リーダーズダイジェストを読むなどアメリカの文化に
影響を受け、後に教育・研究でまた経歴の面で小さか
らぬ関わりを持ってきた。しかし、近年のアメリカの
外交、軍事政策、特に最近数年の中東における軍事介
入は眼に余るものがある。次に掲げる人たちの言葉に
強い共鳴を覚えているので簡単にリストアップしてみ
た。
1 猿谷要「アメリカよ、美しく年をとれ」。83歳
の著者はアメリカを愛着をもって研究してきた学者で
あるが、ブッシュ大統領の独善的な外交に失望し、義
憤を覚え、愛する国の老醜は見たくない、軍事力より
文化力を発揮してほしいと書いている。怒りだけでな
く著者の哀しみの深さも滲み出ている本である。
2 鶴見俊輔。ハーバードで学んだ83歳の哲学者は、
ますます独善性を強めている現在のアメリカに手厳し
い。「9.11テロ直後、ブッシュはわれわれは十字軍だ
と言った。何とバカなことを言うのかと驚いた。テロ
の原因に思い至らず、米国が世界で唯一の文明だと本
気で思い込んでいる。すさまじいことだ。米国は全体
主義の方向に向かっていますよ。」(朝日05/11/26
p.25)
3 入江昭ハーバード大教授。「米国人は実に親切
だった。非常に開放的で外国人にもチャンスをくれた。
私はそういう米国に強い魅力を感じた。・・ところが
今の米国はほかの国がどうなっても、自分の国さえ強
ければいいんだと言わんばかりの人たちが政権を支え
ているように見える」。アメリカ批判は控え目であっ
た入江氏もこのように述べる。(朝日 05/5/24)
4 柄谷行人。「米国はいま唯一の「帝国」である。
これを支えるのに思想は不要である。巨大な資本と軍
事力があれば十分であるから。しかし、これに対抗す
るには思想がいる。そしてそのような思想家が集まる
のが米国である」と5人の思想家を上げ、中でも「オリ
エンタリズム」を書いたエドワード・サイードに注目
し、間接的に米国批判している。(朝日05/10/27)
5 森孝一。同志社大神学部長である森氏は、大阪で
講演し、「聖書を歴史的事実と信じ、政治に反映させよ
うとする宗教右派が米国人口の15-18%を占める」とアメ
リカに影響力を持つキリスト教原理主義に触れ、「独立
宣言ですべての人が生命、自由、幸福を追求する権利を
持つことを認めているが、米国以外への関心や理解が極
めて不十分だったのではないか」と指摘する。また「米
国人はメディアの自主規制などのため、イラク戦争や中
東の紛争などの情報を驚くほど知らない。彼らに情報を
細かく伝える必要がある」と語っている。同感である。
6 葉佐井博巳。前広島国際学院学長。工学部長であ
った頃からアメリカの一国主義に言及、批判的であった。
自身被爆者である前学長は原爆の残留放射線量の測量に
従事し、現在は被爆語り部として活動している。この物
理学者の見解は理性に基づくものとして注目してきた。
7 ウォルター・ヴァン・ビーク。オランダの人類学
者、モルモン教徒。2004年モルモン歴史学会で「皆さん、
海外に旅行されるときは、アメリカ人であると言わない
でカナダ人だと言ってください。」と聴衆に冗談まじり
に語りかけた。世界中でアメリカが嫌われていることを
指したものであった。その場にいた私は思わず声に出し
て相槌を打った。今日唯一の超大国となったアメリカは、
世界の警察官と化し、その警察は今戦争を仕掛ける戦さ
好きの嫌われ者となっている、とヨーロッパ人の声を代
表している。(ダイアログ誌、2005年冬季号)。現政権
を支持し、イラク戦争を批判的に見ることをしない米国
のモルモン教徒はよく耳を傾けてもらいたい。
私自身がアメリカに嫌悪を感じるのは、1 甚だしい一
国主義、2 根拠なしにイラクに戦争をしかけたこと、
3 イスラエルに一方的に肩入れしていること、4 しば
しば現れる二重スタンダードなどが原因である。甚だ舌
足らずであるが、私が今のアメリカに辟易していること
を識者の声と共にまとめておきたいと思ったのでここに
記すことにした。
影響を受け、後に教育・研究でまた経歴の面で小さか
らぬ関わりを持ってきた。しかし、近年のアメリカの
外交、軍事政策、特に最近数年の中東における軍事介
入は眼に余るものがある。次に掲げる人たちの言葉に
強い共鳴を覚えているので簡単にリストアップしてみ
た。
1 猿谷要「アメリカよ、美しく年をとれ」。83歳
の著者はアメリカを愛着をもって研究してきた学者で
あるが、ブッシュ大統領の独善的な外交に失望し、義
憤を覚え、愛する国の老醜は見たくない、軍事力より
文化力を発揮してほしいと書いている。怒りだけでな
く著者の哀しみの深さも滲み出ている本である。
2 鶴見俊輔。ハーバードで学んだ83歳の哲学者は、
ますます独善性を強めている現在のアメリカに手厳し
い。「9.11テロ直後、ブッシュはわれわれは十字軍だ
と言った。何とバカなことを言うのかと驚いた。テロ
の原因に思い至らず、米国が世界で唯一の文明だと本
気で思い込んでいる。すさまじいことだ。米国は全体
主義の方向に向かっていますよ。」(朝日05/11/26
p.25)
3 入江昭ハーバード大教授。「米国人は実に親切
だった。非常に開放的で外国人にもチャンスをくれた。
私はそういう米国に強い魅力を感じた。・・ところが
今の米国はほかの国がどうなっても、自分の国さえ強
ければいいんだと言わんばかりの人たちが政権を支え
ているように見える」。アメリカ批判は控え目であっ
た入江氏もこのように述べる。(朝日 05/5/24)
4 柄谷行人。「米国はいま唯一の「帝国」である。
これを支えるのに思想は不要である。巨大な資本と軍
事力があれば十分であるから。しかし、これに対抗す
るには思想がいる。そしてそのような思想家が集まる
のが米国である」と5人の思想家を上げ、中でも「オリ
エンタリズム」を書いたエドワード・サイードに注目
し、間接的に米国批判している。(朝日05/10/27)
5 森孝一。同志社大神学部長である森氏は、大阪で
講演し、「聖書を歴史的事実と信じ、政治に反映させよ
うとする宗教右派が米国人口の15-18%を占める」とアメ
リカに影響力を持つキリスト教原理主義に触れ、「独立
宣言ですべての人が生命、自由、幸福を追求する権利を
持つことを認めているが、米国以外への関心や理解が極
めて不十分だったのではないか」と指摘する。また「米
国人はメディアの自主規制などのため、イラク戦争や中
東の紛争などの情報を驚くほど知らない。彼らに情報を
細かく伝える必要がある」と語っている。同感である。
6 葉佐井博巳。前広島国際学院学長。工学部長であ
った頃からアメリカの一国主義に言及、批判的であった。
自身被爆者である前学長は原爆の残留放射線量の測量に
従事し、現在は被爆語り部として活動している。この物
理学者の見解は理性に基づくものとして注目してきた。
7 ウォルター・ヴァン・ビーク。オランダの人類学
者、モルモン教徒。2004年モルモン歴史学会で「皆さん、
海外に旅行されるときは、アメリカ人であると言わない
でカナダ人だと言ってください。」と聴衆に冗談まじり
に語りかけた。世界中でアメリカが嫌われていることを
指したものであった。その場にいた私は思わず声に出し
て相槌を打った。今日唯一の超大国となったアメリカは、
世界の警察官と化し、その警察は今戦争を仕掛ける戦さ
好きの嫌われ者となっている、とヨーロッパ人の声を代
表している。(ダイアログ誌、2005年冬季号)。現政権
を支持し、イラク戦争を批判的に見ることをしない米国
のモルモン教徒はよく耳を傾けてもらいたい。
私自身がアメリカに嫌悪を感じるのは、1 甚だしい一
国主義、2 根拠なしにイラクに戦争をしかけたこと、
3 イスラエルに一方的に肩入れしていること、4 しば
しば現れる二重スタンダードなどが原因である。甚だ舌
足らずであるが、私が今のアメリカに辟易していること
を識者の声と共にまとめておきたいと思ったのでここに
記すことにした。

話が脇にそれてしまいましたが、米国は占領先の社会的・文化的基盤を顧みる余裕を失っているのではないでしょうか。そのことがイラクやアフガニスタンでの混乱なのでしょう。
コメントありがとうございます。深く推移と現状を把握していますね。また seto-in-kure さんのサイトを訪ねてみます。
その確かな見方を知りつつ、私の場合は野党的牽制の必要性に眼を留め、そちらに身を置いてバランスを取ろうとすることが多いようです。(為政者とは異なる民間の直感も尊重したいのです。)
「豪州人は、実は米国が嫌いなのです。特に単独行動主義の高慢さが」
シドニーのローリー研究所 若い研究員
さも当然という口調で 朝日06/10/29 p. 5