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私はなぜ今のアメリカを嫌悪するのか

2006-09-19 01:17:28 | 時事発言
リーダーズダイジェストを読むなどアメリカの文化に
影響を受け、後に教育・研究でまた経歴の面で小さか
らぬ関わりを持ってきた。しかし、近年のアメリカの
外交、軍事政策、特に最近数年の中東における軍事介
入は眼に余るものがある。次に掲げる人たちの言葉に
強い共鳴を覚えているので簡単にリストアップしてみ
た。

 1 猿谷要「アメリカよ、美しく年をとれ」。83歳
の著者はアメリカを愛着をもって研究してきた学者で
あるが、ブッシュ大統領の独善的な外交に失望し、義
憤を覚え、愛する国の老醜は見たくない、軍事力より
文化力を発揮してほしいと書いている。怒りだけでな
く著者の哀しみの深さも滲み出ている本である。

 2 鶴見俊輔。ハーバードで学んだ83歳の哲学者は、
ますます独善性を強めている現在のアメリカに手厳し
い。「9.11テロ直後、ブッシュはわれわれは十字軍だ
と言った。何とバカなことを言うのかと驚いた。テロ
の原因に思い至らず、米国が世界で唯一の文明だと本
気で思い込んでいる。すさまじいことだ。米国は全体
主義の方向に向かっていますよ。」(朝日05/11/26
p.25)

 3 入江昭ハーバード大教授。「米国人は実に親切
だった。非常に開放的で外国人にもチャンスをくれた。
私はそういう米国に強い魅力を感じた。・・ところが
今の米国はほかの国がどうなっても、自分の国さえ強
ければいいんだと言わんばかりの人たちが政権を支え
ているように見える」。アメリカ批判は控え目であっ
た入江氏もこのように述べる。(朝日 05/5/24)

4 柄谷行人。「米国はいま唯一の「帝国」である。
これを支えるのに思想は不要である。巨大な資本と軍
事力があれば十分であるから。しかし、これに対抗す
るには思想がいる。そしてそのような思想家が集まる
のが米国である」と5人の思想家を上げ、中でも「オリ
エンタリズム」を書いたエドワード・サイードに注目
し、間接的に米国批判している。(朝日05/10/27)

 5 森孝一。同志社大神学部長である森氏は、大阪で
講演し、「聖書を歴史的事実と信じ、政治に反映させよ
うとする宗教右派が米国人口の15-18%を占める」とアメ
リカに影響力を持つキリスト教原理主義に触れ、「独立
宣言ですべての人が生命、自由、幸福を追求する権利を
持つことを認めているが、米国以外への関心や理解が極
めて不十分だったのではないか」と指摘する。また「米
国人はメディアの自主規制などのため、イラク戦争や中
東の紛争などの情報を驚くほど知らない。彼らに情報を
細かく伝える必要がある」と語っている。同感である。

 6 葉佐井博巳。前広島国際学院学長。工学部長であ
った頃からアメリカの一国主義に言及、批判的であった。
自身被爆者である前学長は原爆の残留放射線量の測量に
従事し、現在は被爆語り部として活動している。この物
理学者の見解は理性に基づくものとして注目してきた。
  
 7 ウォルター・ヴァン・ビーク。オランダの人類学
者、モルモン教徒。2004年モルモン歴史学会で「皆さん、
海外に旅行されるときは、アメリカ人であると言わない
でカナダ人だと言ってください。」と聴衆に冗談まじり
に語りかけた。世界中でアメリカが嫌われていることを
指したものであった。その場にいた私は思わず声に出し
て相槌を打った。今日唯一の超大国となったアメリカは、
世界の警察官と化し、その警察は今戦争を仕掛ける戦さ
好きの嫌われ者となっている、とヨーロッパ人の声を代
表している。(ダイアログ誌、2005年冬季号)。現政権
を支持し、イラク戦争を批判的に見ることをしない米国
のモルモン教徒はよく耳を傾けてもらいたい。

 私自身がアメリカに嫌悪を感じるのは、1 甚だしい一
国主義、2 根拠なしにイラクに戦争をしかけたこと、
3 イスラエルに一方的に肩入れしていること、4 しば
しば現れる二重スタンダードなどが原因である。甚だ舌
足らずであるが、私が今のアメリカに辟易していること
を識者の声と共にまとめておきたいと思ったのでここに
記すことにした。


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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (026043)
2006-09-20 11:01:53
 お久しぶりです。何というか、あの、「アメリカ以外に民主主義はない」みたいな姿勢は甚だ問題ですよね。例えば戦後の占領政策でもそうです。戦前の日本にも、「民本主義」の名の下にいわゆる「デモクラシー」が存在したのです。別に戦後になってアメリカから教えてもらったものじゃないんです。むしろそうした戦前の民主的基盤があったからこそ占領政策は(成功したかどうかは別にして)さしたる混乱を見なかったともいえるでしょうね。それを「民主主義はアメリカの贈り物」と無邪気に信じる一部の輩がいたこと・そうした人々か「戦後史」の表舞台に上がってしまったことは「悲劇」でしょうね。私としてはそうした御仁が舞台を去ることを望むところです。



 話が脇にそれてしまいましたが、米国は占領先の社会的・文化的基盤を顧みる余裕を失っているのではないでしょうか。そのことがイラクやアフガニスタンでの混乱なのでしょう。
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達観 (NJWindow)
2006-09-20 13:02:28
秋になりました。元気にしていますか。



コメントありがとうございます。深く推移と現状を把握していますね。また seto-in-kure さんのサイトを訪ねてみます。
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Unknown (026043)
2006-09-21 00:30:37
 個人的なところとして、小泉-安倍ラインによる「脱戦後」の動きは今後も加速するのではとみています。日米同盟の重視というのは、お互いに補うという関係がこの二人の望むところであって、野党の「対米追従」批判は少々的外れにも思います。追従するというのはつまり、日本政府、こと内閣にとっての「政治的コスト」でしょうね。そして国内的には、教育基本法・憲法の改正というコストを払って「戦後」を清算し、新しい時代を創ろうというのでしょう。どんなビジョンが示されるか気になるところです。こうなると今後の日米関係は新しい局面を迎えるでしょうね。
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成熟した洞察 (NJWindow)
2006-09-23 22:14:52
Seto-in-Kure さんは政治的にも高い視点からよくものが見えていますね。成熟した、正統な見解であると思います。コスト(犠牲)を払ってより大きな利害(interest) の点で有利な位置を獲得する、という見方など。



その確かな見方を知りつつ、私の場合は野党的牽制の必要性に眼を留め、そちらに身を置いてバランスを取ろうとすることが多いようです。(為政者とは異なる民間の直感も尊重したいのです。)

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豪州人も (NJWindow)
2006-10-29 07:19:39
今日見つけた言葉



「豪州人は、実は米国が嫌いなのです。特に単独行動主義の高慢さが」



 シドニーのローリー研究所 若い研究員

 さも当然という口調で  朝日06/10/29 p. 5
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同じく米国を断じる (ツツ元大主教も(NJWindow))
2006-11-09 00:44:25
11月1日、2日、広島国際会議に出席するため広島を訪れていたデズモンド・ツツ元大主教は、2日の会議でイラク戦争を取り上げ、「一方的に宣戦した米国の不正義」と断じ、日本が追随しないよう求めた。(朝日新聞2006/11/8 p.33 広島版 2)。
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