ステルス戦闘機が世に出てきて、もう30年近く経つ。
現時点で世界最強とされるのは、アメリカ軍のF22ラプターとされる。もっとも実戦での実績がないので信頼性は低い。それでもステルス性能を持つ戦闘機と、そうでない戦闘機の模擬戦闘は世界各国で行われている。
その結果、中遠距離での戦闘では、ステルス戦闘機の圧勝である。ただし近接戦闘、つまり格闘戦となるとステルス戦闘機は分が悪いことも分かっている。対レーダー性能を優先しているため、どうしても戦闘機としての操作性に限界があるからだ。
だがそれ以上に問題視されているのは運用コストである。一回の飛行が終わると必ず対レーダー波吸収機能のある塗装を塗り直す必要がある。そのコストが高額であり、世界一軍事予算が潤沢なアメリカ軍でさえ根を上げる始末である。なお、この問題は日本も導入しているF35ライトニングⅡでも同様である。だから早晩日本政府もF35の維持費に悩むはずである。
実はもう一つ大問題が控えている。それがオーバースペック問題である。敵国の戦闘機に比べて性能が高すぎるのである。ロシアやシナはともかく、現在紛争が予測される国々で使用される戦闘機の大半が第三世代機であり、第四世代機を十分揃えている国は少ない。
具体的にいえば、日本で長く活躍したF4ファントムが第三世代であり、F15JS以降が第四世代に街頭する。そしてはっきり云えば、現時点ではこの第四世代の戦闘機で十分な国防力となる。少し前だが、コロナ禍の最中に興味深い模擬戦闘が実施された。
シナ空軍のJ11(スホーイ27)とタイ空軍のグリペン(スウェーデン製)との大規模な模擬空中戦闘である。どちらもステルス戦闘機ではないが、第四世代戦闘機としては十分な性能を持つ。しかし電子戦において格段の差があることが判明した。
100キロ以上の遠距離戦闘ではグリペンの完勝であり、50キロ内外の中距離戦でも8割がたグリペンの勝ち。有視界飛行が可能な近接戦闘に至りようやくJ11が優位に立てた。このタイ空軍の好成績の原因は間違いなく西側で開発運用されている電子兵装が、東側のそれを上回っていることに起因する。
この模擬戦の結果を知ったアメリカ軍がどう考えたのかは不明だが、結果的に廃止を決めたF15を復活させ、ヴァージョンアップしたF15EXを活用することにしている。F15は本来、電子装備に劣る戦闘機であったが、F15E以降は飛躍的にレーダーなど電子装備が向上しているので、これで十分との割り切りがあるのだろう。
もっともF35のネットワーク機能に繋げて電子兵装の不備を補うことも計画に織り込んでいるようだ。それ以外にもプロペラ攻撃機を再開発したりして、低コストでの運用を考慮していることが伺われる。そしてF35の調達機数も減らしている。
翻って我が日本はどうだろうか。かなりの長文になるので、分けて投稿しようと思います。
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