ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設14周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

「星と能楽の夕べ」…文化の復興のために

2012-06-17 01:22:29 | 能楽の心と癒しプロジェクト
伊豆から帰って来ました~
明日は先輩の催しに出演してから深夜に東京を出発して、石巻へ出発です。震災から1年を過ぎて、とうとう瓦礫の第一次処理(要するに泥かき)以外のボランティア車両はすべて高速道路の無料化措置は撤廃され、ぬえたちも再び深夜走行で高速道路料金の割引を狙う姿に逆戻り~~

思えば最初に一人で石巻と気仙沼を訪れた去年6月は深夜に東京を出発して一人で運転したっけ。初めて被災地を訪れる緊張でほとんど疲れは感じなくて、仙台に近づいてからPAで仮眠を取った程度でした。が、帰りは気仙沼からの一人旅で疲労困憊、このときはPA/SAごとに停まって仮眠するような有様でした。ついで8月に笛のTさんと狂言のOくんと3人で、まだプロジェクトは結成していない以前の話ですが、石巻の湊小ではじめて能を上演した際は、やはり深夜出発の終夜運転でしたが、明け方頃に仙台に至った頃、石巻での公演前に1日視察の日を設けてあったこともあって、せっかくだからというので、一気に気仙沼まで車を走らせました。ドライバーの交代ができるってこんなに行動半径が広がるもんなんだ~。

この日は気仙沼~階上~大谷~歌津~志津川~石巻~野蒜~宮戸~松島と視察を重ねて、塩竈に投宿するまで20時間ほども運転を続けたと思いますが、塩竈ではちゃんと(?)飲みに行ったし、元気に過ごしました。このあとプロジェクトを結成した頃に、ボランティアセンターから災害派遣の認可を受けて高速道路の無料通行許可証を頂けることになって、ようやくやや無謀な終夜運転はしないで済むようになったのですが。あの頃に逆戻りですね~。

さてさて今回の活動は正味4日間あるのですけれども、初日の18日は終夜運転のあとでもあり、また翌19日に開催される「星と能楽の夕べ」の前日でもあり。「星と能楽~」のための仕込みとリハーサルに専念することにしてあります。

ここまで「星と能楽~」にこだわっている ぬえの理由は、まずは 繰り返しになりますが、プロジェクトとして初の自主公演であること。これに尽きます。

ご存知の通り、ぬえらプロジェクトでは仮設住宅や仮設商店街、また社寺での奉納など能の上演活動の場は多岐に渡っているのですけれども、そのどれもが、自主公演というよりは実際には各地の地元の有志。。たとえば仮設住宅の自治会長さんとか商工会の方とか。。に能の上演を打診して、これを受け入れて頂いた結果上演できているのです。いうなれば、自分たちの地元をなんとか建て直したい! と考えるこれら地区の代表者の方のお手伝いをしていることになります。

もとより東北に稽古場も親類もなにもなく、ただ何年か前に学校公演で訪れた、そのときの好印象だけで活動をしている ぬえにとっては当時は東北地方に知り合いの一人もなく、自主的にお客さまを集めて能の上演をするのは会場の確保、集客ともにまったく糸口さえないほど不可能なことでした。これら地区の代表者に ぬえを紹介してくださったのは地元の、あるいは当地にやってきたボランティア団体で、その出会いがなければ今の ぬえの活動もありません。

…それでももう1年になりますが、ぬえも活動を続けているうちにどんどん地元の方とも知り合いになり、友人も増えていきました。最近では宿泊はこれら個人の方のご厚意によってご自宅に泊めて頂けるようにまでなってきました。そんな事もあって、ついに今回、初の自主公演…すなわち会場だけを提供頂いて、機材の調達、プログラムの作成、宣伝活動はすべてプロジェクトとして行うイベントを企画したわけです。

このイベントを企画する決断には更にほかの要因もありました。

まずは今回の活動で東松島市・宮戸島での活動が実現しなかったこと。東松島市では生活復興サポートセンターさまのご厚意によってこの3月に仮設住宅での活動が実現したのですが、じつは今回の活動で訪問を打診した宮戸島ではお断りがありました。その理由が「漁業が少しづつ活動を始めていて、平日の昼間では仕事に出かけていて人が集まらないと思う。それでは申し訳ないので…」とのこと。公演が実現しなかったのは残念でしたが、復興の歩みが進められているのは喜ばしい限りです。現地の事情は少しづつ変わり始めている。。

さらに思うのは、2月の大崎市のプラネタリウム公演で得た素晴らしい成果。この時すぐに ぬえは、これを石巻にそのまま持ち込んで、石巻のみなさんに見て頂きたい! と切望しました。

いま事態が変わってきている被災地への支援活動のあり方として ぬえは、口はばったいようですが、「文化の復興」を視野に入れての活動にだんだんと移行していくべきなのではないか、と考えています。

今回の活動でも仮設住宅や仮設商店街も廻り、これはこれで仮設住宅の孤立化の問題への取り組みの一助や 仮設商店街の集客イベントとして経済活動の再開のお手伝いになると思いますし、これは今後も続けていくことになるでしょう。しかし、もっと大きな意味で石巻全体が元気になってもいい頃かな? って思って、それがこの「星と能楽の夕べ」の企画となって結実しました。鎮魂や寿福をもたらす、という意味合いを常に思いながら活動してきた ぬえですが、能を娯楽として楽しんで頂けるようになって頂きたいなあ。

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1 コメント

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写真「月夜」の使用の件で。 (石塚貴之)
2012-06-18 04:20:55
こんばんは、初めまして。

写真ブログ「四季彩」の管理者の石塚と申します。

この度は、私の作品「月夜」に目を留めていただきまして大変恐縮です。

使用の件なのですが

「被災地の支援活動」
でのご使用ということで、快く承諾させていただきます。

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