・。」
「昔も一緒だったのかな??わかんないけど・・・。」
「いや、中身が違っても、気持ちは一緒じゃよ、本当に嬉しいよ。そ
うだ、みんなで食べようか。」
そう言って、A兄弟は、銀の長靴をひっくり返した、中からクッキー
とキャンディーがこぼれ落ちた。
「ああ・・・ココアでもあればよかったんだが・・。」
「良いですよ、水で・・。」
「麦茶ならあるよ、水よりはましじゃろう。」
「そうですねーー温かい方が良いです。」
「そうじゃのーこの部屋は冷えるから・・ストーブも灯油がなくて・
・・。一人だと布団にもぐりこめば良いんじゃが・・・。」
「あ・・そうだ・・・。これ・・もう一つプレゼント・・。」ためら
いながら、杏奈は持っていた袋の下から別の包みを取り出した。
「これ!ほら!暖かいでしょ!!」そう言って、杏奈は包みの中のマ
フラーをAの首にかけた。
「ほーー!これは、手編みじゃないのか??わしがもらって良いのか
のーー・・・」
「・・・ええ・・・そのために編んだンですから・・・。」
「若い女の子から手編みのマフラーをもらうのは、結婚前に妻からも
らって以来じゃのー・・」

ツリーとマフラー、麦茶とキャンディーとクッキー・・・それだけで、
Aの部屋は、どのホテルより豪華なクリスマスパーティーの会場にな
った。

Aの昔話、有馬の子供の頃の話し、杏奈の今の教会の話し、ジーザーズの
不思議な家族の話し・・・・。笑いが途切れる事はなかった。

♪ きーよし・・・このよる・・・♪
「エイエンノチチナルカミヨ・・・・・」最後にジーザーズが祈った。

「それじゃ、僕は杏奈姉妹を送っていきます。」
「ワタシハ、Aキョウダイヲ、ツレテ イカナクテ ハイケナイノデ
ー モウスコシ ココニ イマス・・」
「ああ、病院に戻るの?」
「チガイマスガ ステキナトコロデス 」
「ああ・・・・そう・・・でも、また戻ってくるんでしょ?」
「・・・マタ アエルト オモイマス ・・シンパイシナイデクダサ
イ・・・」
「じゃ、さよならーー」「さよならーー」「本当にありがとう、人生
で一番嬉しかった日じゃよ今夜は・・・」

11
「キャロリング行けなかったね・・。」
「そうね・・でも、途中で電話しといたから・・。」
「でも、なんか楽しかった。」
「私も、久しぶりに心が温まったような気がするわ。」
「あ!そうだ・・・実は謝らないといけない事があるんだけど・・。」
「そう・・・私も・・・・。」
「やっぱりーー。」
「そうよ、有馬君もねーー。本当に綺麗なツリーだったわ、ありがと
う。」
「君の手編みのマフラーも暖かそうだった・・ありがとう。」
「今度は、セーター編んであげるからね・・でも・・来年のクリスマ
スかな??」
「じゃ、僕もそれまでに、モミの木育てておきますよ。」

「今年のクリスマスは、プレゼントなしか・・。」
「一昨日あげたじゃない!」
「あれは労働報酬だろ!」
「そうね・・・じゃ・・取って置きのプレゼントをあげようかな?」
「え?・・・・・」
杏奈は有馬の方を向いて顔を上げ、目を閉じた・・・。星の光に照ら
された杏奈の顔は、劇の時に見た受胎告知を受けた聖母マリヤの顔だ
った。有馬はためらった・・・。星の瞬きが時間を止めた。

「でも、止めとこうね・・・。」杏奈は、目を開いて有馬に微笑んだ。
「え・・・・そうだよね・・」
「有馬君の思ってるようなことじゃないのよ、だって・・・私は有馬
君より年上だし、有馬君はまだ結婚なんて考えていないでしょ?」
「ま・・確かに・・そんなに真剣に考えた事はなけど・・。」
「私はね、今度好きになる人は結婚する相手だって決めてるの・・。
だから・・・。」
「へー杏奈姉妹って、そんな事が出来るんだ・・・。」
「え?そんな事って?」
「だって、相手の条件によって、好きになれたりなれなかったり・・。」
「そ・・そんなんじゃないけど・・・。」
「人を好きになるってそんな事?」
「・・・そ・・そんな事じゃない・・・けど・・・・。」
「僕は、杏奈姉妹が何歳でも、好きですよ。」
「え!・・・・。ありがとう・・・でも・・・・私を好きになるって
事は、私と結婚するって事よ、私の中ではそうなの・・。」
「僕は、杏奈姉妹と結婚するかシナイか分からないけど、でも、今は
すごく好きですよ。」
「そう・・ストレートに言われてしまうと・・・どう言って良いのか
分からないけど・・・。私も有馬君の事大好きだけど、・・・でも、
どうして良いのか分からないの・・。」
「どうして?」
「もし有馬君が私と一緒になったら、ずっとモルモンを続ける事にな
ると思うわ・・。それで良いの?」
「それで・・って??もうバプテスマも受けたし・・。」
「・・・でも・・まだ一年だし・・いろんな事があるから・・・。」
「そんなの変だよ!教会のために僕達が結婚するんじゃないんだから
ー。教会のために杏奈姉妹を好きになったんじゃないし・・。」
「でも・・有馬君ごめんね・・私は、モルモンとして生まれて、育っ
て・・そこから考えが抜け出せないの、いつも私の人生には教会があ
ったし、これからもたぶんずっとそうだと思うの、信仰とか言うんじ
ゃなくって、モルモンって国に生まれた人が、モルモンって国民にな
るようなそんな事だと思うの、高校生の時に、何度かその国から抜け
出そうとしたけど、出来なかったわ、知らないうちに、そこに帰って
来ていた。」
「そう・・それがどう言う事なのか・・今の僕には良く分からないけ
ど・・。」
「ごめん・・・」そう言って、杏奈は有馬の胸に顔をうずめた、有馬
は杏奈の背中に手を回して、杏奈の心を受け止めようとした。クリス
マスツリーのように二つの陰は一つに重なって、星の光を受けていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次の朝、有馬の部屋に小包が置いてあった。中はクリスマスプレゼン
トとして綺麗にラップされた袋で、見覚えがあった。中はマフラーだ
った。

杏奈に部屋にも小包があった。綺麗にラッピングされた見覚えのある
箱に、やはり見覚えのある、小さなクリスマスツリーが入っていた。

有馬の携帯が鳴った・・杏奈からではなかった・・。

「もしもし、有馬さんですか。」
「はい有馬です。」
「小阪ですが・・・Aの娘の・・。」
「ああ、小坂さん・・・。」
「昨日の夜、父が亡くなりました・・。病院で・・。」
「え!・・・・・・・」




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