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モルモン書に無いものは地政学 ()
2024-08-30 10:01:50
私にとってモルモン書が理解しにくいのは、「モルモン書には地政学がない」事です。

聖書には地政学が有ります。

何故ロトはウルを出たのか?

アブラハムが求めた地は?

イスラエルとカンン民族との闘い、ペリシテ人の侵入、エジプトの影響。 

新約ではイエスの足跡、パウロの旅、すべて地図として頭に浮かびます。 
それは、それぞれの地域の慣習や宗教観に繋がって理解を深めます。

しかし、モルモン書には「地図」が有りません。
地名に現実味がないというのは、存在そのものを疑わせるものです。

ニーファイはどこに住み、レーマンはどこに移住したのか?
アルマはどの距離を歩いたのか?

全く頭に浮かんできません。

彼らが生きていた地は、何処に山が有り、何処に海が有り、何処に荒れ地が有ったのか?

作物は豊かに取れたのか?水は豊富だったのか?

そう、モルモン書は生活の匂いがしない。
 
 
 
「モルモン書は宗教書」 (沼野治郎)
2024-09-03 18:34:12
豚さんへ

 モルモン書に地政学的手がかりが欠けていることについて、率直な感想を投稿されました。ありがとうございます。

 この件について、もう前のことになりますが、現在のどのあたりでモルモン書の出来事があったのか推測する動きがありました。アラビア半島の沿岸と荒野を進んだのではないかという見方ともう一つは中米に上陸地と活動した地域があるのではないか(地峡の記載などから)、という仮説でした。いずれも聖徒の道に紹介されたのではないかと思います。

 それに対し、教会は一貫してモルモン書の地名について地理学上の特定をしないように言ってきました。モルモン書は宗教書であって、そのように詮索すべきではないという立場でした。今も変わっていないと思います。

 そういえば聖書も創世記の前の方は、古代住民の間に見られた伝承(神話)によっていて、文字通り受けとめられるものでありません。矛盾も散見されます。古代イスラエルやヘレニズム世界の姿(新約)が反映されていますが、やはり宗教書であるという点では同じです。

 (参考:イスラエルのハイファ大学歴史学教授エラン・シャーレヴが「アメリカの歴代誌としてのモルモン書: その偽典性と文化的起源」という論文。「モルモン書をアメリカ研究者はどう見るか」オックスフォード大学出版2019年所収。当ブログ2021.01.17「モルモン書は疑似聖書物語が流布した時代を背景とした」で紹介しています。)
 
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